1日9,000歩で生活が楽に、11,000歩で“健康を実感” 日本人5,000人調査が示したコスパ最強の最適歩数

ウォーキングする日本人の若者と高齢者、9000歩で生活が楽に・11000歩で健康を実感と示すイラスト

結論「1日9,000歩で生活が楽に、11,000歩で“健康を実感”。健康寿命を延ばすカギは“歩数”でした」

この記事はこんな方におすすめ

✅健康寿命を延ばす「ちょうどいい運動量」を知りたい方
✅「毎日1万歩は必要?」と疑問に思っている方
✅運動不足や生活習慣病が気になる中高年の方
✅将来の介護・寝たきりを予防したい方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:「毎日1万歩って本当に必要?」健康寿命を延ばすには何歩がベスト?
🟡結果:日本人5,000人調査で、9,000歩で生活が楽に、11,000歩で「健康だ」と感じる割合が高くなると判明。
🟢教訓:健康寿命を延ばすには9,000〜11,000歩がちょうどいい。
🔵対象:2019年の日本全国調査に基づく結果。日本人にそのまま当てはまるリアルなデータ。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。

はじめに

皆さん、こんにちは!

「健康のためには毎日どのくらい歩けば良いのだろう?」と考えたことはありませんか。

以前の記事では「高血圧のあるアメリカ人は、1日8,000〜9,000歩で死亡リスクが下がる」という研究をご紹介しました。

その論文では「必ずしも1万歩以上を目指さなくても大丈夫」という結論でしたが、対象は体格が大きいアメリカ人でした。

今回ご紹介するのは、同じテーマを扱いながらも、日本人を対象に「1日何歩がベストなのか」を日本人の研究者が調べた最新の論文です。

この研究はイギリスの医学雑誌『BMJ Health Care Informatics(日本語訳:BMJヘルスケア・インフォマティクス)』に掲載され、日本全国の調査データを用いて歩数と健康寿命の関係を分析しています。

日本人が日本人を対象にした研究だからこそ、わたしたちにとって生活に取り入れやすい“リアルな目安”になるのが大きな特徴です。

最新の科学的知見を一緒に読み解いていきましょう。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。

今回読んだ論文

“Association between daily step counts and healthy life years: a national cross-sectional study in Japan”

(1日の歩数と健康寿命の関連:日本における全国横断研究)

Masahiro Nishi, Reo Nagamitsu, Satoaki Matoba

BMJ Health Care Inform. 2024 Apr 30;31(1):e101051.

PMID: 38688685 DOI: 10.1136/bmjhci-2024-101051

掲載雑誌:BMJ Health Care Informatics【イギリス:IF 4.0(2024)】 2024年4月

研究の要旨

研究目的

毎日の歩数が「生活に支障がないこと」や「自分で健康と感じること」に関係するかを全国規模で調べること。

研究方法

2019年に日本で行われた2つの大規模調査を合わせ、4,957人の成人の歩数、生活の制限の有無、健康と感じるかどうかを解析した。

研究結果

歩数が増えるほど生活の制限は少なくなり、自分で健康と感じやすくなった。特に9,000歩で生活の制限が減り、11,000歩で「健康と感じる」割合が高かった。

結論

健康に暮らせる年数を延ばすためには、1日に9,000〜11,000歩を目指すことが有効と考えられる。

考察

寿命や心臓病のリスク低下に必要な歩数より多くの歩数が、健康寿命には必要かもしれない。運動の強さや生活環境の影響は残るが、歩数を増やすことは有望な方法である。

研究の目的

この研究の目的は、「1日の歩数が健康寿命にどう影響するのか」を明らかにすることです。

具体的には、

・日常生活で「動作に制限があるかどうか」

・自分自身で感じる「健康状態」

といった指標と歩数の関係を調べることで、日本人にとって健康に長生きするために目安となる歩数を見つけようとしました。

これまで「歩数と寿命」については欧米を中心に研究が進んでいましたが、日本人に当てはめられる明確な指針はありませんでした。

そこで日本人自身の大規模データを分析し、より実生活に活かしやすい答えを出そうとしたのです。

研究の対象者と背景

この研究では、2019年に行われた日本の 国民生活基礎調査 と 国民健康・栄養調査 の参加者を対象にしています。

人数と年齢

対象となったのは 日本人の成人4,957人

年齢の中央値は60歳で、65歳以上の高齢者も約2,000人以上含まれています。

女性は全体の約52%でした。

健康状態と持病

対象者には持病を持つ人も多く含まれていました。

たとえば、

・高血圧:約18%(高齢者では3人に1人)
・糖尿病:約7%(高齢者では14%)
・脂質異常症:約8%
・心臓病(狭心症や心筋梗塞):約2%
・がん:約1%

このように「完全に健康な人」だけでなく、日本人の一般的な健康背景を反映した集団 でした。

日本人データの強み

海外の研究は人種や体格の違いがあり、必ずしも日本人に当てはまるとは限りません。

今回の研究は 日本人自身を対象にしている ため、私たちにとって生活に取り入れやすい現実的な目安になるのが大きな特徴です。

研究の手法と分析の概要

この研究は「横断研究」と呼ばれる方法です。

ある時点での人々の歩数と健康状態を調べ、その関係を比較しました。

データの集め方

調査には2つの国の大規模調査が使われました。

国民生活基礎調査(CSLC)

3年ごとに実施され、健康・医療・生活習慣・収入など幅広く調べる調査。ここでは以下のような質問票が使われました。

・自覚症状の有無
・日常生活に制限があるか
・現在治療中の病気やけが
・自分の健康に関する自己評価
・心配事やストレス、精神状態
・健康診断の受診状況

国民健康・栄養調査(NHNS)

体格や食事、生活習慣を調べる調査。ここで歩数計を配布し、1日の歩数を測定しました。

分析方法

集めたデータを使い、

歩数が多い人と少ない人で、「活動に制限があるか」「自己評価した健康状態」の関係にどんな違いがあるかを統計的に比較しました。

信頼性を高める工夫

さらに「ブートストラップ」という方法を使って、結果が偶然ではなく、繰り返し調べても同じ傾向が出るかを確認しました。

【補足:各種用語】

ロジスティック回帰

ある出来事が「起こるか起こらないか」を予測するための統計手法です。

例えば、「歩数が多い人ほど“活動に制限がない”確率が高いか?」を計算できます。年齢や持病など他の要因を同時に調整できるのが特徴です。

年齢や性別などの影響を取り除くために「ロジスティック回帰」という方法を使い、結果が歩数そのものによるものかどうかを確かめました。

ブートストラップ

データから何度も無作為にサンプルを取り直して解析を繰り返し、結果の安定性や信頼性を確かめる方法です。「このしきい値(歩数)が本当に妥当なのか」を検証する際に役立ちます。

研究結果

主な発見

分析の結果、歩数が多い人ほど健康寿命に関連する指標が良好であることが明らかになりました。

・1日9,000歩に達すると、日常生活に制限がある人が大きく減少しました。

・1日11,000歩に達すると、自分を「不健康」と感じる人が大幅に減少しました。

数字で見た効果

・活動制限のリスクは最も低いとき オッズ比0.27。高齢者だけでも 0.25
 =“活動に制限があるリスク”が約4分の1に減少

・自己評価で「不健康」と答える割合は最も低いとき オッズ比0.45。高齢者でも 0.42 と同様の改善。
 =不健康と感じるリスクが半分以下に減少

・効果は9,000歩・11,000歩を超えると頭打ちになり、それ以上歩いても大きな改善は確認されませんでした。

表にすると次の通りです。

評価項目効果が最大に見られた歩数主な結果
日常生活の制限約9,000歩活動制限リスクが大幅に減少
(OR 0.27〜0.25)
自己評価の健康感約11,000歩「不健康」と感じる割合が大幅に減少
(OR 0.45〜0.42)

年齢別の傾向

65歳以上の高齢者でも、9,000歩と11,000歩のしきい値は同じでした。

つまり「高齢になっても歩数を意識することが健康維持に役立つ」ことが確認されました。

性別による違い

男女で効果に差はなく、性別を問わず歩数の増加は健康寿命に有益でした。

補足:オッズ比とは?

オッズ比とは「ある出来事が起きる確率の比率」を示す統計の数字です。
例えばオッズ比が 0.27 というのは、「歩数が少ない人を基準にすると、9,000歩以上歩く人は“活動に制限があるリスク”が約4分の1に減っている」ことを意味します。
同じくオッズ比が 0.45 なら、「不健康と感じるリスクが半分以下に減っている」という解釈になります。
数字が 1より小さいほどリスクが低い と考えれば大丈夫です。

研究の結論

一言でまとめると

健康寿命を延ばすためには、1日9,000〜11,000歩を目標にすることが有効であると示されました。

意味すること

これは、これまでの「寿命」や「心臓病リスク」を下げる歩数(約7,000〜8,000歩)よりも少し多い値です。

つまり「長生きする」だけでなく「元気に暮らす」ためには、より多めの歩数が必要だと考えられます。

【礼次郎の考察とまとめ】

論文著者らの考察

研究者たちは、寿命そのものを延ばす歩数と、健康寿命を延ばす歩数は異なると説明しています。

過去の研究では7,000〜8,000歩で死亡リスクが減るとされましたが、健康寿命を延ばすには9,000〜11,000歩が必要でした。

これは「生きる」ことと「元気に暮らす」ことでは、求められる活動量が違うためと考えられます。

また、健康寿命の指標は「活動の制限」と「自分で感じる健康感」です。

歩数が増えることでこれらが改善し、結果的に健康寿命が長くなると考察されています。

さらに著者らは、歩数増加は社会的な効果も持つと述べています。

日常的に歩数を増やす取り組みは、地域や世代ごとの「健康格差」を縮小させる可能性があるのです。

重要なのは、この傾向が全年齢層で共通して見られたことです。

高齢者でも若年層でも歩数を増やすことが健康に直結する、と著者らは強調しています。

日常へのアドバイス

最低ラインは9,000歩

今回の研究では、日本人の健康寿命を延ばすには 1日9,000歩 がひとつの目安になると示されました。

これくらい歩くことで「日常生活での不便さ」が少なくなることが確認されています。

体感の健康を高めたいなら11,000歩

さらに 1日11,000歩 まで歩くと「自分は健康だ」と感じる人が増える傾向がありました。

ただし、それ以上歩いても効果は大きく変わらず、無理に歩数を増やす必要はありません。

過去の研究から見える「寿命に効く歩数」

以前ご紹介した高血圧のあるアメリカ人を対象にした研究では、

・8,250歩で全体の死亡リスクが最小
・9,700歩で心臓病による死亡リスクが最小

と報告されています。

つまり「寿命をのばす」だけなら8,000〜9,000歩でも十分効果がありそうです。

総合するとこうなります

・毎日の最低ラインは9,000歩
・体感として「元気で健康だ」と思える生活を送りたいなら11,000歩を目安に
・高血圧や生活習慣病のある方でも8,000歩前後から十分効果が期待できる
・それ以上(12,000歩や15,000歩など)歩きすぎても効果は頭打ちなので、無理せず続けられる範囲で

実践の工夫

・通勤や買い物で一駅分歩く
・昼休みに10分だけ歩く
・エレベーターではなく階段を使う
スマホアプリや歩数計で「9,000歩達成!」を見える化してモチベーションに

👉 まとめると

「長生きしたい人は8,000歩から、元気に暮らしたい人は9,000〜11,000歩」を目安に。

頑張りすぎず、毎日の生活の中で自然に歩数を増やす工夫が大切ですね!

締めのひとこと

まずは9000歩。無理なく歩いて元気に暮らしましょう。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

画像は主にChat GPT・Geminiを使用しAIで作成しております。

あくまでも、すべてイメージ画像です。

本文の内容を正確に表した画像ではありませんのでご注意ください。

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