
結論「急性筋骨格系疼痛には局所NSAIDsが最も確かな選択肢 であり、キャベツ葉湿布(CLW)やTraumeelといった代替治療も有望な結果を示している。」
この記事はこんな方におすすめ
✅ さまざまな塗る・貼るタイプの鎮痛剤(局所用)の効果と安全性を知りたい
✅ 最新の科学的エビデンスに基づいた局所鎮痛剤の選び方を知りたい
✅ 慢性的な関節や筋肉の痛みに悩んでおり、新しい治療オプションを探している
✅ 飲み薬(経口NSAIDs)の副作用リスクを避けたいと考えている
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:日常生活で起こる急性・慢性的な筋骨格系疼痛(MSK痛)に対して、どの局所鎮痛剤が最も効果的で安全性が高いのか?
🟡結果:局所NSAIDsは筋骨格系疼痛に強く推奨され(SORT A)、キャベツ葉湿布は変形性膝関節症においてジクロフェナクジェルと同等の鎮痛効果を示した(SORT B)。
🟢教訓:局所NSAIDsは全身的な副作用リスクが低く第一選択肢となり得る。治療選択は痛みの種類、副作用、費用、患者の好みで決定すべき。
🔵対象:2000年~2023年の86報の論文をレビューしたナラティブレビュー(エビデンスレベル2)。主に成人の筋骨格系疼痛(MSK)患者が対象。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、体の 節々(ふしぶし) に痛いところはありませんか?
私はヘルニア持ちなので、いつも腰が痛くてなかなか大変です(笑)。
私と同じように体の節々や筋肉の痛み、特に古傷や関節痛に悩まされる方は多いでしょう。
世界中で約17億人が筋骨格系(MSK)の痛みに苦しみ、これが障害の主要な原因となっています。
一般的な治療法である経口鎮痛剤(飲み薬)は有効ですが、胃腸毒性、腎毒性、心血管イベントなどの重篤な副作用リスクが伴うことが懸念されています。
では、手軽に使える「塗る痛み止め」や「貼るパッチ剤」は本当に効果があるのでしょうか?
今回ご紹介するのは、アメリカの権威ある医学雑誌 Sports Health に2024年に掲載された最新のレビュー「Making Sense of Topical Pain Relief Options」です。
このレビューは、局所鎮痛剤の有効性と安全性を科学的に比較し、最新の推奨度(SORTレベル)を提供しています。
今回は、アメリカ発のこの研究をご紹介し、日本人の私たちにも活かせる健康づくりのヒントを解説します!
noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Making Sense of Topical Pain Relief Options: Comparing Topical Analgesics in Efficacy and Safety””
(局所鎮痛剤の選び方:有効性と安全性の比較)
Andrew Clark Smith, M Seth Smith, Ryan P Roach et al.
Sports Health. 2024 Oct 26:19417381241280593. doi:10.1177/19417381241280593.
PMID: 39460722 DOI: 10.1177/19417381241280593
掲載雑誌:Sports Health【アメリカ】 2024年10月より
研究の要旨
研究目的
現在一般的に使用されている局所鎮痛剤について、有効性(エビデンスレベル)と安全性を記述的にレビューすること。
研究方法
PubMed.govとCochrane Libraryを使用し、2000年~2023年に発表された局所鎮痛剤に関する86報の文献をレビューした(ナラティブレビュー)。
研究結果
局所NSAIDs、リドカイン、硝酸グリセリンが高い推奨度(SORT A)を示した。また、キャベツ葉湿布やTraumeelが有望な代替治療(SORT B)として示された。
結論
局所鎮痛剤の選択は、痛みの種類、副作用、患者の合併症、好み、利便性、費用に基づいて決定されるべきである。
考察
局所NSAIDsとキャベツ葉湿布は複数のタイプの急性筋骨格系疼痛に最も適しており、複合外用薬よりも単剤クリームが推奨される可能性がある。
研究の目的
筋骨格系(MusculoSKeletal 以下:MSK)の痛みは世界的に障害の主要因であり、経口鎮痛剤の副作用リスク(消化器系、腎臓、心血管イベントなど)が懸念される中で、今回のナラティブレビューは、主要な局所鎮痛剤クラスの有効性と安全性を評価し、エビデンスに基づいた推奨度(SORTレベル)を提供することを目的としています。
研究の概要と対象者は?
本レビューは、米国フロリダ大学を中心とした研究グループが実施しました。

2000年~2023年に発表された文献86報がレビューされており、研究対象は主に成人の筋骨格系疾患(MSK痛)患者です。
特に、局所NSAIDsは75歳以上の患者にとって魅力的な第一選択肢として強く推奨されています。
研究の手法と分析の概要
本研究は、PubMed.govとCochrane Libraryを使用した文献検索に基づいたナラティブレビューです。
研究デザインに基づくエビデンスレベルはレベル2と評価されています。
レビューされた各局所鎮痛剤および治療法には、推奨度の強さの分類(SORT)が割り当てられています。
【補足】SORT(Strength-of-Recommendation Taxonomy)とは?
SORTとは、医療文献の推奨度を評価・ランク付けするための指標です。
SORT A:高品質なエビデンスがあり、強く推奨できる
SORT B:中等度のエビデンスがあり、ある程度推奨できる
SORT C:専門家意見や低質のエビデンスしかなく、慎重な判断が必要
研究結果
本レビューにより、局所鎮痛剤の有効性は痛みの種類によって大きく異なることが明確にされました。
強く推奨される治療法(SORT A)
局所NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
◦ 適応症:急性筋骨格系疼痛、変形性関節症(OA)。
◦ 特徴: 経口NSAIDsと比較して全身への吸収が少なく(ピーク血清濃度の2%〜8%)、全身性の重篤な副作用リスクが低い。
◦ 最も効果的な製剤: ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェンのジェル製剤は、特に短期使用(2週間)において急性MSK痛に最も効果的。

◦ 注意点: 腰痛や頸部痛に対しては、局所ジクロフェナクはプラセボと同程度の有効性しか示さなかった研究があり、これらの部位には不適切な選択肢となる可能性がある。👉 ジクロフェナク:市販薬例 → ボルタレンなど
👉 イブプロフェン:市販薬は飲み薬はあるが、日本ではパッチ剤や塗布剤はほぼ見当たらず
👉 ケトプロフェン:市販薬例 → フェイタスなど

局所リドカイン
◦ 適応症:帯状疱疹後神経痛(PHN)。
◦ 特徴: 米国FDAによってPHN治療薬として承認されており、複数の研究で有効性が実証されている。
👉 日本では処方薬としては入手可能ですが、OTC(市販品)では入手不可😭。
硝酸グリセリンパッチ(ニトログリセリン)
◦ 適応症:回旋筋腱板痛。
◦ 特徴: 長期間の使用(12~24週間)が必要となるが、日常生活動作中の痛みを軽減する上で有意な効果が示唆された。👉 日本では狭心症治療薬としての処方薬は存在しますが、鎮痛目的のパッチ剤は市販されていません。😭
有望な代替治療法(SORT B)
キャベツ葉湿布(CLW)
◦ 適応症:変形性膝関節症(OA)。
◦ 特徴: 4週間の使用で、NSAIDsジェル(ジクロフェナク)と同等の鎮痛効果が報告された。通常のケアと比較して、機能障害やQOLの改善において有意なプラス効果が見られた。
◦ メカニズム: キャベツに含まれる硫黄化合物が、フラボノイドなどの抗炎症化合物の皮膚浸透を高めることが示唆されている。
👉 今回特に話題になっているのが「キャベツ葉湿布」です!自然療法として非常に注目されています。

Traumeel(トラウミール)
◦ 適応症:急性MSK損傷。
◦ 特徴: ジクロフェナクジェルに匹敵する効果が示された。ただし、この研究は製造元が出資したものである。
👉 日本では承認されておらず、個人輸入が必要です。😭

O24スプレー
◦ 適応症:線維筋痛症(FMS)。
◦ 特徴: FMS患者の症状コントロールに対する合理的な代替手段となり得る。リスクプロファイルが低い。
👉 日本では一般販売はなく、個人輸入が必要です。😭

カプサイシン
◦ 適応症:変形性膝関節症(OA)、神経因性疼痛成分を持つMSK痛。
◦ 特徴: OA治療において、局所NSAIDsとカプサイシンの効果に有意な差はなかった。OA膝痛患者の15%が神経因性様の症状を訴えることから、このタイプに特に有益かもしれない。
👉 日本では、トウガラシエキス(カプサイシンを含む)を配合した外用パップ剤やクリームが市販されています
こうして見ると、日本国内で市販の鎮痛剤の選択肢はかなり限られているのが現状ですね。😭
エビデンスが限定的な治療法(SORT C)
冷却療法(Cryotherapy)
エビデンスは少ないが、リスクプロファイルが非常に低く、費用も安価であるため、マルチモーダルな疼痛治療に組み込むことは可能。
局所リドカイン
腰痛、膝OA、肩関節インピンジメントに対する有効性のデータは限定的。
カンナビノイド(CBD)
慢性の痛みの治療を支持する予備的な研究はあるが、ほとんどのデータは経口剤に基づくか、結果が混合している。
複合外用薬について
複数の薬剤を組み合わせた複合外用薬は、プラセボや承認された単剤の局所疼痛クリームと比較して、有意な効果の優位性を示すことができませんでした。
高コストであることから、患者の好みや利便性を考慮しない場合、単剤クリームの提供がより適切である可能性があります
キャベツ葉湿布についてもっと詳しく!!
残念ながら今回の論文内には、キャベツ湿布の具体的なやり方の詳細な記載はありません。
しかし、引用元の過去研究(RCT)では、キャベツの葉を患部に1日1回約2時間程度巻いて使用する方法が報告されています。
“Efficacy of Cabbage Leaf Wraps in the Treatment of Symptomatic Osteoarthritis of the Knee: A Randomized Controlled Trial”
Clin J Pain. 2016 Nov;32(11):961-971.
PMID: 26889617 DOI: 10.1097/AJP.0000000000000352

大まかな手順
・キャベツの葉(緑キャベツ)を冷蔵庫で冷やして柔らかくする
・葉の硬い茎部分は軽く潰す
・膝に直接当て、包帯などで固定
・1日1回 約2時間施用
・4週間継続

結果として、痛み・機能ともにキャベツ湿布群がNSAIDs群と同等の改善を示しました。
キャベツ、なかなか侮れません!
※貼り終わったキャベツを食べるかどうかは……自己判断で(笑)。
キャベツ湿布のSORT Bというのは、簡単に言えば「面白いがまだ研究途中」という段階です(笑)。
ちなみにWikipediaの「キャベツ」項目にも:
「薬効:ヨーロッパを中心に痛み止めとして患部にキャベツの葉を貼るという治療法がある」出典:Wikipedia
との記載があります。
私たち日本人にとっての「喉の痛みには首にネギを巻く」的な、海外では意外と一般的な民間療法かもしれませんね。

【礼次郎の考察とまとめ】
論文著者の考察
著者らは、局所NSAIDsとキャベツ葉湿布(CLW)が複数のタイプの急性MSK疼痛に最も適しているように見えると述べています。
硝酸グリセリンは、日常生活を送る際の痛みの軽減を求める回旋筋腱板痛患者に有効であり、長期治療の意思がある場合に有用です。
一方で、Traumeelのような有望な天然鎮痛剤については、製造元の資金提供による研究が報告されている点、また、複合外用薬については、単剤クリームと比較して優位性が示されなかった点から、薬物選択においてはエビデンスと費用対効果を重視する必要があるとして除外しています。
日常生活へのアドバイス
この最新研究の結果は、私たちが普段薬局で選んでいる「塗る痛み止め」について、より科学的な選択を可能にしてくれます。
1. 急性疼痛(捻挫・打撲・OA)には「局所NSAIDs」が最善の選択肢
全身的な副作用を避けて痛みを効果的に管理したい場合、局所NSAIDs(ジクロフェナク、ケトプロフェンなど)は、科学的にも最も確かなエビデンス(SORT A)で裏付けられています。
日本国内でもパッチ剤やジェルが豊富に市販されており、第一選択として検討すべきです。
2. 「痛みの種類」に合わせた使い分けがカギ
局所鎮痛剤は「どこが痛いか」だけでなく、「どんな痛みか」で選びます。
• 炎症を伴う関節や筋肉の痛み:局所NSAIDs
• 肩の回旋筋腱板の慢性的な痛み:硝酸グリセリンパッチ(日本では鎮痛目的では未承認だが、エビデンスはSORT A)
• 神経が原因の痛み(例:しびれを伴う膝OA):カプサイシン
3. 日本で試せる有望な代替療法「キャベツ湿布」
変形性膝関節症(OA)患者にとって、キャベツ葉湿布はジクロフェナクジェルと同等の効果を持つ(SORT B)という結果は非常に興味深いです。
キャベツに含まれる抗炎症成分が皮膚浸透を促進する可能性が示唆されています。
日本国内で未承認の薬が多い中、家庭で試せる数少ない有望な選択肢です。
(ただし、皮膚の弱い方は刺激に注意し、あくまで自己責任でご使用ください。)
4. 複合外用薬(高価な調合クリーム)は再検討の余地あり
複数の成分を配合した高価な複合外用薬は、単剤クリームやプラセボと比較して優位性が証明されていません。
費用対効果を考えると、エビデンスが確立された単剤の局所NSAIDsから試すのが賢明です
最新の科学的知見を参考に、自分の症状やライフスタイルに合わせた局所鎮痛ケアを工夫してみてくださいね。
締めのひとこと
世界には意外な選択肢もある——自分の体と相談しながら、納得のいく痛みケアを見つけていきましょう。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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