
結論「局所鎮痛剤は日本では、NSAIDsが最も確かな選択肢、一方でキャベツ湿布など自然療法にも一定の効果が示された。」
この記事はこんな方におすすめ
✅ さまざまな塗る・貼るタイプの鎮痛剤(局所用)の効果と安全性を知りたい
✅ 最新の科学的エビデンスに基づいた局所鎮痛剤の選び方を知りたい
✅ 自然療法(キャベツ湿布)も含めた最新の研究結果に興味がある
✅ 自分の症状に合う局所鎮痛剤を見つけたい

はじめに
皆さん、体の 節々(ふしぶし) に痛いところはありませんか?
私はヘルニア持ちなので、いつも腰が痛くてなかなか大変です(笑)。
あまりにも痛みがつらいときにはパッチ剤を貼ったり、最近では手軽に使える「塗るタイプの痛み止め」を試すこともあります。
ただ、飲み薬と違って手軽な反面、「本当に効くの?」と疑問に思ったことはありませんか?
2024年に発表された最新のレビュー論文『Making Sense of Topical Pain Relief Options』(Sports Health 2024)は、こうした局所鎮痛剤の効果と安全性について詳しく分析しています。
今回は、アメリカ発のこの研究をご紹介し、日本人の私たちにも活かせる健康づくりのヒントを解説します!
自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

今回読んだ論文
“”Making Sense of Topical Pain Relief Options: Comparing Topical Analgesics in Efficacy and Safety””
(局所鎮痛剤の選び方:有効性と安全性の比較)
Sports Health. 2024 Oct 26:19417381241280593. doi:10.1177/19417381241280593.
PMID: 39460722 DOI: 10.1177/19417381241280593
掲載雑誌:スポーツヘルス 【アメリカ】 2024年10月より
研究の概要と対象者は?
今回の論文は、アメリカ・フロリダ大学を中心とした研究グループによるものです。

米国および国際的な86件の論文(2000〜2023年発表)を対象にした文献レビュー(ナラティブレビュー)であり、研究対象は主に成人の筋骨格系疾患(MSK痛)患者です。
欧米の研究が中心で、対象者の人種は明記されていませんが、白人が多いと推察されます。
高齢者(75歳以上)にも言及されており、一般成人から高齢者までを想定しています。
最新研究で効果が高いとされた局所鎮痛剤はこれだ!
✅ NSAIDsジェル・クリーム → 急性筋肉痛・関節痛に最も推奨(SORT A)
ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェンなどのNSAIDsジェル・クリームは、急性の筋骨格系痛(捻挫、変形性膝関節症など)に対して「最も科学的な裏付けが強い(SORT A)」と評価されています。
👉 ジクロフェナク:市販薬例 → ボルタレンなど
👉 イブプロフェン:市販薬は飲み薬はあるが、日本ではパッチ剤や塗布剤はほぼ見当たらず
👉 ケトプロフェン:市販薬例 → フェイタスなど

✅ リドカインパッチ → 神経痛(帯状疱疹後神経痛)に有効(SORT A)
帯状疱疹後の神経痛にはリドカインパッチの効果が明確に確認されています。
一部、腰痛や膝OAなどへの適応が広がる可能性も。
👉 日本では処方薬としては入手可能ですが、OTC(市販品)では入手不可😭。
✅ 硝酸グリセリンパッチ → 回旋筋腱板痛(肩の痛み)に長期使用で効果(SORT A)
12〜24週間の使用により、肩の回旋筋腱板痛に有効という結果が得られています。
👉 日本では狭心症治療薬としての処方薬は存在しますが、鎮痛目的のパッチ剤は市販されていません。😭

✅ キャベツ葉湿布 → 膝の変形性関節症にNSAIDsジェルと同等効果(SORT B)
今回特に話題になっているのが「キャベツ葉湿布」です!
研究では、膝の変形性関節症患者に4週間施用したところ、NSAIDsジェル(ジクロフェナク)と同等の鎮痛効果が報告されています。

✅ O24スプレー → 線維筋痛症(FMS)に有望(SORT B)
O24スプレーは、ペパーミントやユーカリなどの自然由来成分を配合した局所用鎮痛スプレーで、線維筋痛症などの慢性痛に対する補助療法として一部エビデンスがあります。
👉 日本では一般販売はなく、個人輸入が必要です。😭

✅ Traumeelクリーム → 急性MSK痛に対して有望(SORT B)
Traumeelクリームは、アルニカやカレンデュラなど植物由来成分を含むドイツ発のホメオパシー系クリームで、筋肉痛や関節痛の緩和に対する補助的な効果が報告されています。
👉 日本では承認されておらず、個人輸入が必要です。😭
こうして見ると、日本国内で市販の鎮痛剤の選択肢はかなり限られているのが現状ですね。😭

【補足】SORTとは?
SORTとは、医療文献の推奨度を評価・ランク付けするための指標です。
✅ SORT A:高品質なエビデンスがあり、強く推奨できる
✅ SORT B:中等度のエビデンスがあり、ある程度推奨できる
✅ SORT C:専門家意見や低質のエビデンスしかなく、慎重な判断が必要
キャベツ葉湿布についてもっと詳しく!!
残念ながら今回の論文内には、キャベツ湿布の具体的なやり方の詳細な記載はありません。
しかし、引用元の過去研究(RCT)では、キャベツの葉を患部に1日1回約2時間程度巻いて使用する方法が報告されています。
“Efficacy of Cabbage Leaf Wraps in the Treatment of Symptomatic Osteoarthritis of the Knee: A Randomized Controlled Trial”
Clin J Pain. 2016 Nov;32(11):961-971.
PMID: 26889617 DOI: 10.1097/AJP.0000000000000352

大まかな手順
✅ キャベツの葉(緑キャベツ)を冷蔵庫で冷やして柔らかくする
✅ 葉の硬い茎部分は軽く潰す
✅ 膝に直接当て、包帯などで固定
✅ 1日1回 約2時間施用
✅ 4週間継続

結果として、痛み・機能ともにキャベツ湿布群がNSAIDs群と同等の改善を示しました。
キャベツ、なかなか侮れません!
しかし、4週間て・・・(笑)
※貼り終わったキャベツを食べるかどうかは……自己判断で(笑)。
キャベツ湿布のSORT Bというのは、簡単に言えば「面白いがまだ研究途中」という段階です(笑)。
ちなみにWikipediaの「キャベツ」項目にも:
「薬効:ヨーロッパを中心に痛み止めとして患部にキャベツの葉を貼るという治療法がある」出典:Wikipedia
との記載があります。
私たち日本人にとっての「喉の痛みには首にネギを巻く」的な、海外では意外と一般的な民間療法かもしれませんね。

【筆者の考察】日本人が注意すべきポイントと国内での現実的な選択肢
日本国内で現状、手軽に選べる局所鎮痛剤は、
✅ NSAIDsジェル/クリーム・パッチ剤
✅ キャベツ湿布(自作)
このあたりが中心にならざるを得ないという、やや残念な状況が見えてきました。
とはいえ、NSAIDsジェル/クリーム・パッチ剤は日本国内でも種類が豊富で、エビデンスも確かな選択肢です。
キャベツ湿布は唯一、家庭療法として誰でも実践可能な選択肢ですが、食品衛生や皮膚への刺激には注意が必要です。
※・・・あくまで自己責任でお願いいたします。
まとめ
日本では選択肢は限られるが、「痛みの種類」に合わせた工夫が重要
今回の論文から、世界的には多様な局所鎮痛オプションが存在していることがわかりました。
しかし、日本国内では薬事制度や流通事情の制約が大きく、選択肢が非常に限られているのが現状です。
それでも、NSAIDsジェルは科学的に確かな効果が確認されている選択肢であり、キャベツ湿布も興味深い民間療法として試す価値があります(自己責任で)。
最新の科学的知見を参考に、自分の症状やライフスタイルに合わせた局所鎮痛ケアを工夫してみてくださいね。
締めのひとこと
「世界には意外な選択肢もある——自分の体と相談しながら、納得のいく痛みケアを見つけていきましょう。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
コメント