【夜勤の限界】月12回がデッドライン?夜勤をこなすあなたの体を守る「夜の眠り」の回数とは

夜の安らぎの中で深く眠る看護師とエネルギー回復を象徴するイラスト

結論「交代制勤務で働く看護師にとって、疲労回復と安全を守るための鍵は「月に何回、夜間に眠れるか」にあり、その境界線は「月12回」であることが明らかになりました。」

この記事はこんな方におすすめ

✅夜勤が続いて慢性的な疲れが取れず、仕事中のミスが不安な看護師の方
✅交代制勤務のシフト表を作成し、スタッフの健康と安全を守りたい管理職の方
✅日中の仮眠ではどうしても疲れが抜けきらないと感じている医療従事者の方
✅科学的根拠に基づいた「質の高い休息」の取り方を知りたい方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:交代制勤務で不規則な生活を送る看護師が、心身の健康と仕事の安全を保つためには、月に最低何回の「夜の睡眠」が必要なのでしょうか?

🟡結果:日本人看護師526名を調査した結果、月に夜間睡眠が12回以下のグループは、それ以上のグループに比べて疲労症状が強く、睡眠の質が低く、さらに仕事中のヒヤリハット(ニアミス)の回数も有意に多いことが判明しました。

🟢教訓:単に「休みの時間」を確保するだけでなく、22時から翌朝8時の間に4時間以上眠れる「夜間睡眠」を月に13回以上確保できるよう、シフト調整や生活習慣を見直すことが重要です。

🔵対象:日本の看護師526名を対象とした1ヶ月間の追跡調査です。日本国内の研究であるため、われわれ日本人の働き方や生活環境にそのまま当てはめることができる、極めて信頼性の高いデータと言えます。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。

はじめに

皆さん、こんにちは!

この記事を読んでいただいてる方の中には、日夜、患者さんの命を守るためにハードな医療現場で戦っている方もいらっしゃるかと思います。

そういった方々は、ふとした瞬間に「あ、今自分、限界かも……」と感じることはありませんか?

わたしも医師としてもう20年、現在は今の職場での当直夜勤が毎月4~5回ですが、若い頃には所属していた大学医局からの命令で、複数の病院の当直を掛け持ちし、月に15回以上の当直を強いられていた時期が10年近くありました。

長時間の手術の後にそのまま当直に入り、夜中に急患対応をし、翌朝にフラフラになりながら仕事をし、また夜になると別の病院の当直に向かう……移動の車の中だけが唯一安らげる場所でした。

あの時の、頭に霞がかかったような重だるい疲労の感覚……ゾンビ映画のゾンビになったような気分で、こんな生活がいつまで続くんだろう……本当に夢も希望もありませんでした。

本日ご紹介するのは、そんな医療現場の切実な悩みに光を当てる、日本発の非常に実践的な研究です。

この論文は、イギリスの公衆衛生学の専門誌である『BMJ Public Health』に掲載されたもので、夜勤を行う日本の看護師さんを対象に「夜の眠り」がどれだけ大切かを科学的に証明しています。

今回は、疲労回復のボーダーラインがどこにあるのか、その研究内容をわたしと一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

【夜勤の限界】月12回がデッドライン?夜勤をこなすあなたの体を守る「夜の眠り」の回数とは|Dr.礼次郎
夜勤の疲れは、決してあなたの気合が足りないせいではありません。 日本人看護師を対象とした最新研究で、月間の夜間睡眠が12回を下回ると、疲労感も仕事のミスも劇的に増えてしまうという衝撃の事実が明らかになりました。 こんにちは! 某県の大規模病...

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の一次情報をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。

今回読んだ論文

“”How many monthly nighttime-sleep opportunities are optimal for recovery from fatigue among shift-working nurses? A 1-month sleep log observational study to test anchor nighttime sleep in Japan””

(交代制勤務の看護師において、疲労回復に最適な月間の夜間睡眠回数はいくつか? 日本におけるアンカー夜間睡眠を検証するための1ヶ月間の睡眠日誌観察研究)

Tomohide Kubo, Hiroki Ikeda, Shuhei Izawa, et al.

BMJ Public Health. 2024 Dec 10;2(2):e001438. doi: 10.1136/bmjph-2024-001438. eCollection 2024 Dec.

PMID: 41190227 DOI: 10.1136/bmjph-2024-001438
掲載雑誌:BMJ Public Health【イギリス IF 2023年創刊のため現時点で無し】 2025年より

研究の要旨(Abstract)

研究目的

交代制勤務の看護師において、仕事の疲労から回復するために必要な「月間の夜間睡眠回数」の目安を明らかにすることです。

研究方法

日本の看護師526名を対象に、1ヶ月間の睡眠日誌をつけてもらい、夜間睡眠の回数と疲労感、睡眠の質、ヒヤリハットの関連を分析しました。

研究結果

夜間睡眠が月12回以下の群は、他の群に比べて疲労が強く、睡眠の質が悪く、ニアミス事故の回数も多いことが示されました。

結論

看護師の健康と安全を守るためには、シフト作成時に月間の夜間睡眠機会を十分に確保するよう配慮することが不可欠です。

考察

従来の「勤務間のインターバル」の確保だけでなく、「サーカディアンリズム(体内時計)」に基づいた夜間睡眠の回数管理が新たな戦略となります

研究の目的

この研究が解決しようとしたのは、「交代制勤務において、どれだけ夜に眠れれば心身の健康と安全を保てるのか?」という非常に具体的な問いです。

これまでのシフト管理の研究では、「勤務と勤務の間を何時間空けるか(11時間以上など)」といった「休止時間の長さ」に焦点が当てられてきました。

しかし、人間の体には体内時計があり、「いつ眠るか」によって回復効率が劇的に変わるという事実は、管理上の戦略として十分に活用されてきませんでした。

そこで、体内時計を整える指標として「夜間に眠る回数」に注目し、疲労回復との関係を突き止めようとしたのです。

研究の対象者と背景

この調査に参加したのは、日本国内で働く526名の看護師の方々です(平均年齢36.8歳、女性442名)。

対象者の詳細

人数

526名(最初に募集した1201名のうち、基準を満たし記録を完了した方々)。

健康状態

現在、特定の疾患で治療を受けていない健康な方々です。

勤務形態

2交代制、3交代制、日勤のみなど、さまざまなシフトで働く看護師が含まれています。

日本人への適用について

この研究は、日本のオンラインリサーチ会社を通じて集められた「現役の日本人看護師」を対象としています。

そのため、人種による体質の違いや、日本特有の厳しいシフト環境を考慮する必要がなく、われわれ日本人の実態をダイレクトに反映した結果であると言えます。

研究の手法と分析の概要

研究チームは、参加者に1ヶ月間、毎日「睡眠日誌」をつけてもらうという非常に丁寧な手法をとりました。

調査のプロセス

1. 睡眠記録

起床後すぐに、30分単位で睡眠時間を1ヶ月間記録しました。

2. 夜間睡眠の定義

本研究では、「22時から翌朝8時の間に、4時間以上の睡眠をとること」を1回の夜間睡眠機会と定義しています。

3. グループ分け

1ヶ月の夜間睡眠回数に基づき、少ない順から「12回以下」「13〜19回」「20〜24回」「24回以上」の4つのグループに分けました。

統計的信頼性の工夫

分析の際には、年齢や性別だけでなく、「シフトの種類」や「(昼寝を含む)月間の総睡眠回数」の影響を取り除く処理(共分散分析など)「夜に眠れていないことそのもの」が疲労やミスに直結していることを統計的に証明しているのです。

【補足:各種用語】

EFSI(過労死予兆症状 inventory)

過労死のリスクを評価するために開発された、26項目の疲労症状チェックリストです。

PSQI(ピッツバーグ睡眠質問票)

世界的に使われている睡眠の質を測るスコアで、高いほど睡眠が悪いことを示します。

ニアミス(ヒヤリハット)

患者に害は及ばなかったものの、一歩間違えれば事故につながった可能性のある出来事の回数です。

研究結果

調査の結果、驚くほどはっきりとした「差」が現れました。

月12回以下は「危険ゾーン」!疲労とミスの増加

最も注目すべき発見は、夜間睡眠が月12回以下のグループで、あらゆる指標が悪化していたことです。

疲労感(EFSI)

夜間睡眠回数が少なくなるにつれて、直線的に疲労症状が強くなっていました(p<0.05)。

睡眠の質(PSQI)

同様に、夜間睡眠が少ないほど睡眠の質が有意に低下していました(p<0.05)。

ヒヤリハット(ニアミス)

これが最も深刻ですが、月12回以下の群では、十分な夜間睡眠をとっている群に比べて仕事中のミスの回数が統計的に有意に多かったのです(p<0.001)。

総睡眠回数ではカバーできない「夜の力」

興味深いことに、昼寝や仮眠を合わせた「トータルの睡眠回数」を考慮しても、やはり「夜間に眠れる回数」が少ないことによる悪影響は消えませんでした。

これは、どんなに昼間に寝ても、夜の睡眠が持つ「高い回復パワー」を完全には代用できないことを示唆しています。

変化がなかった指標とその意味

一方で、シフトの形態(2交代か3交代か)そのものが直接的に疲労を左右する決定打にはなりませんでした。

これは、どのシフト形態であっても、「いかに夜間睡眠を組み込めるか」という運用次第で、健康リスクを抑えられる可能性があるというポジティブなメッセージと受け取れます。

この結果をどう見るか

もしあなたが今、「なんだか最近ミスが多いな」「寝ても疲れが取れないな」と感じているなら、一度自分のシフト表を見直してみてください。

もし夜にしっかり眠れる日が月に12回以下しかなかったとしたら、それはあなたの気合が足りないせいではなく、生物学的な限界を超えているサインかもしれません。

研究の結論

本研究は、交代制勤務の看護師の安全と健康を守るための明確な「基準」を提示しました。

結論として、月間13回以上の夜間睡眠(22時〜8時の間の4時間以上の睡眠)を確保することが、深刻な疲労や医療事故を防ぐための防波堤となります。

これは、個人の努力目標というよりも、病院組織がシフトを組む際により重視すべき「安全基準」としての意義を持っています。

礼次郎の考察とまとめ

論文著者らの考察

著者の久保氏らは、今回の結果について以下のような課題と展望を述べています。

アンカー睡眠の重要性

夜間の一定時間に眠ることは「体内時計のガイドポスト」となり、リズムの崩れを最小限に抑えます。

研究の限界

今回は自己申告の睡眠日誌に基づいているため、今後はウェアラブルデバイスなどを用いたより客観的なデータ収集が必要です。

長期的な影響

今回は1ヶ月の短期的な調査でしたが、夜間睡眠の不足が数年後の休職や疾患にどうつながるか、長期的な追跡が求められます。

日常生活へのアドバイス

この論文から得られた、明日から実践できる教訓を礼次郎からお伝えします。

自分の「夜間睡眠数」を数える

カレンダーを見て、22時〜8時の間に4時間以上寝られる日が月に何日あるかチェックしましょう。12日以下なら黄色信号です。

シフト希望の出し方を工夫する

可能であれば、夜勤の連続を避け、月間の夜間睡眠回数が極端に減らないよう調整を試みてください。

非番の日は「夜」に眠る

夜勤明けの仮眠は短めにとどめ、その日の夜は22時には布団に入ることで、月間の「夜間睡眠」カウントを稼ぎ、リズムをリセットしましょう。

「夜の睡眠」の質を追求する

貴重な夜間睡眠の機会には、遮光カーテンや耳栓を使い、4時間以上の「コア睡眠」を死守してください。

「夜勤なんだから眠れないのは当たり前」という諦めが、現場にはあるかもしれません。

でも、こうして数字で示されると、「夜に寝る」ことは贅沢ではなく、プロとして安全に働くための義務なのだと痛感します。

皆さんの体は一つしかありません。まずは自分の睡眠を「見える化」することから始めてみませんか?

締めのひとこと

夜の静寂(しじま)に体を預ける回数が、あなたの笑顔と患者さんの安全を支える「最強の薬」になります。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

画像は主にChat GPT・Geminiを使用しAIで作成しております。

あくまでも、すべてイメージ画像です。

本文の内容を正確に表した画像ではありませんのでご注意ください。

免責事項

本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。

特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。

本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。

読者の皆様は、記事の内容をご自身の責任において吟味し、適切に判断してご利用ください。

記事内の画像やイラストは、AIを用いて内容をイメージ化したものであり、本文の内容を正確に表したものではありませんので、あらかじめご了承ください。

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