【NEJM】血管内からプラスチック検出!心血管リスク4.5倍の衝撃と、私たちが向き合うべき「現実」

動脈硬化プラーク内部にマイクロプラスチックが埋め込まれた頸動脈を示す模式的イラスト

結論「動脈硬化の手術を受けた患者の約6割の血管病変からプラスチック粒子が見つかり、それがある人は心筋梗塞や脳卒中のリスクが約4.5倍高いことが判明しました。」

この記事はこんな方におすすめ

✅健康診断で動脈硬化や血管の状態を指摘されたことがある方
✅便利なプラスチック製品と健康リスクのバランスを冷静に知りたい方
✅「なぜ体の中にプラスチックが入るのか?」その侵入経路を知りたい方
✅感情的な批判ではなく、最新医学論文に基づいた客観的な事実を知りたい方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:プラスチックは現代生活に不可欠ですが、実は私たちの体、特に血管の中にまで入り込んでいるというのは本当でしょうか?

🟡結果:イタリアの研究で、手術で取り出した血管プラークの58.4%からポリエチレンが検出されました。これが見つかった患者は、見つからなかった患者に比べて心筋梗塞・脳卒中・死亡のリスクが4.53倍高いというデータが出ました。

🟢教訓:プラスチックを完全にゼロにするのは不可能ですが、吸収される経路(食事・呼吸など)を知り、過剰な摂取を控える「リスク管理」の視点が重要です。

🔵対象:イタリアで無症候性の頸動脈狭窄症の手術を受けた患者257名(先進国での生活様式における共通のリスクと考えられます)。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。

はじめに

皆さん、こんにちは!

突然ですが、皆さんは「プラスチック」と聞いて何を思い浮かべますか?

環境問題のニュースを見て「プラスチックは悪だ」と感じる方もいれば、「いやいや、医療現場や食品保存には絶対に欠かせない素晴らしい素材だ」と考える方もいるでしょう。

わたしも現役の外科医として日々手術をしていますが、手袋、注射器、点滴のチューブなど、プラスチック製品がないと現代医療は1秒たりとも成立しません。

人類に恩恵をもたらしてきたこの便利な素材を、単に「悪者」と決めつけるのは短絡的すぎます。

しかし、「便利な道具として使うこと」と「それが体の中に入り込んでしまうこと」は別の問題として冷静に区別しなければなりません。

本日ご紹介するのは、世界最高峰の医学雑誌『The New England Journal of Medicine (NEJM)』に掲載された、

「血管の中にプラスチックはあるのか? そしてそれは悪さをするのか?」

という疑問に挑んだ研究です。

感情論抜きにして、科学が示した「事実」を一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

血管からプラ検出!心臓病リスク4.5倍の衝撃|Dr.礼次郎
「血管の中にプラスチックのゴミが溜まっている」。 世界最高峰の医学誌NEJMが発表した衝撃の事実は、それが心筋梗塞や脳卒中のリスクを約4.5倍も高めるというものでした。 こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学...

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の一次情報をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。

今回読んだ論文

“”Microplastics and Nanoplastics in Atheromas and Cardiovascular Events””

(アテローム(動脈硬化巣)および心血管イベントにおけるマイクロプラスチックとナノプラスチック)

Raffaele Marfella, Francesco Prattichizzo, Celestino Sardu, et al.

N Engl J Med. 2024 Mar 7;390(10):900-910. doi: 10.1056/NEJMoa2309822.

PMID: 38446676 DOI: 10.1056/NEJMoa2309822

掲載雑誌:The New England Journal of Medicine (NEJM)【イギリス IIF 78.5(2024)】 2024年より

研究の要旨(Abstract)

研究目的

動脈硬化のプラーク(血管内の汚れ)の中にマイクロプラスチックやナノプラスチック(MNPs)が含まれているかを確認し、それが将来の心血管疾患リスクと関連するかを調べること。

研究方法

イタリアの複数施設で、頸動脈内膜剥離術を受けた無症候性の患者257人を対象に、摘出したプラークを化学的・顕微鏡的に分析し、術後約34ヶ月間追跡調査しました。

研究結果

患者の58.4%のプラークからポリエチレンが、12.1%からはポリ塩化ビニルも検出されました。
これらが見つかった患者は、見つからなかった患者より心血管イベント発生リスクが約4.5倍高くなりました。

結論

動脈硬化プラーク内にMNPs(特にナノプラスチック)が蓄積していることが確認され、その存在は心筋梗塞や脳卒中などのリスク上昇と強く関連していました。

考察

プラスチック粒子が血管内で炎症を引き起こしている可能性がありますが、他の環境要因の影響も否定できず、因果関係の確定にはさらなる研究が必要です。

研究の目的

この研究が取り組んだのは、現代社会に生きる私たち全員に関わる「問い」です。

これまで、動物実験ではプラスチック粒子が心臓や血管に炎症を起こすことが示唆されていました。

また、人間の血液からプラスチックが見つかったという報告もありました。

しかし、「実際に動脈硬化を起こしている人間の病変部(プラーク)にプラスチックは溜まっているのか?」、

そして「それが溜まっていると、本当に病気が重くなるのか?」という点については、明確な証拠がありませんでした。

研究チームは、手術で取り出したプラークを徹底的に調べることで、この「ミッシングリンク(失われた鎖)」を繋ごうとしたのです。

これはプラスチックを否定するためではなく、未知のリスクを科学的に評価するための重要なステップです。

研究の対象者と背景

今回の研究対象は、以下の特徴を持つ方々です。

対象者

イタリアのナポリ周辺の医療機関で、無症候性の「頸動脈内膜剥離術(CEA)」を受けた患者さん。

人数

追跡調査を完了した257名。

年齢

背景:18歳から75歳までの成人。

この研究はイタリアで行われましたが、日本もイタリアもプラスチック包装や化学製品に囲まれた先進国です。

食文化の違いはあれど、プラスチックへの曝露(ばくろ)経路は共通しています。

したがって、この結果は「対岸の火事」ではなく、我々日本の状況にも十分通ずる警鐘と捉えるべきでしょう。

研究の手法と分析の概要

この研究の信頼性を支えているのは、非常に厳密な分析手法です。

プラークの採取

手術で血管から取り出したプラークを使用。

分析技術

「熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法」という高度な化学分析で、11種類のプラスチックの有無を定量化。さらに電子顕微鏡で「粒子の形」まで確認しています。

コンタミネーション(混入)対策

実験器具からのプラスチック混入を防ぐため、綿の白衣の使用やガラス器具の使用など、徹底的な対策が行われました。

単に「見つかった」だけでなく、「どの種類のプラスチックが」「どれくらいの量」そこにあるのかを突き止めた点が、この研究の画期的なところです。

【補足:各種用語】

マイクロプラスチック・ナノプラスチック(MNPs) 

5mm以下のものをマイクロプラスチック、1000ナノメートル(1μm)以下のものをナノプラスチックと呼びます。
ナノサイズになると、細胞の隙間をすり抜けて血管内に入り込む可能性が高まります。

ポリエチレン(PE) 

レジ袋、食品容器、ボトルなどに使われる最も身近なプラスチックです。

ポリ塩化ビニル(PVC) 

水道管、建材、一部のラップフィルムなどに使われます。

ハザード比(Hazard Ratio) 

ある要因(今回はプラスチックの有無)によって、リスクが何倍になるかを示す数値。
今回は「4.53倍」という非常に高い値が出ました。

研究結果

ここからは、感情論ではなく「データ」として示された事実を見ていきましょう。

血管のゴミの「成分」が判明

手術を受けた257人のプラークを分析した結果、衝撃的な事実が分かりました。

• 58.4%(150人)から「ポリエチレン」が検出。

• 12.1%(31人)からは「ポリ塩化ビニル」も検出。

電子顕微鏡で拡大すると、そこにはギザギザした鋭利な形状の異物が写っていました。

これらは主に1μm以下の「ナノプラスチック」であり、マクロファージ(体の掃除屋である免疫細胞)の中に取り込まれていました。

免疫細胞が異物を処理しようとして、取り込んだまま居座ってしまっている状態です。

心血管リスクは「4.53倍」の差

最も重要なのは「予後(その後の経過)」です。術後約3年の追跡調査の結果は以下の通りでした。

MNPsなし群

心筋梗塞・脳卒中・死亡の発生率 7.5%

MNPsあり群

心筋梗塞・脳卒中・死亡の発生率 20.0%

糖尿病や高血圧などの影響を除外して計算しても、「プラスチックがある人は、ない人に比べてリスクが4.53倍高い(P<0.001)」という統計的に非常に有意な結果となりました。

なぜ悪さをするのか?(炎症反応)

プラスチックが検出されたプラークでは、そうでないプラークに比べて炎症マーカー(IL-18, TNF-αなど)の数値が高くなっていました。

鋭利なプラスチック粒子が血管壁で免疫細胞を刺激し続け、慢性的な「火事(炎症)」を引き起こしている可能性があります。

この炎症がプラークを脆くし、結果として血管事故につながると考えられます。

影響が見られなかった点(陰性所見)

興味深いことに、患者の居住地域や手術を受けた病院による検出率の差は見られませんでした。

これは、特定の汚染地域だけでなく、我々の生活圏全体にリスクが広がっている可能性を示唆しています。

解釈:これは「プラスチック禁止論」ではない

この結果を見て「プラスチックを全廃すべきだ」と考えるのは早計です。

しかし、「体内に入り込んだ微細な粒子が、アスベストや他の粒子と同じように、物理的な刺激で炎症を起こしている」という事実は重く受け止める必要があります。

研究の結論

動脈硬化の手術が必要な患者のプラーク内には、高頻度でマイクロ・ナノプラスチック(MNPs)が存在し、その存在は将来の心血管イベントリスクの大幅な上昇と関連していた。

これが、今回の研究が示した科学的結論です。

礼次郎の考察とまとめ

論文著者らの考察

著者らは、この結果を冷静に分析しています。

なぜ血管に入るのか?

主に「ナノプラスチック」レベルまで微細化した粒子が、腸の壁や肺のバリアをすり抜けて血流に乗ったと考えられます。

どこから来たのか?

論文中では、「飲み水、食品、化粧品、そして空気(PM2.5に付着したもの)」などが侵入経路として挙げられています。

特定の製品が悪いというよりは、環境全体からの総曝露量の問題のようです。

因果関係の限界

プラスチックがあるから病気になったのか、それとも「プラスチックを取り込みやすい生活環境(加工食品が多いなど)」にいる人は他の健康リスクも高いのか、完全には切り分けられていません。

日常生活へのアドバイス

「プラスチックは生活に欠かせない」。それは事実です。だからこそ、ゼロにするのではなく「体に入れる量を減らす」中道的な対策を提案します。

「吸い込まない」工夫を 

意外かもしれませんが、マイクロプラスチックは空気中のホコリにも含まれています(化学繊維の服やタイヤの摩耗粉など)。

こまめな部屋の掃除と換気は、肺からの侵入を防ぐ有効な手段です。

加熱時の容器に注意する 

食品保存にタッパーやラップは便利ですが、高温になるとプラスチック粒子が食品に移行しやすくなります。

電子レンジで加熱する際はガラス容器や陶器に移し替えるなど、口に入る直前の工程だけ工夫してみましょう。

水と食事の選択 

ペットボトル飲料や加工食品を完全に避けるのは難しいですが、頻度を減らすことはできます。

マイボトルの利用や、自炊の比率を少し上げることは、血管を守ることに繋がります。

基本の生活習慣を大切に 

プラスチックのリスクが判明したとはいえ、高血圧や喫煙の方がリスクとして確立しています。

プラスチックを気にするあまりストレスを溜めるより、まずは従来の健康管理をしっかり行いましょう。

血管の中の汚れにまで現代社会の産物が入り込んでいることに驚きました。

しかし、プラスチックのおかげで感染症が防げているのもまた事実。

極端な排除ではなく、「便利なものにはリスクもある」と正しく恐れ、賢く付き合っていく姿勢が、令和の健康管理には必要だと感じました。

締めのひとこと

「目に見えないリスクだからこそ、極端な恐怖ではなく冷静な知識で対抗しましょう。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

画像は主にChat GPT・Geminiを使用しAIで作成しております。

あくまでも、すべてイメージ画像です。

本文の内容を正確に表した画像ではありませんのでご注意ください。

免責事項

本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。

特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。

本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。

読者の皆様は、記事の内容をご自身の責任において吟味し、適切に判断してご利用ください。

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