
結論「全粒穀物入りのパンやシリアルは「超加工食品」でも怖くない!リスクの正体はそこにはなかった。」
この記事はこんな方におすすめ
✅健康のために「全粒粉」や「玄米」を選んでいるが、加工食品であることが気になる方
✅そもそも「超加工食品(UPF)」とは何なのか、なぜ体に悪いと言われるのか知りたい方
✅忙しい朝は市販のパンやシリアルに頼りがちで、罪悪感を持っている方
✅結局、何を食べて何をしてはいけないのか、科学的な結論を知りたい方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:市販の全粒粉パンやシリアルは「超加工食品」に分類されるけれど、本当に体には「毒」なのだろうか?
🟡結果:超加工食品のグループから「全粒穀物」を除外してもしなくても、肥満や炎症リスクとの関連は変わらなかった(=悪いのは全粒穀物以外の要素)。
🟢教訓:全粒穀物を含む食品(パンやシリアル)は、加工されていても過度に恐れる必要なし!むしろ食物繊維などのメリットを重視しよう。
🔵対象:アメリカの成人約11,000人(NHANESデータ)。食生活が欧米化している日本人にも重要な知見。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
突然ですが、皆さんはスーパーでパンを買うとき、パッケージの裏側を見て「うわっ、添加物がいっぱい…やめておこう」と棚に戻した経験はありませんか?
わたしも働きながら、忙しい当直明けなどは手軽な市販の菓子パンをかじることがあります。
でも、そのたびに「この菓子パンもぜったいに体には良くないよなぁ」と、ふと頭によぎります。
ではそこに、健康に良いはずの「全粒粉」が入っていても、加工されていたら台無しなのでしょうか?
実は今、「健康に良いはずの全粒穀物が、加工食品の分類上では『悪者』扱いされている」という矛盾が、栄養学の世界で大きな議論になっています。
本日ご紹介するのは、そんな「健康的そうな加工食品」へのモヤモヤに答えてくれる画期的な研究です。
今回読み解くのは、栄養学の分野では世界的に権威のあるアメリカの医学雑誌『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された最新論文です。
全粒粉パンは「超加工食品」の汚名を着せられた悲劇のヒーローなのか?
それともやはり避けるべきなのか? 今回は、「加工食品の分類と健康リスクの真実」を一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Excluding whole grain-containing foods from the Nova ultraprocessed food category: a cross-sectional analysis of the impact on associations with cardiometabolic risk measures””
(Nova分類における超加工食品カテゴリから「全粒穀物を含む食品」を除外した場合の検討:心代謝リスク指標との関連に対する影響の横断的分析)
Elissa J Price, Mengxi Du, Nicola M McKeown, et al.
Am J Clin Nutr. 2024 May;119(5):1133-1142. doi: 10.1016/j.ajcnut.2024.02.017. Epub 2024 Feb 28.
PMID: 38417577 DOI: 10.1016/j.ajcnut.2024.02.017
掲載雑誌:The American Journal of Clinical Nutrition【アメリカ IF6.9(2024)】 2024年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
「全粒穀物(Whole Grain)」を含む食品(パンやシリアルなど)を超加工食品のカテゴリから外した場合、超加工食品と病気のリスクとの関連性がどう変化するかを検証すること。
研究方法
アメリカの大規模な健康調査(NHANES 2015-2018)に参加した成人約11,000人の食事データを解析。
通常の「Nova分類」と、全粒穀物食品を除外した「修正定義」の3パターンで、健康診断の結果と比較分析を行った。
研究結果
超加工食品をたくさん食べる人は、体重、BMI、腹囲、炎症反応(CRP)の数値が悪かった。
しかし、全粒穀物食品を計算から除外しても、この悪い傾向は変わらなかった。
結論
全粒穀物を多く含む食品(パンなど)は、超加工食品としての「悪影響」の主犯格ではない可能性がある。
考察
Nova分類だけで一律に「超加工食品は悪」と決めつけると、本来健康に良い全粒穀物の摂取まで減らしてしまう恐れがあるため注意が必要である。
研究の目的
この研究が解決しようとしたのは、
「健康に良いはずの全粒穀物が、加工食品というだけで『悪者』扱いされていないか?」
という疑問です。
これを理解するために、まずは「超加工食品(UPF)」について簡単に整理しましょう。
現在、世界の栄養学では「Nova(ノヴァ)分類」という基準が主流です。
これは食品を栄養価ではなく「加工の度合い」で4つに分ける方法です。
• グループ1(未加工・最小加工):野菜、果物、肉、卵、牛乳など。
• グループ4(超加工食品:UPF):工業的に作られ、家庭にはない添加物(乳化剤、着色料など)を含む食品。スナック菓子、炭酸飲料、インスタント食品などが代表です。
問題はここからです。
実は、食物繊維が豊富で健康に良いとされる「全粒粉パン」や「朝食シリアル」の多くも、大量生産のために乳化剤や保存料が使われているため、スナック菓子と同じ「グループ4(超加工食品)」に分類されてしまうのです。
「全粒穀物は病気を防ぐ」というこれまでの常識と、「超加工食品は病気を作る」という新しい常識。
この2つがぶつかり合ってしまっています。 そこで研究チームは、「もし超加工食品のグループから全粒穀物を除外したら、結果はどうなるのか?」を調べることで、真のリスク要因をあぶり出そうとしました。

研究の対象者と背景
この研究の対象は、アメリカの国民健康栄養調査(NHANES)に参加した20歳以上の成人11,288人です。
対象国
アメリカ合衆国
データ
2日間の詳細な食事記録と、身体測定、血液検査データを使用。
アメリカ人の98%は全粒穀物の摂取目標に達しておらず、その摂取源の多くは市販のパンやシリアル(つまり超加工食品)に頼っています。

日本でもパンやシリアル、即席麺などの摂取は増えており、食の欧米化が進んでいるため、この結果は私たちにとっても「明日の我が身」として非常に参考になるデータです。
研究の手法と分析の概要
研究チームは、超加工食品(UPF)の定義を以下の3つのアプローチ(Approach)に分けて分析しました。
通常のアプローチ(Approach 1)
Nova分類通り、全粒穀物製品も含めてすべてUPFとする。
修正アプローチA(Approach 2)
全粒穀物が25%以上含まれる食品をUPFから除外(=非UPF扱いにする)。
修正アプローチB(Approach 3)
全粒穀物が50%以上含まれる食品をUPFから除外。
そして、それぞれの定義で計算した「UPF摂取量の多さ(5段階)」と、以下の健康指標との関係を統計的に分析しました。
• 肥満指標(体重、BMI、腹囲)
• 血圧、コレステロール、血糖値
• 炎症マーカー(CRP)

【補足:各種用語】
Nova(ノヴァ)分類
食品を「加工の度合い」で4つに分けるシステム。最も加工度が高いグループ4が「超加工食品(UPF)」と呼ばれます。
全粒穀物(Whole Grain)
精製されていない穀物のこと。玄米、全粒粉小麦、オートミールなど。食物繊維やビタミンが豊富です。
BMI(Body Mass Index)
肥満度を表す指数。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算されます。
CRP(C反応性タンパク)
体内で炎症が起きているときに増えるタンパク質。動脈硬化などのリスク指標になります。
研究結果
ここからが注目の結果です。数字が示す「真実」を見ていきましょう。
超加工食品が多いと「肥満」と「炎症」が進む(これは予想通り)
まず、通常通りに分析した場合(Approach 1)、超加工食品の摂取エネルギー比率が最も高いグループ(上位20%)は、最も低いグループ(下位20%)に比べて、明らかに不健康な傾向が見られました。
体重
約 3.6kg 重い
BMI
約 1.6ポイント 高い
腹囲
約 4.1cm 太い
炎症(CRP)
数値が有意に高い(体が慢性的な炎症状態にある)
【最重要】全粒穀物を除外しても、悪い傾向は「そのまま」だった!
ここがこの論文のハイライトです。
研究チームが、「全粒穀物を多く含む食品(パンやシリアル)」を超加工食品のカウントから外して再計算(Approach 2 & 3)してみたところ……
驚くべきことに、肥満や炎症との悪い関連性はほとんど変化しませんでした。
体重・BMI・腹囲
依然として、超加工食品(全粒穀物抜き)を食べるほど数値が高いままでした。
統計的な信頼性
これらの変化は偶然ではなく、統計的に有意(P < 0.05)なものでした。
これが意味すること
超加工食品が体に悪い原因は、そこに含まれている全粒粉パンやシリアルではありません。
それ以外の「砂糖たっぷりの菓子」「スナック」「加工肉」「甘い飲料」などが、リスクの主犯格である可能性が高いということです。

意外な発見:コレステロール値のパラドックス
不思議なことに、超加工食品を多く食べている人の方が、総コレステロール値が低いという結果が出ました。
「えっ、体にいいの?」と思うかもしれませんが、筆者らはこれを「善玉コレステロール(HDL)も同時に下がっているためであり、決して良いことではない」と考察しています。
栄養バランスの乱れが反映されていると考えられます。
影響がなかった指標(陰性所見)
一方で、血圧や血糖値(HbA1c)に関しては、超加工食品の摂取量との間に強力な関連性は見られませんでした(または調整後に消えました)。
この研究の対象者においては、糖尿病リスクなどよりも、まず「肥満」と「炎症」に強く影響が出ていたようです。
研究の結論
全粒穀物食品(パンやシリアル)は、超加工食品としての『悪影響』にはほとんど寄与していない。
つまり、Nova分類で「超加工食品」とひとくくりにされていても、全粒穀物が豊富な食品は「無実」に近い存在であり、これらを避けることは、むしろ食物繊維などの重要な栄養源を失うことになりかねない、というのが科学的な結論です。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、現在のNova分類が少し「大雑把すぎる」のではないかと指摘しています。
特にアメリカでは、パンやシリアルは葉酸などの重要な栄養素が添加(強化)されている重要な栄養源です。
これらを「超加工食品だからダメ!」と十把一絡げに排除してしまうと、特に料理をする時間やお金がない人々にとって、かえって栄養不足を招く「意図しない結果」を生む可能性があると警鐘を鳴らしています。

日常生活へのアドバイス
さて、ここからはこの論文をどう明日の食事に活かすか、具体的なアドバイスを送ります。
全粒粉パン・シリアルは「食べてよし」!
「超加工食品だから」と怖がる必要はありません。
成分表示を見て「全粒粉(Whole Wheat)」や「雑穀」が主原料であれば、それはあなたの味方です。
「本当のワル」を見極める
今回の研究で、全粒穀物を除いてもリスクが残ったということは、甘い炭酸飲料、スナック菓子、大量の砂糖が入った菓子パンなどが真のリスク要因です。
これらは徹底して減らしましょう。
裏面の「%」を意識する
日本では全粒粉の含有量が表示されていないことも多いですが、原材料名の最初に「全粒粉」や「玄米」が来ているものを選びましょう。
茶色い炭水化物は正義です。
極端な「加工食品排除」はしなくていい
忙しい現代人にとって、完全な手作りはハードルが高いです。栄養価の高い加工食品(シリアルなど)を賢く利用するのは、決して「手抜き」ではなく「戦略」です。
5. 日本人は「塩分」に注意
この研究はアメリカのものですが、日本の加工食品(特にパンや麺)は塩分が高い傾向にあります。全粒粉でも塩分過多には気をつけましょう。

「加工食品」という言葉の響きだけで、体によい穀物まで遠ざけてしまうのはもったいないことです。
「ラベルの分類」よりも「中身の栄養」を見る。そんな賢い消費者になりたいですね。
わたしも明日の朝は、胸を張って全粒粉の食パンをトーストしようと思います。
締めのひとこと
「名前で決めつけず、中身を見て選ぶことが、あなたの健康を守る最短ルートです。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
読者の皆様は、記事の内容をご自身の責任において吟味し、適切に判断してご利用ください。
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