あなたはまだ“歩くだけ”の効果を知らない!たった1時間で寿命+5年?最新研究が示す“最強の健康習慣”

中年の男性が公園を歩きながら、寿命と健康の象徴である時計とハートマークに囲まれているカートゥーン風イラスト

結論「運動習慣のない人でも、1日1時間のウォーキングで寿命が5年(時間換算で6時間)延びる可能性があると判明」

この記事はこんな方におすすめ

✅最近、運動不足が気になっている方
✅健康に良いことを始めたいけれど、何から始めるか迷っている方
✅40代以上で、将来の健康や寿命が心配になってきた方
✅運動の効果に半信半疑で、続けるモチベーションが欲しい方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:日々のちょっとした運動って、本当に寿命に関係あるの?
🟡答え:1日1時間歩くだけで、寿命が5年・時間に換算すると6時間延びる可能性があると判明
🟢ポイント:とくに運動習慣がない人ほど、効果が大きい
🔵対象:アメリカの40歳以上の男女を対象にした研究。日本人にも応用可能

はじめに

皆さん、こんにちは!
突然ですが、皆さんは日常に何か定期的な運動習慣を取り入れていますか?
たとえば「1日1回は外を歩くようにしている」とか、「エレベーターじゃなくて階段を使ってる」など、意識して動くようにしている人も多いかもしれません。

私自身はというと…正直なところ、ついつい仕事や用事を優先して「今日はまぁいいか」と歩くのをサボってしまうこともよくあります。
でも、そんな日々の小さな選択が、実は私たちの「寿命」にまで関わってくるとしたら?ちょっと気になりますよね。

本日ご紹介するのは、そんな疑問に答えてくれる「運動と寿命の関係」に関する最新の研究です。
この研究は、イギリスの権威あるスポーツ医学誌『British Journal of Sports Medicine(英国スポーツ医学雑誌)』に掲載されました。
今回は、「なぜ“歩くこと”がこれほど大切なのか?」を、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

今回読んだ論文

“Physical activity and life expectancy: a life-table analysis”

(身体活動と平均寿命:ライフテーブル解析による評価)

Br J Sports Med. 2025 Feb 20;59(5):333-338.

PMID: 39542739 DOI: 10.1136/bjsports-2024-108125

掲載雑誌:British Journal of Sports Medicine(英国スポーツ医学雑誌)【イギリス】 2025年2月より

研究の目的

この研究の目的は、「普段どれくらい体を動かしているか」が寿命にどれだけ影響するのかを、はっきりと数字で示すことでした。
特に注目したのは、スマートウォッチのような装置(加速度計)で測った「正確な運動量」と「実際の死亡率」との関係です。

さらに、「運動量が少ない人がもっと動くようになったら、平均で何年寿命が延びるのか?」を、年齢別の人口データと死亡率をもとに計算する特別な統計手法を使ってモデル化しました。

この手法は「ライフテーブル」と呼ばれ、保険や年金などでも使われている方法で、“もし○○だったら、平均でどれくらい生きるか”を予測することができます。

研究の対象者と背景

この研究の対象になったのは、アメリカに住む40歳以上の男女です。
データは、アメリカの政府機関が行っている大規模な健康調査「NHANES(エヌヘインズ)」から取られたもので、2003〜2006年に実施されたものを使っています。

この調査では、参加者に加速度計というセンサー機器を腰に付けてもらい、1週間の身体の動きを記録しています。
つまり、「本人の自己申告」ではなく、「実際にどれくらい動いたか」が数字で正確に測られているのがポイントです。

この研究の対象はアメリカ人ですが、日常の運動量が少ない人ほど大きな効果があるという点は、日本人にも当てはまりそうです。
特に、デスクワーク中心の生活や、高齢化が進む日本社会では、この研究から学べることが多いと思います。

研究の手法と分析の概要

この研究は「観察研究」と呼ばれるもので、特定の介入(運動をさせるなど)は行わず、参加者の自然な行動を追いかけてデータを分析しています。

具体的には、次のような手順で分析が行われました:


・身体活動量:加速度計で測定した1週間分の運動データ(どれくらい体を動かしたか)
・死亡率データ:アメリカの政府統計(2017年)をもとに、年齢ごとの死亡率を反映
・分析方法:参加者を運動量の少ない順に以下の4つのグループに分け、それぞれの「寿命の平均値」を予測する


グループ名特徴説明
Q1ほとんど動かない人たち加速度計で測定した運動量が全体の下位25%(最も少ない)
Q2やや動く人たち下から25〜50%の運動量の人たち。Q1よりは活動的
Q3よく動く人たち上位25〜50%の人たち。日常的に比較的よく体を動かしている
Q4非常に活動的な人たち上位25%にあたる最もよく動く人たち。ウォーキング習慣などがある層

※この4つのグループは、参加者全体を運動量の多さで順に並べて25%ずつの人数になるように4つに分けたものです。つまり、どのグループも人数はほぼ同じです。

ここで使われたのが「ライフテーブル」という手法です。これは、年齢ごとの人口と死亡率を使って、ある条件下で平均寿命がどう変わるかを推計するためのものです。
保険業界や厚生労働省でもよく使われている信頼性の高い分析方法です。

【補足】加速度計ってなに?

加速度計は、体の動きを測定してくれる小型センサーのことで、今回の研究では腰(ヒップ)に取り付ける専用機器が使われました。
現在ではスマートウォッチ型が一般的ですが、この研究当時(2000年代)は、腰に付けるタイプが標準でした。

この装置は、体がどれくらい動いたかを「1分ごとの強さ」で記録していきます。
たとえば、歩いたり、立ち上がったりすると「加速度(動きの変化)」が記録され、どれくらい活動的だったかが数字で正確にわかる仕組みです。

研究結果:寿命が「1時間の運動で6時間延びる」可能性

この研究の一番の発見は、普段あまり運動をしていない人が、1日1時間ウォーキングを追加するだけで、寿命が平均で「6時間」も延びる可能性があるということです。
※本研究で対象となった「運動量」はウォーキングに限らず、日常生活におけるあらゆる身体活動(立ち上がる・家事・軽い運動など)を含みます。特別な運動でなくても、“体を動かすこと”そのものが寿命にプラスの影響を与えると考えられます。

【表】運動量と寿命の関係(40歳時点の期待寿命)

さらに、全員が「最も活動的なグループ(Q4)」と同じくらい動くようになった場合には、以下のような寿命延長の効果が見られました:

運動グループ男性の平均寿命女性の平均寿命
最も不活発(Q1)76.8年81.1年
最も活動的(Q4)82.1年86.4年
増加分(Q4−Q1)+5.3年+5.3年

これは、運動量が多いだけで寿命が5年以上も長くなる可能性があることを意味しています。
しかもこの効果は「1時間あたり約6.3時間の延命」に換算され、特に運動習慣がない人ほど、その効果が大きいことも明らかになりました。

【補足】この延命効果、どうやって計算してるの?

これは「ライフテーブル分析」という人口統計の手法を使って推計されています。
加速度計のデータと、アメリカの死亡統計(年齢別・性別)を組み合わせ、「このくらい運動していた人は、どれくらい生きたか?」を統計的にモデル化したものです。

陰性所見:影響がなかったこと

重要なのは、


「動きすぎて寿命が短くなる」といった逆効果は見られなかった点です。
つまり、運動を増やしても悪影響はなく、むしろ“やればやるほど”プラスになる傾向が確認されています。


「何をすればいいかわからない」人には、この研究が、まずは歩くことから始めるきっかけになるかもしれません。

研究の結論

この研究が導き出した結論はとてもシンプルです。


日常的な身体活動は、寿命を大きく延ばす可能性がある


しかも、普段あまり運動していない人ほど、その効果は大きいということが明らかになりました。
たった1時間のウォーキングで、平均して6時間もの寿命が延びる可能性がある――これは、時間の“投資”としては驚くべきリターンと言えるでしょう。

また、この研究では「やりすぎによるデメリット」は示されておらず日々の中でできる範囲で身体を動かすことが、確実に健康寿命に貢献するという前向きなメッセージが得られました。

【筆者の考察】日本人のわれわれがこの論文から学び活かせる教訓や注意点

この研究はアメリカ人を対象としていますが、私たち日本人にも当てはまる示唆は多くあります。

とくに日本では、デスクワークが多い人や高齢者など、日常的にあまり歩かない人が少なくないのが現状です。
また、国民皆保険制度により医療アクセスが良い日本でも、「寝たきりを防ぐ」「健康なまま長生きする」ことは、ますます重要なテーマになっています。

この研究からの最大の教訓は:


✅完璧な運動習慣じゃなくていい、“いまの自分より少しでも動く”だけで、未来が変わる可能性がある


という点です。

また、装着された加速度計は“ウォーキング”のような日常的な動きも捉えているため、「ジムに行く」とか「ランニングを始める」といった大がかりなことではなく、「1日30分〜1時間の散歩」で十分に効果があることも示唆されています。

まとめ

日々のちょっとした運動が、実は寿命にまで影響している――そんな驚きの事実を、今回の研究はデータで明らかにしてくれました。
特に、「普段あまり動かない人」ほど「少しの運動」で大きな効果があるという点は、運動が苦手な人にとっても希望になるメッセージではないでしょうか。

私たちはつい、「ちゃんとした運動をしなきゃ」「継続できないと意味がない」とハードルを上げてしまいがちですが、この研究からは「まずは歩くことからでOK」という安心感も得られます。

寿命が延びるということは、自分の時間が増えるということ。
その時間を、大切な人と過ごしたり、自分の好きなことに使ったりできると考えると、「1日1時間歩くこと」の価値は、計り知れないものになるはずです。

どうかこの研究結果が、あなたの今日の一歩につながりますように。

締めのひとこと

未来の自分に、今日の一歩を贈ろう。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

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