
結論「オメガ3は全身のタンパク質代謝を活性化させるが、「筋肉を直接作るスイッチ」にはならない可能性が高い。」
この記事はこんな方におすすめ
✅ 筋トレの効果を高めるためにフィッシュオイル(オメガ3)を飲んでいる方
✅ 年齢とともに筋肉が落ちてきて(サルコペニア)不安を感じている方
✅ 「血液サラサラ」以外のオメガ3の効果を知りたい健康志向の方
✅ サプリメントの効果について、宣伝文句ではなく科学的な根拠を知りたい方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴 疑問:体に良いと言われる「オメガ3脂肪酸(魚油)」を飲むと、筋肉の合成が高まってマッチョになれる、あるいは加齢による筋肉減少を防げるのか?
🟡 結果:残念ながら、オメガ3を摂取しても「筋肉の合成速度」自体には変化がありませんでした。しかし、「全身のタンパク質合成」は有意に高まることが判明しました。
🟢 教訓:オメガ3は「飲むだけで筋肉が増える魔法の薬」ではありません。しかし、全身の代謝や健康維持(抗炎症など)には貢献するため、筋肉の「維持」や健康の土台作りとして摂取するのが賢い方法です。
🔵 対象:アメリカ、イギリス、カナダなどで行われた8つの質の高い研究を統合した解析です。健康な若者から高齢者、持病のある方まで幅広く含まれており、日本人にも参考になるデータです。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
皆さんは、
「最近なんだか筋肉が落ちてきたな…」
「プロテインと一緒に何を飲めば効果的だろう?」
なんて悩んでいませんか?
健康番組や雑誌で「魚の油(オメガ3)が筋肉に良い!」なんて特集を見ると、ついつい試してみたくなりますよね。
でも、実際にどれくらい効果があるのか、本当のところはよく分からないまま飲んでいる方も多いのではないでしょうか。
本日ご紹介するのは、そんな私たちの素朴な疑問にズバリ答えてくれる、「オメガ3脂肪酸とタンパク質合成」に関する最新の研究です。
今回は、栄養学の権威ある雑誌 Nutrition Reviews の論文をもとに、オメガ3の本当の実力を一緒に読み解いていきましょう。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”The effects of omega-3 polyunsaturated fatty acids on muscle and whole-body protein synthesis: a systematic review and meta-analysis””
(オメガ3多価不飽和脂肪酸が筋肉および全身のタンパク質合成に及ぼす影響:システマティックレビューおよびメタアナリシス)
Atiporn Therdyothin, Konstantinos Prokopidis, Francesco Galli, et al.
Nutr Rev. 2025 Feb 1;83(2):e131-e143. doi: 10.1093/nutrit/nuae055.
PMID: 38777807 DOI: 10.1093/nutrit/nuae055
掲載雑誌:Nutrition Reviews【アメリカ IF 6.75(2024)】 2025年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
オメガ3脂肪酸(魚油などに含まれる脂質)の摂取が、健康な成人や臨床患者において、筋肉や全身のタンパク質合成速度を本当に高めるのかを検証すること。
研究方法
PubMedやWeb of Scienceなどの主要データベースから、2022年12月までの関連するランダム化比較試験(RCT)を徹底的に検索し、基準を満たした8つの研究データを統合して解析(メタアナリシス)した。
研究結果
オメガ3の摂取は、筋肉のタンパク質合成速度(MPS)には有意な影響を与えなかったが、全身のタンパク質合成速度(Whole-body protein synthesis)は有意に増加させた。
結論
オメガ3は、筋肉そのものの合成を直接刺激するわけではないが、全身レベルでのタンパク質代謝を活性化させる効果がある。
考察
オメガ3の効果は、筋肉を作る(合成)ことよりも、炎症を抑えて筋肉が壊れるのを防ぐ(分解抑制)ことや、神経系の機能を改善することにあるのではないかと考えられる。
研究の目的
「魚を食べると体に良い」というのは定説ですが、具体的に「筋肉を作る力(合成)」が高まるのかどうかについては、これまでの研究結果がバラバラでした。
ある研究では「増えた」と言い、別の研究では「変わらない」と言う。
これでは我々も何を信じていいかわかりませんよね。
そこでこの研究は、「オメガ3を飲むと、筋肉および全身のタンパク質合成率は上がるのか?」という問いに白黒つけるために行われました。
特に、加齢とともに筋肉が減る「サルコペニア」が世界的な問題になる中、食事やサプリで筋肉減少を食い止められるかは、極めて重要なテーマなのです。

研究の対象者と背景
この分析には、厳格な基準をクリアした合計188名のデータが含まれています。
どんな人たち?
健康な若者、健康な高齢者(50歳以上)、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)や透析患者などの持病を持つ人々が含まれています。
どこの国?
アメリカ、イギリス、カナダ、アイルランドで行われた研究が中心です。
欧米人と日本人では、もともとの魚の摂取量が異なります。
欧米人は普段あまり魚を食べないため、サプリの効果が出やすい可能性があります。
日本人は日常的に魚を食べる習慣があるため、ベースラインのオメガ3濃度が高い可能性があり、この研究結果よりも変化がマイルドになる可能性があることは頭の片隅に置いておきましょう。

研究の手法と分析の概要
この研究は「システマティックレビュー・メタアナリシス」という、医学研究の中で最も信頼性が高いとされる手法をとっています。
どうやって調べた?
302本の論文から、質の高い「ランダム化比較試験(RCT)」だけを8本厳選しました。
何を比べた?
オメガ3サプリ(EPAやDHA)を飲むグループと、偽薬(コーン油やオリーブ油など)を飲むグループに分け、数週間から数ヶ月後の変化を比較しました。
どうやって測定した?
ここが重要です。筋肉の一部を採取(生検)したり、同位体トレーサーという特殊な目印を使ったりして、「今、どれくらいのスピードで新しいタンパク質が作られているか」を精密に測定しています。

【補足:各種用語】
MPS(Muscle Protein Synthesis)
筋肉のタンパク質合成のこと。筋肉の繊維が新しく作られるスピード。
これが高いと、理論上は筋肉が増えやすくなります。
FSR(Fractional Synthetic Rate)
直訳すると「分画合成率」。ある一定の時間内に、どれくらいの割合で新しいタンパク質が合成されたかを示す指標です。
この数値が高いほど「筋肉作りが活発」といえます。
メタアナリシス
過去に行われた複数の研究データを集めて、あたかも一つの巨大な研究であるかのように統計処理する手法。
個々の研究の偏りを減らし、より真実に近い結論を導き出せるとされています。
研究結果
さて、ここからが本題です。オメガ3は私たちの体にどのような変化をもたらしたのでしょうか?
驚きの結果と、そうでない結果がはっきりと分かれました。
全身の代謝は確実にアップしていた!(ポジティブな発見)
まず、素晴らしいニュースから。
解析の結果、オメガ3を摂取したグループでは、「全身のタンパク質合成速度」が統計的に意味のあるレベル(有意)で増加していました。
どういうこと?
筋肉だけでなく、内臓や皮膚、血液など、体全体のタンパク質の生まれ変わりが活発になったことを意味します。
数値の信頼性
統計学的にも P=0.01 と、偶然とは考えにくいしっかりとした差が出ています。

しかし、肝心の「筋肉」作りには変化なし…(陰性所見)
一方で、筋トレ愛好家やサルコペニアを心配する方には少し残念なデータも出ました。
オメガ3を摂取しても、「筋肉のタンパク質合成(MPS)」のスピード自体は変化しませんでした。
詳しく見ると
年齢(若者か高齢者か)、摂取量(3g以上か以下か)、期間(長期間か短期間か)で分けて分析しても、結果は同じく「変化なし」でした。
つまり
オメガ3を飲んだからといって、筋肉を作る工場のラインスピードが急激に上がるわけではないようです。
結果のまとめ
| 測定項目 | 結果 | 判定 |
| 全身タンパク質合成 | 有意に増加した | 〇 効果あり |
| 筋肉タンパク質合成 (MPS) | 変化なし | × 効果なし |
| サブ解析(年齢別) | 若者も高齢者も変化なし | × |
| サブ解析(摂取量別) | 量を増やしても筋肉合成は変化なし | × |
| サブ解析(期間別) | 長く飲んでも筋肉合成は変化なし | × |
「筋肉が増えないなら意味がない」とガッカリするのはまだ早いです。
この結果は「合成(作る力)」が変わらなかっただけで、「分解(壊れる量)」については別の話です。
また、全身のタンパク質代謝が良くなるということは、体全体のメンテナンス機能が向上しているとも言えます。
これは決してネガティブなだけの結果ではありませんよ。

研究の結論
オメガ3は全身のタンパク質代謝を活性化させるが、筋肉合成の直接的なスイッチではない
これが科学的な結論です。オメガ3は、筋肉をムキムキにする「増強剤」のような役割ではなく、体全体の代謝を支える「インフラ整備」のような役割を果たしていると考えられます。
筋肉量が増えたという過去の報告がある場合、それは合成が増えたからではなく、炎症が抑えられて「分解が減った」結果である可能性が高いのです。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、今回の結果を受けて非常に冷静な分析をしています。
なぜ筋肉合成が増えなかったのか?
運動による刺激が十分でなかった(天井効果)可能性や、対象者の個体差(反応する人としない人)が大きかった可能性があります。
抗炎症作用の重要性
オメガ3は強力な抗炎症作用を持っています。
これにより、筋肉を分解する信号(ユビキチン・プロテアソーム系など)をブロックしている可能性があります。
つまり、「作る量を増やす」のではなく「減る量を抑える」ことで、結果的に筋肉を守っているのかもしれません。
神経機能への影響
合成率が変わらなくても、筋力や身体機能が向上した研究もあります。
これはオメガ3が神経と筋肉のつなぎ目(神経筋機能)を改善したからかもしれません。

日常生活へのアドバイス
この論文から、私たち日本人が明日から活かせる教訓は以下の通りです。
「筋肉増強剤」として期待しすぎない
「これを飲めば運動しなくても筋肉がつく」という過度な期待は捨てましょう。
オメガ3はあくまでサポート役です。
健康維持・「守り」のサプリとして活用する
全身のタンパク質代謝は上がっています。
体のメンテナンスや、加齢による衰えを緩やかにするための「守りの一手」として摂取するのは非常に理にかなっています。
タンパク質・運動とセットで考える
オメガ3単体で合成スイッチが入らないなら、スイッチを入れる「運動」と、材料となる「タンパク質」が必要です。
これらにオメガ3をプラスすることで、より良い体内環境を作れるでしょう。
炎症持ち・持病のある人は特に注目
今回の研究では、持病のある人の方が全身の合成が高まる傾向が見られました。
慢性的な不調がある方は、主治医と相談の上で摂取を検討する価値があります。

魔法の杖はない、というのが医学の常です。
でも、オメガ3が体全体の代謝を底上げしてくれるのは間違いなさそうです。
美味しい焼き魚定食を食べる時、「これで全身の代謝が回ってる!」と思いながら味わってくださいね。
締めのひとこと
「攻めの筋トレと、守りのオメガ3、このバランスが大切です。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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