
結論「「ゼルダの伝説」と「ジブリ映画」を両方体験した若者は、幸福感や落ち着きが“2倍以上”に高まりました」
この記事はこんな方におすすめ
✅毎日がなんだかモヤモヤして、心が落ち着かない方
✅ゲームやアニメに「癒されてる」けど、それって本当に効果あるの?と思っている方
✅自分探しや将来に悩む大学生・若手社会人
✅子どもや学生にどうリフレッシュさせたらいいか悩んでいる保護者の方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:ゲームやアニメに夢中になると「時間のムダ」って思われがち。でも本当にそう?
🟡結果:ゼルダとジブリを両方体験した若者は、幸福感や落ち着きが2倍以上にアップ!
🟢教訓:“好きな世界”に触れることは、ストレスを和らげ、心を前向きにする栄養になる。
🔵対象:イギリス・アメリカ・日本の大学院生518人。国を問わず若者に効果あり。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
ゲームやアニメ、好きですか?
日本が世界に誇るカルチャーといえば、やっぱりアニメとゲームですよね。
ジブリ映画は、今や世界中の子どもや大人を魅了し続けていますし、任天堂のゼルダの伝説シリーズは、世界中のゲーマーにとって“特別な冒険”です。
今回は、そんな2大コンテンツ――
「ゼルダの伝説」と「ジブリ作品」が、なんと「人の幸福感」に与える影響を調べた、ちょっと変わった論文をご紹介します。
この研究は、イギリスの医学系学術誌に掲載されたばかりの新しいもので、
なんと論文内に『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』のシーンがイラスト付きで登場するという、学術論文としてはかなり異色の一作。
(残念ながらゼルダの画像は著作権の関係か掲載されていませんでした…!)
そして今日は、8月31日。
夏休みの最終日。
子どもの頃に感じたあのちょっと切ない気持ちとともに、
今回は「好きなものが心の支えになるかもしれない」という、そんな温かい研究をお届けします。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“Effects of The Legend of Zelda: Breath of the Wild and Studio Ghibli Films on Young People’s Sense of Exploration, Calm, Mastery and Skill, Purpose and Meaning, and Overall Happiness in Life: Exploratory Randomized Controlled Study”
(『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』とスタジオジブリ作品が若者の探究心・落ち着き・技能・人生の目的意識・幸福感に与える影響:探索的ランダム化比較試験)
Annisa Arigayota, Barbara Duffek, Congcong Hou et al.
JMIR Serious Games. 2025 Aug 1:13:e76522.
PMID: 40750097 DOI: 10.2196/76522
掲載雑誌:JMIR Serious Games【イギリス:IF 4.1(2025)】 2025年8月
研究の要旨
研究目的
若者の幸福感に、オープンワールドゲームとジブリ作品によるノスタルジーがどのように影響するかを検証する。
研究方法
518名の大学院生を対象に、4条件(ゲームあり/なし×ノスタルジーあり/なし)で実験。ゲーム:『ブレス オブ ザ ワイルド』、映像:『となりのトトロ』『魔女の宅急便』。
研究結果
ゲームプレイによって幸福感が上昇し、ノスタルジーがその効果をさらに強化。幸福感の向上には探究心・落ち着き・技能・目的意識が媒介していた。
結論
オープンワールドゲームとジブリ作品の視聴は、幸福感を構成する心理要素に広範に働きかけ、肯定的な効果をもたらす。
考察
「遊び」や「ノスタルジー」が持つ力は、現代の若者にとって重要な心理的資源であり、ストレス緩和や自己理解に有効である可能性がある。
研究の目的
この研究が目指したのは、
「好きなゲームやアニメが、若者の幸福感や心の落ち着き、自己肯定感、目的意識にどれほど影響を与えるのか?」
を科学的に明らかにすることでした。
背景として、近年の若者、とくに大学院生の多くが不安感・孤独・自己否定感といった心理的課題を抱えていることが問題視されており、その対策が求められていました。
研究チームは、こうした若者の心の回復や成長を支える手段として、「遊び」や「ノスタルジー(懐かしさ)」に注目しました。
特に、オープンワールドゲーム(ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド)のように「自分で世界を探索する体験」や、
ジブリ作品のように「温かく懐かしい物語に浸ること」が、心理的な安らぎや自己認識を促すのではないか?という仮説に基づいています。
つまりこの研究は、単なる娯楽に見える活動が、実は心の健康や生きる力に深く関わっているのではないかという、現代的かつとても実生活に近い問いへの挑戦だったのです。

研究の対象者と背景
この研究に参加したのは、イギリス・アメリカ・日本の大学院生 合計518人。
年齢層は20代が中心で、どの国も社会に出る前の若者たちです。

なぜ大学院生?
研究チームは、「不安」や「将来への迷い」「社会からの孤立感」を最も感じやすい世代として、大学院生に注目しました。
この世代は、将来のキャリアや自己肯定感について揺らぎやすく、心のサポートが必要とされる場面が多いためです。
3カ国の比較で信頼性アップ
対象者は3カ国に分かれていますが、すべて英語を話す大学院生であり、同じ条件で実験が行われました。
これにより、文化的な偏りを最小限に抑えた分析が可能になっています。
日本人への応用は?
参加者に日本人も含まれており、またジブリ作品や任天堂ゲームという「日本文化」が素材に使われていることから、日本人にも十分応用できる結果だと考えられます。

研究の手法と分析の概要
この研究は、ランダム化比較試験(RCT)という形式で行われました。
対象者はランダムに4つのグループに振り分けられ、それぞれ異なる体験をしてもらいます。
割り当てられた体験(4群)
グループ | 内容 |
ゲーム+ジブリ | ゼルダの伝説をプレイし、ジブリの映像も鑑賞 |
ゲームのみ | ゼルダの伝説のみプレイ |
ジブリのみ | ジブリ映像のみ鑑賞 |
コントロール | 何もせず過ごす(比較用) |
これにより、「単体」「組み合わせ」「未介入」の効果を比較できるように設計されています。

ゲームとジブリ映画、それぞれの体験内容は?
本研究では、「ゲーム」および「アニメ(ジブリ映画)」による心理的効果を公平に比較できるよう、体験の長さや形式が統一された条件で実施されました。
🎮 ゲーム(ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド)
・使用タイトル:Nintendo Switch用ゲーム『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』
・プレイ時間:1人あたり 約10分間
・体験範囲:ゲーム冒頭の自由探索エリアに限定(オープニング〜初期のマップ)
・操作内容:フィールドの移動やアイテム探索、簡単な操作説明を含む
・プレイ形式:コントローラーを使用して、自分で操作しながら体験
・設計意図:ゲームに不慣れな参加者でも感情的な影響を受けやすいよう、操作に不安がないよう配慮された構成
🎥 アニメ(スタジオジブリ映画)
・使用作品:以下の3本(すべて宮崎駿監督作品)
1.『となりのトトロ』(1988年、宮崎駿監督)
2.『魔女の宅急便』(1989年、宮崎駿監督)
3.『千と千尋の神隠し』(2001年、宮崎駿監督)
・映像内容:各作品の印象的なシーンを選び、3作品を合計約10分間にまとめて編集した映像を視聴
・視聴形式:モニターでの受動的視聴(音声・音楽あり)
・設計意図:感情的な共鳴・ノスタルジー・癒しなどを引き出すよう選定された場面で構成
✨なぜこの3作品が選ばれたのか?
・「探検」や「成長」を描く共通テーマ
→ いずれも主人公が新しい環境に飛び込み、「自分らしさ」や「目的意識」を育んでいくストーリー
・明るく感情的なトーンと、視覚的に豊かな自然描写
→ 癒し効果・親しみ・情緒的な共鳴を生みやすい作品
・対象年齢の幅広さ
→ 小学生〜大人まで共感できる内容で、参加者層と親和性が高い
⏱ なぜ「約10分間」なのか?
この研究では、「ゲーム」と「アニメ」が持つ心理的影響力をできるだけ正確に比較するために、
・ 両方とも体験時間を約10分間に統一し、
・ “心の動き”に注目した事後評価を行う構成になっていました。
この時間設定により、「映画のようにじっくり観る体験」と「自分で操作する体験」が公平な土俵で比べられるよう工夫されています。
ゲームだけ長時間プレイした場合に起きる偏りや、アニメの感情的余韻の違いなども最小限に抑えられた、バランスの取れたデザインです。
測定された項目
各グループは、体験後に以下の心理的指標についてアンケートに回答しました。
・幸福感
・探究心(好奇心や意欲)
・落ち着き(リラックス感)
・自信・技能と熟達感(自分はできるという感覚)
・人生の目的意識
・行動意図
評価には、1~9の数値で答えるリッカートスケールが使われました。
ランダム化比較試験(RCT)
「ランダムにグループを分けて、効果を公平に比較する実験手法」です。
統計的な信頼性が高く、医療や心理学の研究でよく使われています。
リッカートスケール
質問に対して、「まったくそう思わない(1)」から「とてもそう思う(9)」まで、段階的に数値で答える方式です。
個人の感情や満足度を数値化するのに適しています。
なぜこの手法が選ばれたのか?
研究チームは、「好きなものに触れること」が心理状態にどう作用するかを、科学的に確かめたかったのです。
ランダムにグループ分けし、同じような時間・条件で比較することで、「たまたまではない」効果を見つけることができます。
このように、研究の設計は信頼性の高い方法で行われており、結果にも説得力がある内容となっています。

研究結果
「ゼルダ×ジブリ」が心を最大限に満たす
調査の結果、「ゼルダの伝説」と「ジブリ作品」の両方を体験した人は、心のさまざまな面で最も高いスコアを示しました。
特に注目すべきは「幸福感」と「落ち着き」で、何もしなかった人たちと比べて2倍以上の数値となりました。
体験ごとの心理的な変化(平均スコア比較)
体験内容 | 幸福感 | 探究心 | 落ち着き | 自信・技能 | 目的意識 | 行動意図 |
何もしない | 2.4 | 2.6 | 2.4 | 2.5 | 2.4 | 2.5 |
ジブリだけ | 3.9 | 3.5 | 4.5 | 2.9 | 3.4 | 3.3 |
ゲームだけ | 3.6 | 4.0 | 3.7 | 3.5 | 3.0 | 4.4 |
両方体験 | 5.6 | 6.0 | 6.9 | 5.3 | 4.7 | 5.5 |
※数値は「どれだけそう感じたか?」を1〜9で評価した平均値
統計的に信頼できる結果です
すべての心理的項目(幸福感・探究心・落ち着き・自信・目的意識・行動意図)で、「両方体験」グループは「何もしない」グループより有意に高いスコアを示しました。
これらの違いは単なる印象ではなく、統計的な検定によって「明確に差がある」と確認されています(p < 0.001)。
つまり、「たまたま良い結果が出ただけ」という可能性は極めて低く、信頼できる結果だと言えます。

“好きを楽しむ”ことがメンタルを支える
・幸福感:最も高まったのは「両方体験」したグループ(スコア 5.6)
・探究心:「ゲーム体験」が大きく貢献
→「ゲームだけ」でも「自分から行動したい」「自信がある」と感じるスコアが上昇
・落ち着き:安心感も非常に高く、スコア 6.9 と圧倒的
→「ジブリだけ」でも 4.5 と高く、癒し効果が強い
・自信・技能:最も高まったのは「両方体験」したグループ(スコア 5.3)
・目的意識「ゲーム単体」ではあまり高まらなかった(スコア 3.0)
→ 「ジブリ的な物語性」や「懐かしさ」が加わることで初めて強く向上
・行動意図(行動したくなる気持ち):「ゲームだけ」「両方体験」グループでスコアが顕著に上昇
→ ゲームを通じて“次に自分から動いてみよう”という意欲が高まったと考えられる
“知っている世界”は、より心を癒す
過去に「ジブリ映画」や「ゼルダの伝説」に触れたことがある人は、初めて体験した人に比べて、より強くポジティブな効果を感じていたことも分かりました。
特に「幸福感」や「目的意識」のスコアは、懐かしさや親しみを感じた人ほど高い傾向にありました。
ネガティブ感情の軽減も明らかに
怒り・不安・悲しみなどのネガティブ感情は、「ジブリだけ」や「両方体験」グループで顕著に軽減されていました。
特に「落ち着き」のスコアと連動するように、感情の安定性が高まっていると解釈できます。
🔍変化がなかったものは?
「何もしないグループ」はどの指標でもスコアが最も低く、心の状態が変化していない(または整っていない)ことが示唆されました。
また、「目的意識」は全体的に他の指標に比べて伸び幅が小さめでした。
→ これは「日々の目標感」には、ただ楽しいだけではなく、“意味づけ”や“ストーリー”が必要であることを示しているのかもしれません。

研究の結論
ジブリ×ゼルダ体験は、心に大きな変化をもたらす
この研究は、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」と「スタジオジブリの短編アニメ」を若者に一定時間体験してもらった際、心の状態にどんな影響があるかを調べたものです。
その結果、ジブリとゼルダの両方を体験したグループが、幸福感・落ち着き・探究心・目的意識など、すべての心理指標において最も高いスコアを示しました。
特に、「幸福感」「落ち着き」「探究心」では、何もしなかったグループに比べて倍以上の差がついており、統計的にも極めて有意(p < 0.001)な結果でした。

【礼次郎の考察とまとめ】
なぜこのような結果になったのか(論文著者の考察)
研究チームは、今回の結果の背景に以下のような要因を挙げています。
ジブリ映画の癒し効果
宮崎駿監督の作品には、自然との共生、人間らしい感情や温かいストーリーが描かれています。
これが視聴者の「落ち着き」や「目的意識」を高めたと考えられます。
・『となりのトトロ』:家族とのつながりと自然との触れ合い
・『魔女の宅急便』:成長や自立を描いた物語
・『千と千尋の神隠し』:自己探求と変化の象徴的な旅
これらの作品は、心理的な安心感やアイデンティティ形成に寄与する要素を多く含んでいます。
ゼルダの伝説の冒険的効果
『ブレス・オブ・ザ・ワイルド』には、自律的な探索、試行錯誤による成功体験、広大な世界を自由に旅できる設計があります。
これにより、プレイヤーは「探究心」や「自信・技能」といった内面的な動機づけを自然と引き出されます。
癒しと挑戦のバランスが鍵
映画とゲームという異なる形式の体験を連続して取り入れることで、「癒し」と「挑戦」という対照的な心理刺激が互いを補完し、より豊かな心理的効果を生んだ可能性が高いと考えられています。
作品選定の限界(研究の制限事項)
本研究で使用されたアニメ作品はすべて宮崎駿監督による3作品でした。
・『となりのトトロ』
・『魔女の宅急便』
・『千と千尋の神隠し』
これらは、ジブリ作品の中でも比較的やさしく、明るい作風をもった作品です。
したがって、高畑勲監督の『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』のような重厚で現実的な作品や、宮崎作品でも『もののけ姫』『風立ちぬ』のような複雑なテーマを含む作品では、異なる心理的効果が出る可能性がある点には注意が必要です。
また、ゲーム体験はゼルダ1作品に限定されており、他のゲームジャンルやタイトルとの比較は行われていません。
今回の研究参加者はイギリス、アメリカ、日本の若者たちでしたが、用いられたコンテンツがジブリ映画や任天堂のゼルダという「日本発の文化資源」であったことが特徴的です。
特にジブリやゼルダと共に育った日本人にとっては、これらの作品はただの娯楽ではなく、“思い出の中の安心できる居場所”として、心理的な安定やアイデンティティに強く影響している可能性があります。

日常生活へのヒント
私が小さい頃、アニメやゲームばかりしていると「馬鹿になるからやめなさい」と祖母からよく叱られていました。
でも今回の研究は、それらが決して無意味な時間ではないどころか、心を癒し、勇気づけ、前に進ませてくれる力を持っていることを科学的に示してくれました。
アニメやゲームは“ただの遊び”ではなく、癒しや探究心、自信や目標感といったポジティブな心理作用を引き出す力を持っているのです。
そして何より、
クリエイターの方々が、時に命を削るようにして世に送り出してくれた作品たちに対して、
私たちが敬意と感謝を持ち、その世界に安心して身をゆだねていいんだと思わせてくれるような結果でしたね。

締めのひとこと
ゲームもアニメも、あなたの心を整えてくれます

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
コメント