
結論「ヨガニドラは、ストレス、不安、うつの症状に対して、通常のアクティブな介入や何もしない場合と比較して、統計的に有意かつ中程度から大きな改善効果をもたらす可能性が高いことが示されました。」
この記事はこんな方におすすめ
✅最近ストレスや不安を感じやすく、心が休まらないと感じている方
✅「瞑想」に興味はあるが、座って行うのが苦手で続かない方
✅薬に頼らず、科学的根拠のある方法でメンタルケアをしたい方
✅NSDR(非睡眠時深い休息)やヨガニドラの具体的な効果を知りたい方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:ただ仰向けになって音声を聞くだけの「ヨガニドラ」に、本当にメンタル不調を治す力があるのでしょうか?
🟡結果:73件の研究を統合した結果、ヨガニドラはストレス(効果量 -0.80〜-1.70)、不安(-1.35〜-1.43)、うつ(-0.69〜-0.92)のすべてにおいて、有意な改善効果を示しました。
🟢教訓:座禅のような努力を要する瞑想が苦手な人こそ、寝たまま行うヨガニドラが最適です。副作用の少ない補完的なケアとして非常に有望です。
🔵対象:世界各国の計5201人の参加者を対象とした大規模な解析です。健康な人から患者さんまで幅広く含まれており、日本人にも応用できる可能性が高いです。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
昨日までに引き続き、近年話題の休息法「NSDR(Non-Sleep Deep Rest:眠らない深い休息)」を取り上げるシリーズ、本日はその第4弾となります。
これまではNSDRの概念や睡眠への効果などを見てきましたが、今日は少し視点を変えてみましょう。
本日のテーマはズバリ、「ヨガニドラが精神健康症状(ストレス・不安・鬱)に与える影響」です。
NSDRの代表格であるヨガニドラが、私たちのメンタルヘルスに対してどのような臨床的効果を持つのか、医学的なエビデンスを深掘りしていきます。
正直なところ、私も手術や当直が続くと「もう何も考えず、ただ横になっていたい」と思うことがよくあります。
そんな時、ただ休むだけでなく、メンタルの回復も同時にできたら最高ですよね。
今回ご紹介するのは、アメリカの歴史ある科学雑誌『Annals of the New York Academy of Sciences』に掲載された最新のレビュー論文です。
この研究では、ヨガニドラが現代病とも言えるストレスや不安にどれほど効くのか、世界中のデータを集めて検証しています。
では、科学のメスで「寝たまま瞑想」のメンタル改善効果に切り込んでいきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Effects of Yoga Nidra on Stress, Anxiety, and Depression: A Systematic Review and Meta-Analysis””
(ヨガニドラがストレス、不安、うつに与える影響:システマティックレビューおよびメタ解析)
Shashank Ghai, Pawel Odyniec, Ishan Ghai, et al.
Ann N Y Acad Sci. 2025 Dec 1. doi: 10.1111/nyas.70149. Online ahead of print.
PMID: 41327816 DOI: 10.1111/nyas.70149
掲載雑誌:Annals of the New York Academy of Sciences【アメリカ IF 4.8(2024)】 2025年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的:
ヨガニドラがストレス、不安、うつに与える影響を、過去の研究を統合して評価すること。
研究方法
7つの主要データベースから論文を検索し、基準を満たした73件の研究(参加者5201名)を対象にシステマティックレビューとメタ解析を実施。
研究結果
ヨガニドラは、対照群(他の介入や何もしない群)と比較して、ストレス、不安、うつのすべての指標で有意な改善を示しました。
結論
ヨガニドラはメンタルヘルス症状の管理において有望な可能性があることが示唆されました。
考察
ただし、元となる研究の質や手法にばらつきがあるため、効果の大きさ(数値)は少し割り引いて解釈する必要があります。
研究の目的
なぜ今、ヨガニドラの研究が必要だったのでしょうか。
現在、世界的なメンタルヘルス危機が叫ばれており、ストレス、不安、うつは大きな公衆衛生上の課題となっています。
薬物療法は進歩していますが、副作用や依存の懸念もあり、代替となるアプローチが求められていました。
ヨガニドラは過去10年で注目を集めていますが、その臨床的な有効性はまだ十分に理解されていませんでした。
そこで本研究は、既存の文献を網羅的に解析し、その真の効果を明らかにしようとしたのです。

研究の対象者と背景
どのような人たちが研究の対象になったのかを見ていきましょう。
参加者のプロフィール
人数:
合計5201人の参加者。
年齢
平均年齢は約33.4歳(11歳〜82歳と幅広い層が含まれます)。
健康状態
健康な成人や学生だけでなく、高血圧、がん、生理不順、PTSDなどの身体・精神疾患を持つ人々も含まれています,。
国:
研究の多くはインド(64%)で行われましたが、アメリカ(22%)、ドイツ、韓国、イタリアなどの研究も含まれています。
アジア圏での研究が多く含まれているため、日本人にとっても親和性が高い結果と言えるでしょう。
ただし、文化的な背景の違いは考慮する必要があります。

研究の手法と分析の概要
研究チームは、信頼性の高い結論を導き出すために厳密な手順を踏んでいます。
徹底的なデータ収集
研究デザイン
システマティックレビューおよびメタ解析。
これは、個々の研究結果を統合して統計的に解析する、エビデンスレベルの高い手法です。
データの種:
ランダム化比較試験(RCT)30%、準実験的デザイン36%、非RCT23%など、幅広いデータを網羅しました。
分析方法
ヨガニドラを行ったグループと、行わなかったグループ(または別のリラックス法を行ったグループ)の間で、ストレスなどのスコアがどう変化したかを比較しました。

【重要!用語解説】「効果量(Hedge’s g)」とは?
今回の結果を見る上で重要なワード。
「効果量(こうかりょう)=治療の効果がどれくらい強力か」を表す共通のものさしです。
テストによって「100点満点」だったり「10点満点」だったりと基準がバラバラだと比較ができませんよね?
それを統一して、「結局どれくらい効いたの?」を数値化したものがこの「効果量(Hedge’s g)」です。
数値の見方
今回は「ストレス」や「不安」などの悪い症状を測っているため、数値がマイナス(ー)であればあるほど、「症状が減った(改善した)」ことを意味します。
大きさの目安
一般的に以下のように判定されます。
・0.2 : 小さい効果(ごくわずか)
・0.5 : 中程度の効果(まあまあ効いている)
・0.8以上 : 大きい効果(かなり効いている!)
今回の研究では、この「0.8」を超える数値がバンバン出てきます。それほど強力な結果だったとイメージしてください。

研究結果
では、先ほどの「ものさし」を使って結果を見ていきましょう。
結論から言うと、ヨガニドラは全ての項目で統計的に有意な、しかも「非常に大きな」改善効果を示しました。
【結果まとめ表】ヨガニドラの効果量(Hedge’s g)
効果量の目安(0.8以上で「大きい」)を念頭に、以下の表をご覧ください。
| 改善項目 | 比較対象 | 効果量 (g) | 効果の判定 |
| ストレス | 何もしない群と比較 | -1.70 | 非常に大きい |
| アクティブな介入群と比較 | -0.80 | 大きい | |
| ヨガニドラ前後比較 (全体) | -1.05 | 非常に大きい | |
| 不安 | 何もしない群と比較 | -1.43 | 非常に大きい |
| アクティブな介入群と比較 | -1.35 | 非常に大きい | |
| ヨガニドラ前後比較 (全体) | -1.03 | 非常に大きい | |
| うつ | 何もしない群と比較 | -0.92 | 大きい |
| アクティブな介入群と比較 | -0.69 | 中程度〜大きい | |
| ヨガニドラ前後比較 (全体) | -0.71 | 中程度〜大きい |
※「何もしない群」: 待機リストなど、特別なケアを受けていないグループ。
※「アクティブな介入群」: 他のリラックス法や標準的なケアを受けたグループ。
ストレスへの劇的な効果
ヨガニドラはストレスに対して特に強い効果を示しました。
「何もしない」より圧倒的に良い
効果量は -1.70 です。
目安の「0.8」を倍以上超えており、何もしないで休むよりはるかにストレスが減ることがわかります。
「他の方法」よりも良い
他のリラクゼーション法などと比較しても、-0.80 という「大きな効果」の基準を満たす差をつけてヨガニドラが有効でした。
健康な人にも効く
特に健康な成人を対象とした場合、効果量は -1.92 と極めて高い数値が出ています。

不安に対する安定した効果
不安に関しても、比較対象の有無にかかわらず一貫して非常に高い効果(-1.35〜-1.43)が確認されました。
高血圧患者
高血圧を持つ人々の不安軽減効果は、他の介入と比較して -2.49 と驚異的な数値を示しました。
健康な成人
こちらも -1.08〜-1.84 と、非常に大きな改善効果が見られています。
うつ症状への改善効果
うつに関しても、有意な改善が認められています。
全体的な傾向
何もしない場合と比較して -0.92、他の介入と比較して -0.69 の改善効果がありました。
患者層への効果
生理不順のある女性(-0.61)や、うつ病と診断された患者(-1.16)においても、有意な改善が見られました。

注意すべき点(著者の指摘)
これらの数値は非常にポジティブですが、著者は「効果の大きさは少し慎重に受け止めるべき」としています。その理由は以下の通りです。
• 含まれる研究の多く(RCTの77%)で「バイアスのリスクが高い(研究の質に偏りがある)」と判定されています。
• 研究の質が低い場合、効果が実際よりも大きく見積もられる(インフレする)傾向があります。
• とはいえ、どんな研究デザインや対象者であっても、一貫して「改善」の方向を示している点は評価できるとしています。
研究の結論
有望な補完療法としての可能性
ヨガニドラは、ストレス、不安、うつの管理において、統計的に有意かつ臨床的に意味のある効果を持つことが示されました。
特に、副作用の心配が少ない「非薬物療法」として、既存の治療と組み合わせることで大きな力を発揮する可能性があります。
一般的に、うつ病に対する認知行動療法(CBT)の効果量が「0.79」程度と言われています。
今回のヨガニドラの結果(0.69〜1.70)は、質のばらつきによる過大評価の可能性を差し引いても、標準治療に匹敵するか、それ以上のポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
メカニズムの解釈
ヨガニドラは、意識を体の感覚や呼吸に向けることで、外部からの刺激を遮断(制感:プラティヤハラ)します。
これにより脳の実行機能ネットワークの活動が鎮まり、リラックス状態が深まると考えられます。
生理学的変化
研究では、ドーパミンの放出増加や、ストレスホルモンであるコルチゾールの減少などが示唆されており、これがメンタル改善の裏付けとなっている可能性があります。
今後の課題
より厳密に設計された高品質なランダム化比較試験が必要です。
また、指導者の質やプログラム(実施時間や手順)の標準化も求められます。

日常生活へのアドバイス
この論文から得られる、明日から使えるヒントをまとめました。
まずは音声を活用する
研究でも多くの参加者がガイドに従って実践しています。
YouTubeやアプリなどで「ヨガニドラ」「ボディスキャン」と検索し、ガイド音声を聞きながら寝転がってみましょう。
寝落ちしてもOK
本来は「覚醒と睡眠の間」を保つものですが、そのまま寝てしまってもリラクゼーション効果は期待できます。
睡眠導入として使うのも良いでしょう。
継続が鍵
1回だけでなく、続けることで注意力の制御や感情調整のスキルが向上します。
補助的なケアとして
すでにうつや不安で通院中の方は、薬をやめるのではなく、治療の「サポーター」としてヨガニドラを取り入れ、主治医にも相談してみてください。
「頑張らないこと」を頑張る。
それがヨガニドラの極意です。

横になるだけでこれだけのメンタル改善データが出るのですから、やらない手はありません。
4回にわたるNSDR特集も、今回で一区切りです。
「休むこと=サボること」という罪悪感は、もう捨ててしまいましょう。
これまでのデータが証明した通り、休息こそが脳と心を進化させる「能動的なアクション」なのですから。
これからは、頑張るために休むのではなく、「自分を大切にするため」に、ガイドの声に身を委ねてみてください。
締めのひとこと
「横になることは、サボりではなく、脳への最高のご褒美です」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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