「筋力アップ」と「筋肥大」で正解が違う!筋トレはどこまで追い込むべきか最新研究で判明

筋トレ研究イラスト|筋力アップは重量、筋肥大は限界まで追い込む対比を表現

結論「筋力アップは重さがカギ、筋肥大は限界近くまで追い込むのが有利」

この記事はこんな方におすすめ

✅筋トレは「潰れるまでやらないと効果がない」と思っている方
✅筋力アップと筋肥大で“やるべきことの違い”を知りたい方
✅効率よく成果を出したい社会人や忙しい人
✅海外の研究結果が日本人にも当てはまるのか気になる方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:「筋トレって、限界までやった方がいいの?」
🟡結果:筋力アップには“重さ”が重要、追い込みはほぼ影響なし。筋肥大は限界に近いほど少し有利。
🟢教訓:強さを求めるなら重量重視、大きさを求めるなら限界チャレンジ。
🔵対象:海外55研究の解析。日本人にも応用可能。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。

はじめに

皆さん、こんにちは!

今回は久々に「筋トレで限界まで追い込む」ことに関する論文をご紹介します。

以前わたしは、「筋トレで毎回限界までやらずに1〜2回余力を残しても筋肉はしっかり大きくなる(筋肥大が得られる)」という研究をご紹介しました。

あれは単発の一研究でしたが、今回はさらに大規模で信頼性の高い解析です。

今回の研究では、筋肉を

「筋力=どれだけ強い力を出せるか:機能」と
「筋肥大=どれだけ大きくなるか:形態」

という二つの観点に分けて、限界まで追い込むことがそれぞれにどんな効果をもたらすのかを検証しました。

つまり、“筋肉の性能”と“筋肉の見た目”に対する効果を分けて調べたのです。

しかも、世界中の55の研究をまとめて解析したシステマティック・レビュー(メタ回帰)。

これまでよりも、はるかに幅広いデータから答えを導き出しています。

発表されたのは、スポーツ医学の権威ある国際誌『Sports Medicine』(ドイツ発行のスポーツ医学専門誌)。

「筋トレは限界までやるべきか?」という永遠の疑問に、最新の科学がどう答えるのか、一緒に見ていきましょう。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の一次情報をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。

今回読んだ論文

“Exploring the Dose-Response Relationship Between Estimated Resistance Training Proximity to Failure, Strength Gain, and Muscle Hypertrophy: A Series of Meta-Regressions”

(推定された「限界までの近さ(RIR)」と筋力向上・筋肥大との用量反応関係の探索:複数のメタ回帰)

Zac P Robinson, Joshua C Pelland, Jacob F Remmert et al.

Sports Med. 2024 Sep;54(9):2209-2231.

PMID: 38970765 DOI: 10.1007/s40279-024-02069-2

掲載雑誌:Sports Medicine【ドイツ:IF 9.4(2024)】 2024年9月

研究の要旨

研究目的

筋トレを「どこまで限界までやるべきか」を、残り回数(RIR:Repetitions in Reserve=あと何回分の余力が残っているか)で詳しく調べた。

研究方法

世界55の研究をまとめ、年齢や週数、重さやセット条件をそろえて統計的に分析。

研究結果

筋力は追い込み度にあまり左右されず重さが大事、筋肥大は限界近くまで追い込むほど効果的。

結論

強さを伸ばすなら重量重視、大きさを求めるなら限界近くまで頑張るのが良い。

考察

RIRは推定なので正確さに限界があり、人や方法で結果は変わる可能性がある。

研究の目的

この研究の目的は、「筋トレのセットをどこで止めれば効果的か?」を明らかにすることです。

これまでの研究は、

・限界までやる(失敗まで=RIR0)
・少し余力を残す(RIR2〜3程度)

といった二つのやり方を比べることが多く、白黒の比較にとどまっていました。

しかし実際のトレーニング現場では、「あと何回残すか?」はもっと幅広いグラデーションがあります。

そこで今回の研究では、RIRを0〜10以上まで連続的に扱い、「追い込み度合い」と筋力(機能)および筋肥大(形態)との関係を、より正確に検証しました。

RIR(残り回数)

Repetitions in Reserve(残り回数) の略で、
「まだあと何回できそうだったか」を数で表したものです。

・例①:10回やろうと思えばギリギリできる重さで8回でやめた場合 → RIR=2(あと2回分の余力があった)。
・例②:もう1回もできないところまで頑張った → RIR=0(完全に限界まで追い込んだ)。

つまり、
・RIRが大きい=余裕を残して終えたトレーニング
・RIRが0に近い=限界まで追い込んだトレーニング
を意味します。

この研究では、RIRを「0から10以上」まで連続的に扱い、「余力をどれくらい残すと筋力や筋肥大にどう影響するか?」を調べたのです。

研究の対象者と背景

この研究は、システマティック・レビュー(世界中の研究を網羅的に集めて解析する方法)として行われました。

対象となったのは、合計55の研究です。

参加者は主に18〜40歳前後の男女で、トレーニング経験者と未経験者の両方が含まれています。

平均すると年齢は約28歳、介入期間はおよそ8週間程度でした。

対象は欧米の研究が中心です。

筋肉の基本的な仕組みは人種を超えて共通しているため、日本人にも十分参考になります。

ただし、体格や食習慣の違いにより、効果の出方には差が生じる可能性がある点は注意が必要です。

研究の手法と分析の概要

研究者たちは、55の研究から「各グループがトレーニングで残していた余力(RIR:残り回数)」を推定しました。

その上で、筋力(機能)と筋肥大(形態)の成果にどう影響するかを分析しました。

システマティック・レビュー+メタ回帰

本研究はシステマティック・レビューとして過去の研究を体系的に集め、さらにメタ回帰という方法で統計的にまとめています。

これは、複数の研究を統合しながら「条件と効果の関係」を細かく検証できる手法です。

調整された要因(=比較のための補助項目)

・トレーニング強度(%1RM)
・セットや回数の条件
・介入期間
・被験者のトレーニング経験

こうした要素を統計的に揃えることで、できるだけ公平に「RIRと成果の関係」を評価しています。

%1RM

「ワンレップマックス(1 Repetition Maximum)」の百分率を意味します。
ワンレップマックスとは、その人が1回だけ持ち上げられる最大の重さのことです。
・例①:ベンチプレスで100kgが1回だけ持ち上がる → 1RM=100kg
・例②:その70%(%1RM=70%)=70kgを使ってトレーニングする、という計算になります。
つまり、%1RMが大きいほど“重い重量でのトレーニング”、小さいほど“軽めの重量でのトレーニング”ということです。

この研究では、RIR(残り回数)の影響を見るときに、この%1RMも調整して「重さの違いによる影響」と切り分けて解析しています。

信頼性を高める工夫

・単一研究ではなく55の研究を対象にした

・条件の違いを統計的に補正した

・RIRを「0〜余力あり」まで連続的に扱った

これにより、従来の「失敗まで vs 余力あり」という二択の比較よりも、現実に即した答えを導き出そうとしています。

研究結果

筋力の変化

筋力(Strength:機能の変化)

・RIR(追い込み度)と筋力アップの関係 → 有意差なし
⇒グラフはほぼ平らで、RIRによる差は確定できない。
結論:追い込み度よりも「重量(%1RM)」の方が筋力向上に大きく関係。

筋力については、追い込み度(RIR)の違いによる効果は統計的に有意ではありませんでした。

つまり「限界までやったグループ」と「余力を残したグループ」で筋力の伸び方に確かな差は見られなかったということです。

一方で、どれだけ重い重量(%1RM)を扱ったかは明確に影響しており、筋力を伸ばすには「重量設定」がより重要だとわかります。

筋肥大の変化

筋肥大(Hypertrophy:形態の変化)

・RIR(追い込み度)と筋肥大の関係 → 有意差あり

⇒限界に近いほど筋肥大が大きくなる傾向が統計的に確認された。

結論:追い込み度が筋肉の大きさに影響する。

筋肉の大きさ(筋肥大)では、追い込み度(RIR)が小さいほど=限界に近いほど有意に成長が大きいという結果が出ました。

この関係は統計的に有意であり、「追い込むほど筋肥大が有利」という結論が裏付けられました。

ただし効果は緩やかで、一気に大きくなるわけではありません。

個人差と研究の幅

今回まとめられた55研究には、参加者の経験やトレーニング方法の違いが含まれていました。

そのため、誰にでも同じように当てはまるとは限らず、個人差や方法の違いで結果は変わる可能性があることも押さえておく必要があります。

結果のまとめ(表)

項目RIRとの関係結果の有意性解釈
筋力(機能)追い込み度との関係は明確でない有意差なし重さ(%1RM)の方が重要
筋肥大(形態)限界に近いほど成長が増える有意差あり追い込むほど有利

研究の結論

筋力(機能)

筋力を高めるためには、限界まで追い込むかどうかはあまり重要ではないことが分かりました。

むしろ、どれだけ重い重量(%1RM)を扱うかが決め手になります。

筋肥大(形態)

筋肉を大きくする場合には、限界に近づくほど効果が高いことが確認されました。

ただし効果は急激ではなく、緩やかに積み重なっていくイメージです。

まとめ

✅️強さを求めるなら:重量をしっかり扱うことが大切。

✅️大きさを求めるなら:できるだけ限界近くまで挑戦することが有効。

【礼次郎の考察とまとめ】

論文著者の考察

研究チームは、今回の結果を次のように解釈しています。

筋力について

筋力の伸びは「追い込み度(RIR)」では説明できませんでした。

その代わりに、重量(%1RM)の大きさが強く影響していたことから、筋力を高めるには「どれだけ重いものを扱うか」がより重要だと考えられます。

筋肥大について

筋肉の大きさは「限界に近いほど増える」という傾向が確認されました。

ただし、これは緩やかな差であり、「毎回限界までやらないと筋肥大しない」という極端な解釈はできません。

RIRの限界と不確実性

今回の解析では、各研究のトレーニング条件からRIRを推定しています。

そのため、実際に参加者がどれくらい余力を残していたのかを正確に反映できているとは限りません。

また、運動種目・対象者の経験・期間などの違いによっても、追い込み度と成果の関係は変わる可能性があります。

今後の課題

この研究は55の研究をまとめた大規模解析で信頼性は高いですが、あくまで二次的な分析にとどまります。

著者らは、今後はRIRを厳密に管理し、統一条件のもとで行う大規模な介入研究が必要だと結論づけています。

日常へのアドバイス

ここからは、研究の結論を踏まえたうえでの私自身の考えです。

今回の論文は「筋肥大では限界に近づいた方が少し有利」という結果を示しましたが、その効果はとても緩やかなものでした。

このことは、過去に私がご紹介した「毎回、限界まで追い込まずに1〜2回余力を残しても筋肉はしっかり増える」という研究結果と、まったく矛盾しません。

言い換えれば、普段はRIR1〜2くらい余力を残しても十分筋肉は育つし、疲労やケガのリスクも減らせる。

ただし、ときどき限界近くまで挑戦すれば、筋肉の成長をほんの少し上乗せできる可能性がある。

そんな「二つの知見」を組み合わせて考えると、現実的でバランスの良いトレーニングのヒントになります。

例えば、スクワットやベンチプレスといった重さを扱う主要種目では、無理に潰れるまで頑張る必要はありません。

フォームを崩さずに続けるためには、余力を残す方が賢い選択です。

その一方で、レッグエクステンションやアームカールなど比較的安全な種目では、週に数セットだけ限界近くまで追い込んでみる。

こうした工夫を取り入れると、筋力と筋肥大の両方を効率よく狙えます。

「余力を残す日」と「限界に挑む日」を上手に使い分けるよう意識すると、

ケガも少なく、気持ちも楽で、トレーニングが長く続けられるのではないでしょうか。

締めのひとこと

余力を残しても、筋肉は裏切りません


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

画像は主にChat GPT・Geminiを使用しAIで作成しております。

あくまでも、すべてイメージ画像です。

本文の内容を正確に表した画像ではありませんのでご注意ください。

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