
結論「「なんだか食べ物の味がしない…」その悩み、実は特定の病気や薬が原因の「亜鉛不足」かもしれません」
この記事はこんな方におすすめ
✅最近、食事の味が薄く感じたり、味覚が変わった気がする方
✅家族が高齢になり、筋肉の衰えや床ずれ(褥瘡)が心配な方
✅血圧の薬や利尿薬を長期間飲み続けている方
✅疲れやすかったり、傷の治りが遅いと感じている方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:「最近、味覚がおかしい」「傷が治りにくい」と感じることはありませんか?それは体の大切な微量元素である「亜鉛」が足りていないサインかもしれません。では、一体どんな人が亜鉛不足になりやすいのでしょうか?
🟡結果:日本人約1.3万人を対象にした大規模調査で、34.8%が亜鉛欠乏症(60μg/dL未満)。80歳以上の高齢者、男性、入院患者でリスクが高く、疾患別では誤嚥性肺炎(リスク約3倍)や床ずれ(約2.4倍)、薬剤別では利尿薬のスピロノラクトン(約2.5倍)を服用している人に強い関連が見られました。
🟢教訓:高齢の方や、特定の持病(腎臓病や肺炎など)、利尿薬を飲んでいる方は、主治医に相談して血液中の亜鉛濃度を確認してもらうのが賢明です。不足を知ることで、食事やサプリメントによる適切なケアが可能になります。
🔵対象:日本の約460病院から集められた3,800万人以上のデータベース(MDV)から抽出された20歳以上の日本人13,100人が対象です。100%日本人を対象とした研究なので、私たちの生活にそのまま当てはめて考えることができます。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
皆さんは、最近なんだか「食事の味がいつもと違うな」とか「ちょっとした傷がなかなか治らないな」と感じたことはありませんか?
実はわたしも、以前手術後の患者さんの傷が予定よりずっと治りが遅かったとき、調べてみたらひどい亜鉛不足だったという苦い経験があります。
わたしたち外科医にとっても、亜鉛は「組織を治すための隠れた主役」なんです。
本日ご紹介するのは、イギリスの権威ある科学雑誌『Scientific Reports』に掲載された、日本人の亜鉛事情に関する非常に大規模な研究です。
1万人以上のデータを分析したこの論文は、私たちがどのような時に亜鉛不足を疑うべきか、非常にクリアな答えを提示してくれています。
今回は、この最新の研究内容を、皆さんと一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Demographic and clinical characteristics of patients with zinc deficiency: analysis of a nationwide Japanese medical claims database””
(亜鉛欠乏症患者の人流統計および臨床的特徴:日本の全国医療レセプトデータベースの分析)
Hirohide Yokokawa, Yusuke Morita, Izumi Hamada, et al.
Sci Rep. 2024 Feb 2;14(1):2791. doi: 10.1038/s41598-024-53202-0.
PMID: 38307882 DOI: 10.1038/s41598-024-53202-0
掲載雑誌:Scientific Reports【イギリス IF 3.9(2024)】 2024年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
日本人の大規模データを用いて、どのような特徴を持つ人が亜鉛不足になりやすいのか、その実態を明らかにすることです。
研究方法
日本の全国規模の病院データを利用し、20歳以上の13,100人の患者さんの血液検査結果や病名、処方された薬を詳しく分析しました。
研究結果
全体の約35%が亜鉛欠乏症であり、特に高齢者や男性、誤嚥性肺炎、床ずれ、サルコペニア(筋肉の減少)といった病気を持つ人で不足が目立ちました。
研究結論
特定の病気や薬の服用が亜鉛不足の強力な手がかりとなり、早期発見と適切な治療介入が患者さんの回復を助ける可能性があります。
考察
亜鉛不足は味覚障害だけでなく、免疫力の低下や傷の治りの遅さにも直結するため、リスクの高い人への定期的なチェックが重要です。
研究の目的
私たちの体の中で、亜鉛はたんぱく質の合成や免疫機能の維持、さらには味や匂いを感じるための酵素など、多くの重要な働きを担っています。
しかし、これまで日本において「どのような病気や薬が亜鉛不足と本当に関係しているのか」を、1万人を超えるような大規模なデータで詳細に調べた研究はほとんどありませんでした。
そこで研究チームは、日本の病院で記録された膨大なデータ(レセプトデータ)を使い、「亜鉛不足になりやすい人のプロファイル」を突き止めようとしたのです。
これにより、医師がどの患者さんに亜鉛の検査を勧めるべきかの指針を作ることが、この研究の大きな狙いです。

研究の対象者と背景
この研究の舞台は日本です。2019年から2021年の間に、日本国内の約460の病院を受診した患者さんたちのデータが使われました。
対象者の構成
人数
13,100人
年齢
平均69.0歳(20歳から100歳超まで)
性別
男性 48.6%、女性 51.4%
状態
入院患者が約4割、外来患者が約6割

この研究の結果は、日本人そのものを対象としているため、私たち日本人にとって非常に信頼性が高く、そのまま生活の参考にできる内容と言えます。
ただし、病院を受診して亜鉛の検査を受けた人が対象であるため、健康な一般の人よりも少し病気を抱えている割合が高い可能性は考慮しておく必要があります。
研究の手法と分析の概要
研究チームは「後ろ向き横断研究」という手法を用いました。これは、過去の診療記録をさかのぼって、ある一時点のデータを分析する方法です。
信頼性を高める分析の流れ
データ抽出
日本の急性期病院の約26%をカバーする大規模データベース(MDV)から情報を収集しました。
基準の設定
血液中の亜鉛濃度が60μg/dL未満を「欠乏」、60〜80μg/dL未満を「潜在的欠乏(境界域)」と定義しました。
要因の分析
年齢や性別だけでなく、持病(60日以内の診断名)や服用している薬(60日以内の処方)との関連を「オッズ比」を用いて計算しました。

【補足:各種用語】
オッズ比(OR)
ある事象が起こる可能性の指標です。
例えばオッズ比が2.0なら、比較対象に比べてリスクが2倍高いことを意味します。
調整済みオッズ比(aOR)
年齢や性別などの影響を統計的に取り除き、純粋にその病気や薬がどれだけ関係しているかを示した数値です。
研究結果
この研究で明らかになった事実は、驚くべきものでした。
日本人の3人に1人は「亜鉛欠乏状態」だった
血液検査を受けた患者さんのうち、亜鉛欠乏症(60μg/dL未満)は34.8%、潜在的欠乏(60〜80μg/dL未満)を含めると実に80.3%もの人が、理想的な亜鉛レベルに達していないことが分かりました。

不足しやすい人の「疾患」ワースト5
年齢や性別の影響を除いて分析した結果、以下の病気を持つ人は特に亜鉛不足のリスクが高くなっていました。
1. 誤嚥性肺炎(食べ物の飲み込みトラブルによる肺炎):リスク 2.96倍
2. 床ずれ(褥瘡):リスク 2.40倍
3. サルコペニア(筋肉量の減少):リスク 2.22倍
4. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19):リスク 1.89倍
5. 慢性腎臓病(CKD):リスク 1.84倍

不足を招く恐れのある「薬」のトップ3
意外かもしれませんが、普段飲んでいる薬が亜鉛を体から追い出してしまうことがあります。
1. スピロノラクトン(利尿薬):リスク 2.52倍
2. 全身性抗菌薬(抗生物質):リスク 2.42倍
3. フロセミド(利尿薬):リスク 2.14倍

変化がなかった意外な項目
一方で、一般的に亜鉛不足の症状と言われる「味覚・嗅覚障害」や「抜け毛(円形脱毛症)」の病名がついている患者さんでは、今回の統計上、明らかな亜鉛欠乏との関連(高いオッズ比)は見られませんでした。
これは、そうした症状がある人は既にサプリメントなどで対策を始めているため、検査時点では数値が正常化していた可能性があると推察されています。
研究の結論
亜鉛不足の「予兆」を見逃さないために
本研究の結論として、高齢であること、男性であること、入院中であること、そして肺炎や床ずれ、特定の利尿薬の使用などが、亜鉛欠乏症を見極める強力な指標になることが示されました。
これは、ただ漫然と栄養不足を疑うのではなく、患者さんの背景を見ることで「亜鉛が必要な人」をピンポイントで見つけ出せることを意味しています。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、特に高齢者で亜鉛不足が増える理由として、食事からの摂取量不足や、加齢に伴う慢性的な炎症が関わっている可能性を指摘しています。
また、入院患者(50.3%が欠乏)に不足が多いのは、急性の病気や炎症によって亜鉛が体内で消費・移動してしまうためだとしています。
データの限界として、食事内容や市販サプリメントの利用状況までは把握できていない点も挙げています。

日常生活へのアドバイス
この研究結果を踏まえ、明日から実践できるポイントをまとめました。
高齢のご家族がいれば「味」と「肌」をチェック
味が薄いと言う、傷が治りにくい、床ずれができそうといったサインは亜鉛不足かもしれません。
利尿薬を飲んでいるなら主治医に相談
血圧やむくみの薬(特にスピロノラクトンやフロセミド)を飲んでいる方は、定期的に血液検査で亜鉛を確認してもらいましょう。
肺炎などの感染症の後はしっかり補給
肺炎や新型コロナなどの後は亜鉛が枯渇しやすいため、意識的に摂取することが回復への近道です。
食事に「赤身の肉」や「牡蠣」を
日本ではお米が主な亜鉛源になりがちですが、効率よく摂るなら肉類も大切です。

今回の研究で、入院患者さんの半数が亜鉛不足だったという結果には、外科医として改めて背筋が伸びる思いです。
傷を治し、筋肉を維持し、免疫を守る。亜鉛はまさに「縁の下の力持ち」です。
皆さんも、ご自身の体やご家族のサインに、少しだけ敏感になってみてくださいね。
締めのひとこと
「体からの小さなサインは、大切な栄養素が足りていないというメッセージかもしれません。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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