
結論「血液中の“コチニン”というタバコの代謝物が多い人ほど、筋肉量が少なくなることが明らかになりました」
この記事はこんな方におすすめ
✅禁煙するきっかけが欲しい方
✅筋トレをしているが、なかなか効果が実感できない喫煙者
✅受動喫煙の健康への影響が気になるご家族がいる方
✅加齢による筋力低下(サルコペニア)を予防したい中高年の方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:筋トレの効果がいまいち。タバコが関係してるのかな?
🟡結果:喫煙により血中コチニンが高い人ほど、筋肉量(ASMI)が少ない傾向がありました
🟢教訓:禁煙は筋肉を守る第一歩。元喫煙者でも回復の可能性があります
🔵対象:アメリカの成人約8000人。日本人にも参考になる信頼性の高いデータです

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
「運動してるのに、なかなか筋肉がつかないな…」そんなふうに感じたこと、ありませんか?
体を動かしたり、たんぱく質を意識した食事を心がけたりと、いろいろ努力しているのに、思うように体が変わらない。
そんなとき、ちょっと落ち込んでしまうのは自然なことだと思います。
なかなか成果が出ないと、
「もしかして、筋トレのやり方や栄養だけじゃなくて、ほかにも筋肉づくりを邪魔している要素があるのかも…?」
って思うこと、ありますよね。
――実は、あるんです。
本日ご紹介するのは、まさにその
「筋トレの成果を邪魔するかもしれない意外な要因」
のひとつとして、喫煙による体内の変化と筋肉量との関係を明らかにした最新の研究です。
この研究は、イギリスの公衆衛生専門誌『BMC Public Health』に掲載され、アメリカの国民健康調査(NHANES)の大規模データを用いた信頼性の高い内容になっています。
今回は、「血液中のある物質(コチニン)」に注目しながら、筋肉と生活習慣の意外なつながりについて、やさしく解説していきます。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

今回読んだ論文
“Association between serum cotinine and muscle mass: results from NHANES 2011-2018”
(血清コチニン濃度と筋肉量との関連:NHANES 2011〜2018年の結果)
BMC Public Health. 2024 Aug 2;24(1):2093.
PMID: 39095754 DOI: 10.1186/s12889-024-19623-2
掲載雑誌:BMC Public Health【イギリス】 2024年8月
研究の要旨
研究目的
喫煙曝露(血清コチニンを指標)と筋肉量の関連性を調査すること。
研究方法
NHANES2011〜2018年のデータを用い、8004人を対象に血清コチニンとASMIの関係を統計解析。
研究結果
血清コチニンとASMIは負の相関を示し、特に喫煙者と元喫煙者で有意だった。
結論
喫煙曝露は筋肉量の減少と関連があり、禁煙が筋肉の健康維持に寄与する可能性がある。
研究の目的
この研究では、
「タバコを吸うことが筋肉量の減少に関係しているのか?」
という疑問を明らかにすることを目的としています。
最近の基礎研究では、喫煙によって筋肉のタンパク質が作られにくくなったり、逆に分解が進んだりすることがわかってきました。
ただし、人間の体において「喫煙の影響がどれくらい筋肉量に現れているのか?」については、これまで明確なデータがほとんどありませんでした。
そこでこの研究では、タバコを吸ったことによって体内に残る「コチニン」という物質に注目しています。
「あれ、ニコチンの間違いじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが
——いえいえ、コチニンで合ってます!
コチニンは、タバコに含まれるニコチンが体内で分解されたあとにできる代謝産物で、
どれだけタバコの影響を受けたかを正確に測るためのマーカーとして使われているんです。
わたしも今回初めて知ったのですが……なるほどなあと思いました(笑)
このコチニンの血中濃度と、筋肉量を表す「ASMI(四肢筋肉指数)」との関連を調べることで、
喫煙と筋肉減少のつながりを、科学的に検証しようとしたのがこの研究のねらいです。

研究の対象者と背景
この研究は、アメリカ合衆国の国民健康調査(NHANES)のデータをもとにしています。

調査対象となったのは、2011年〜2018年の間に実施された4回分の調査に参加した成人(18歳以上)のうち、条件を満たした8,004人です。
対象者は、性別・人種・所得層などさまざまで、アメリカの多様な社会を反映した構成になっています。
なお、この研究では、妊娠中の方や特定の重篤な病気を持つ方など、一部の対象は分析から除外されています。
そのため、結果はあくまで比較的健康な成人に当てはまるものとして参考にしてください。
この研究はアメリカ人を対象としていますが、コチニンの代謝や筋肉への影響は、人種によって大きく変わるものではないと考えられています。
そのため、日本人にも十分参考になる結果といえます。
特に、「加齢とともに筋肉量が減るのが気になる」「運動しているのに効果が感じにくい」と感じている方にとっては、生活習慣を見直すヒントになるかもしれません。

研究の手法と分析の概要
この研究は、アメリカの国民健康・栄養調査(NHANES)のデータを使った横断的な観察研究です。
すでに収集された健康情報から「喫煙(コチニンの量)と筋肉量の関連」を後から調べるというスタイルです。
測定されたもの
この研究で注目されたのは、主に以下の2つの数値です:
・血清コチニン濃度:喫煙や受動喫煙の影響を示す数値
・ASMI(四肢骨格筋指数):体の筋肉量を示す指標
そのほかにも、年齢・性別・人種・BMI・食事内容・運動習慣・医療歴など、
筋肉量に影響を与える可能性があるさまざまな要素が記録されており、
それらを調整して分析されています。
※コチニンとは?
コチニンは、タバコに含まれるニコチンが体内で代謝されたあとにできる物質です。血液中のコチニンの濃度(ng/mL)は、
タバコからどれだけ影響を受けたかを正確に表す指標
としてよく使われています。
※ASMI(四肢骨格筋指数)とは?
ASMIは、両腕と両脚の筋肉量を身長で補正したものです。
筋肉量は、以下の方法で測定されています
✅ 筋肉量の測り方
医療現場でも使われるDXA(デキサ)法:
二重エネルギーX線吸収測定法を使い、全身をスキャン。
その中から両腕+両脚の筋肉部分(ASM)を合計し、
それを身長の二乗で割ってASMI(kg/m²)を算出します。
この指標を使うことで、体格の違いによらず筋肉量を比較できるようになります。

どんな分析が行われた?
この研究では、コチニン濃度とASMIとの関連を調べるため、以下のような統計的手法が使われました:
・多変量線形回帰分析
→ 年齢や性別などの影響を取り除いて、コチニンの影響だけを抽出する分析
・スムーズカーブフィッティング(GAM)
→ 関係が直線的かどうかをグラフで確認し、非線形のパターンも見逃さない工夫
・閾値効果分析(2段階モデル)
→ 「どの値を境に影響が変わるか?」を調べる方法
この研究では、コチニン濃度が356ng/mLを超えると、筋肉量との関係がなくなるという発見がありました。
なぜこの手法が使われたの?
この研究では、「喫煙が筋肉量に与える影響」を明らかにするため、主観的な自己申告ではなく、血液中の客観的な数値(コチニン)を使用しています。
さらに、年齢・体格・生活習慣などの影響をできる限り取り除いて、純粋な“喫煙の影響”に近い形で筋肉量との関連を見られるよう、複数の統計分析を組み合わせて検証しています。
これにより、分析の信頼性が高められています。

研究結果
喫煙の影響は「筋肉量の低下」として現れる
この研究では、
血液中のコチニン濃度が高い人ほど、筋肉量(ASMI)が少ない
という明確な傾向が見つかりました。
ASMIは、筋肉量を体格に応じて調整した指標ですが、
調整前の絶対的な筋肉量(ASM)でも、同様の減少傾向が確認されています。
また、過去に喫煙していた「元喫煙者」でも、非喫煙者に比べてASMIが低い傾向が確認されました。
ただし、現在喫煙している人よりは影響が小さく、これは「禁煙によってある程度筋肉量が回復する可能性」を示しているとも言えます。
「喫煙していなくても安心とは限らない」
対象者は次の3つのグループに分けられ、それぞれの筋肉量(ASMI:四肢筋肉指数)を比較したところ、有意な差が認められました。
非喫煙者に比べて、喫煙者ではASMIが明らかに低下しており、その影響は統計的にも意味のあるものとされています(P < 0.001)。
グループ | 平均ASMI(四肢筋肉指数) |
非喫煙者 | 7.57 kg/m² |
受動喫煙者 | 7.49 kg/m² |
喫煙者 | 7.44 kg/m²(P < 0.001) |
さらに注目すべきは、自分では喫煙していなくても、周囲のタバコの煙(受動喫煙)によっても筋肉量が減少している可能性が示された点です。
「男女差」や「年齢差」にも注目すると…
この傾向は男女ともに見られましたが、特に男性でその影響が強く出ていました。
また、年齢層で比べた場合、
高齢者のほうが喫煙による筋肉量への影響がやや強い傾向も補足的に確認されています。

どれくらい減るのか?
具体的には、コチニン濃度が上昇するごとに、
ASMIが平均で約0.02kg/m²減少する
という数値が出ています。
喫煙量が多くなるほど、筋肉がじわじわと減っていくと考えるとイメージしやすいでしょう。
さらに、筋肉の絶対量(ASM:kg単位)でも、同様の減少傾向が確認されており、
格や性別を問わず、喫煙の影響が筋肉に現れていることが示唆されます。
また、運動習慣の有無で分けて解析しても、喫煙と筋肉量の関係は一貫して見られました。
「運動してるから大丈夫」と思っていても、タバコの影響は筋肉に確実に現れている可能性があります。
特に注目すべき「コチニン356ng/mL」という境目
この研究では、あるコチニンの濃度(356ng/mL)を境にして、筋肉量への影響がそれ以上強くならない“限界点”のようなものが見つかりました。
こうした「ここを超えると変化のしかたが変わるポイント」のことを、専門的には「しきい値(threshold)」と呼びます。
つまり、356ng/mL未満では濃度が上がるほど筋肉量が減っていきますが、それ以上になると、それ以上の減少は見られなくなるのです。
研究チームはこの結果について、
「筋肉への悪影響がある程度進むと、それ以上は目に見える変化が起きにくくなるのかもしれない」と考察しています。
つまり、
「たくさん吸えばマシ」という意味ではなく、すでに悪影響が出尽くしてしまっている可能性がある
ということです。
多くの要因を調整しても結果は変わらず
年齢・性別・人種・体格・栄養状態・運動習慣など、筋肉に関係しそうなさまざまな要因を統計的に調整しても、
「コチニン濃度が高いほど筋肉量が少ない」という関係は変わらず有意なままでした。
この関連性は、性別や年齢、健康状態といった多様なグループで分析しても基本的に変わらず、広く共通する傾向である可能性が示唆されました。
影響が見られなかった項目も
BMI(体格指数)や血糖値などの他の健康指標には、コチニンとの明確な関連は確認されませんでした。
さらに、コチニン濃度と体脂肪量との間にも、有意な関連は見られませんでした。
つまり、
喫煙によって体重全体が減るわけではなく、特に“筋肉”が選択的に減っている可能性が高い
と考えられます。
このことは、
喫煙が“見た目の体格”ではなく、筋肉という“体の中身”に影響している可能性
を示しています。

研究の結論
喫煙は筋肉量の減少と関連している
この研究では、
✅️血液中のコチニン濃度が高い人ほど、筋肉量(ASMI)が少ない
という明確な傾向が確認されました。
これは、運動習慣や年齢、栄養状態などを差し引いても変わらず見られる結果であり、
喫煙が筋肉に独立して悪影響を与える可能性を示しています。
自分で吸っていなくても油断はできない
非喫煙者に比べて、受動喫煙者(周囲の煙にさらされる人)でも筋肉量の減少が見られたことも重要なポイントです。
これは、
✅️タバコを吸っていない人でも、環境によって健康に影響を受けている可能性
を示唆しています。
特に注意が必要な人は?
この傾向はすべての年齢層・性別で見られましたが、
✅️特に男性や高齢者ではやや強く出る
ことも報告されています。
筋肉量が健康のカギを握るシニア世代では、喫煙の影響をより深刻にとらえる必要があるといえそうです。
なぜタバコが筋肉に悪いのか?
研究内では、喫煙が体内で以下のような反応を引き起こす可能性に言及されています:
・筋肉のたんぱく質を合成する働きを弱める
・時に、筋肉を分解する働きを促進する
・慢性的な炎症状態を誘発し、筋肉の回復や維持を妨げる
こうした変化が積み重なることで、筋肉量の減少に繋がっている可能性があると考えられています。

【礼次郎の考察とまとめ】
「見えない筋肉ダメージ」にもっと気づくべきかもしれない
この研究が教えてくれるのは、タバコの影響は肺や心臓だけではなく、
✅️筋肉という“動ける体”の土台にも静かに悪影響を与えている
ということです。
体重や見た目では分かりにくいですが、じわじわと筋肉が減っているかもしれない
――そう考えると少しゾッとしますよね。
日本人にとっての教訓
日本では、喫煙率こそ減ってきたものの、受動喫煙の機会はまだ身近にあります。
また、加熱式タバコや電子タバコなど
「新しいかたちの喫煙」も増えていますが、筋肉への影響がないとは限りません。
筋肉を健康に保つには、運動や栄養だけでなく、タバコとの距離にも意識を向けることが大切です。
「筋肉が落ちてきたな」「なんか疲れやすいな」そんな変化を感じたときは、運動や栄養だけでなく、
喫煙との関係にも少し目を向けてみると、新しい気づきがあるかもしれません。

締めのひとこと
“タバコを避けること”も、立派な筋トレ習慣です

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
私、礼次郎も昔は喫煙者でした。
禁煙外来で処方される薬は、体に合わず胃が痛くなったり、気持ち悪くなってしまったのでこの『ニコレット』ガムを噛んで禁煙に成功しました。
昔は味がないやつしか無くて、私が禁煙した10年くらい前には『フルーツティミント味』が出たくらいだったと思いますが、味のお陰でだいぶ助かりました。
現行ラインナップは4種類!
今はいっぱい種類があるんですねぇ
私だけかもしれませんが、噛み始めて数分でお腹の膨満感が出てきた記憶があります。
おそらくニコチンの作用だったのかな。
アフィリなのにこんなこと言っちゃっていいのかな(笑)
コメント