
結論「予期せぬ出来事(サプライズ)の度合いが高いほど、翌日の片頭痛リスクが約2倍に跳ね上がるという研究結果。」
この記事はこんな方におすすめ
✅赤ワインやチョコを避けているのに、なぜか頭痛が起きてしまう方
✅「自分の頭痛のトリガー(引き金)が多すぎて管理できない」と悩んでいる方
✅薬に頼るだけでなく、生活習慣の「リズム」で頭痛を予防したい方
✅最新の医学データに基づいた、科学的な頭痛対策を知りたい方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:「いつもと同じ生活をしているつもりなのに、なぜ急に片頭痛が来るの?」その原因は、特定の食べ物そのものではなく「生活パターンの乱れ」にあるかもしれません。
🟡結果:1日の出来事の「意外性(いつもと違う度合い)」が高いと、24時間後の頭痛リスクが最大で約2.15倍になることが判明しました。
🟢教訓:何を食べるか以上に、「毎日同じリズムを保つこと」が重要です。良いサプライズ(楽しみなイベント)でも脳には負担になるので注意しましょう。
🔵対象:アメリカの片頭痛持ちの男女109名を対象とした研究です。生活様式は違いますが、脳が変化を嫌う仕組みは日本人にも十分応用可能です。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
「今日は特定の食べ物も避けたし、お酒も飲んでいない。なのに、どうして頭が痛くなるんだろう?」
そんなふうに、原因不明の片頭痛にイライラしてしまったことはありませんか?
実は、多くの患者さんが「自分だけのトリガー(引き金)が見つからない」という悩みを抱えています。
真面目に生活しているのに痛みに襲われる理不尽さ、本当に辛いですよね。
「昨日は大丈夫だったことが、なぜ今日はダメなのか?」
この予測不能な痛みのせいで、予定を立てるのが怖くなってしまっている方も多いのではないでしょうか。
本日ご紹介するのは、そんな「見えない頭痛の原因」に光を当ててくれる、目からウロコの最新研究です。
掲載されているのは、アメリカ医師会が発行する世界的に権威ある雑誌『JAMA Network Open』。
今回は、「意外性(サプライズ)」という新しい視点から、片頭痛の正体を一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Information-Theoretic Trigger Surprisal and Future Headache Activity””
(情報理論的トリガーの「意外性(Surprisal)」と将来の頭痛活動)
Dana P Turner, Twinkle Patel, Emily Caplis, et al.
JAMA Netw Open. 2025 Nov 3;8(11):e2542944. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2025.42944.
PMID: 41217751 DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2025.42944掲載雑誌:JAMA Network Open【アメリカ IF 10.5(2024)】 2025年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
片頭痛のきっかけ(トリガー)として、特定の要因だけでなく、「日常のパターンからどれだけ外れたか(意外性)」が発作を予測できるかを検証すること。
研究方法
片頭痛患者109名を対象に、28日間にわたり1日2回の日記をつけてもらい、日々の行動の「意外性」を数値化して解析した。
研究結果
日々の出来事の「意外性」が高いほど、その後の12時間および24時間以内に片頭痛が発生するリスクが有意に上昇した。
結論
「意外性」のスコアは、個人の短期的な片頭痛リスクを予測する有用な指標であり、従来のトリガーリストよりも動的な予測が可能である。
考察
日々の生活の予測不可能性を管理することが、特定の誘因を避けること以上に、個別化された片頭痛予防につながる可能性がある。
研究の目的
この研究が解決しようとしたのは、「なぜ、人によって、あるいは日によって、頭痛の引き金(トリガー)がバラバラなのか?」という長年の謎です。
皆さんは、片頭痛のトリガーというと何を思い浮かべますか?
一般的には「赤ワイン」「チョコレート」「雨(低気圧)」「ストレス」などが有名ですよね。
しかし、医学的にはもっとマニアックなトリガーが無数に報告されているのをご存知でしょうか。
• 食品添加物:ハムやソーセージに含まれる「亜硝酸塩」、うま味調味料の「グルタミン酸ナトリウム(MSG)」、人工甘味料の「アスパルテーム」。
• 成分:熟成チーズやナッツに含まれる「チラミン」。
• 行動:週末の寝だめ、空腹(低血糖)、光や音の刺激。
• 現象:「レットダウン(Let-down)頭痛」と呼ばれる、大きなストレスから解放されてホッとした瞬間に起きる頭痛。
このように数百もの要因が挙げられていますが、「赤ワインを飲んでも痛くない日」もあれば、「何もしていないのに痛い日」もあり、犯人探しは困難を極めます。
そこで研究チームは、「何をしたか(リスト)」ではなく、その人のいつもの行動パターンに対して「どれくらい予想外のことが起きたか(情報理論的サプライズ)」という「変化の度合い」こそが、脳への負担となり発作を起こすのではないか?という仮説を立てました。
これを証明しようとしたのが本研究の狙いです。

研究の対象者と背景
今回の研究に参加したのは、以下の特徴を持つ人々です。
人数・属性
片頭痛の診断を受けている109名の成人。
年齢層
中央値は35歳(26歳〜46歳)。働き盛りの世代です。
性別
93.5%が女性でした(片頭痛は女性に多いため、一般的な比率です)。
健康状態
月に4〜14回程度の頭痛がある、反復性片頭痛の方々です。
国・背景
アメリカでの調査で、参加者の8割以上が白人でした。
対象がアメリカ人中心であるため、食生活(チラミンの多いチーズの摂取量など)の違いは考慮する必要があります。
しかし、「脳が恒常性の変化を嫌う」という片頭痛の生理学的なメカニズムは、人種を超えて共通しています。
この結果は私たち日本人にとっても非常に重要な示唆を与えてくれると考えられます。

研究の手法と分析の概要
この研究では、参加者のリアルな生活を切り取るために、非常に緻密な方法がとられました。
デジタル日記による追跡
参加者はスマホなどのアプリ(REDCap)を使い、1日2回(朝と晩)、28日間連続で日記を記録しました。
睡眠時間、食事の内容、気象条件、気分の変化、ストレスなど、多岐にわたる項目が記録されました。
「意外性(Surprisal)」の数値化
ここがこの研究のユニークな点です。単に「ストレスがあったか」を見るのではなく、その人個人の過去のデータをもとに、その日の出来事が「どれくらい珍しいことだったか」を計算式(情報理論)を用いて「ビット(bits)」という単位で数値化しました。
つまり、毎日残業している人にとっての残業(意外性低)と、定時退社が基本の人にとっての残業(意外性高)を区別して評価したのです。
分析の信頼性
個人ごとのばらつきを調整する統計モデル(混合効果モデル)を使用し、たまたま頭痛が起きただけではないことを慎重に検証しています。

【補足:各種用語】
意外性(Surprisal・サプライズ)
「びっくりすること」という意味だけでなく、統計学的に「発生確率が低いこと」を指します。
いつも通りの日常ならスコアは低く、普段しない行動や珍しい環境変化があるとスコアが高くなります。
オッズ比(OR)
ある事象が起こる確率の比です。
ここでは「意外性が高い時」に「頭痛が起きる確率」が何倍になるかを示しています。
1より大きければリスク増、1なら変化なしです。
研究結果
この研究で明らかになった、驚くべき事実を解説します。
「いつもと違う」が頭痛の予兆!驚異のリスク上昇
最も注目すべき発見は、「意外性スコア」が高まると、その後の片頭痛リスクが確実に上がるという点です。
12時間以内の発作リスク
意外性が1単位上がると、リスクは約1.86倍に上昇(P = .02)。
24時間以内の発作リスク
さらに時間が経つと関連は強まり、リスクは約2.15倍に上昇(P < .001)。
つまり、何か予想外のことが起きた直後よりも、「翌日あたり」に遅れてドカンと頭痛が来る可能性が高いことがデータで示されました。

過去の「慣れ」がリスクを変える(相互作用)
さらに面白いことに、「直前の履歴」が影響することもわかりました。
もし前日も「意外なこと」だらけだった場合、今日の「意外なこと」による頭痛リスクの上昇は緩やかになる(あるいは逆転する)傾向が見られました。
解釈として、脳が変化の連続に一時的に適応(あるいは麻痺)している可能性があります。逆に、「平穏な日々が続いた後の、急なハプニング」が一番危険だということです。
個人差が大きいことも判明
全員が同じように反応するわけではありませんでした。 もともと頭痛の頻度が高い重症の人は、この「意外性」による影響を受けにくい傾向がありました。
これは、重症の人は外部の環境変化に関係なく、脳内で勝手に発作の火種がくすぶっている状態だからかもしれません。

研究の結論
片頭痛のトリガーは、リスト(名詞)ではなく、変化(動詞)である
本研究は、特定の食品や活動を悪者にするのではなく、その人の生活文脈における「予測不可能性(Unexpectedness)」こそが、片頭痛発作の強力な予兆であることを科学的に証明しました。
これは、頭痛管理を「禁止リストの遵守」から「生活リズムの管理」へとパラダイムシフトさせる重要な知見です。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、この結果を受けて「これからは静的なトリガーリスト(チョコはダメ、酒はダメ)に頼るのは限界がある」と述べています。
今後は、スマホアプリやウェアラブルデバイスで個人の生活パターンを学習し、「今日はいつもより変化が大きかったから、明日は気をつけて!」とリアルタイムで警告してくれるシステムが必要になるだろう、と未来の医療への展望を語っています。

日常生活へのアドバイス
この研究結果を、私たち日本人の生活にどう落とし込むか。明日からできる具体的なアクションプランを提案します。
「良いサプライズ」もほどほどに
旅行やパーティーなど、楽しいイベントも脳にとっては「予想外のデータ」として処理され、負担になります。
楽しい予定の翌日は、意識して休息を取りましょう。
週末の寝だめは禁止
一般的には休息と思われる「いつもより長く寝る」行為も、脳にとっては強烈な「意外性(リズムの崩壊)」です。
休日も平日と同じ時間に起きることが、最強の予防線です。
ルーティンを愛する
食事の時間、寝る時間、運動の強度。
これらを「つまらないほど一定」に保つことが、片頭痛持ちの脳を守る鎧になります。
「変化」があったら薬を準備
急な残業や天気の急変など、避けられない「意外性」があった日は、「明日は頭痛が来るかも」と予測して、早めに鎮痛薬をカバンに入れておくなどの準備をしましょう。

「変化のない毎日なんて退屈だ」なんて思うかもしれませんが、片頭痛持ちの皆さんの脳は、実はとても「繊細で高感度なセンサー」を持っているんです。
そのセンサーを驚かせないように、生活という名のハンドルを優しく握ってあげてくださいね。
締めのひとこと
「「いつも通り」を繰り返すことが、実は最強の予防医学だった。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
読者の皆様は、記事の内容をご自身の責任において吟味し、適切に判断してご利用ください。
記事内の画像やイラストは、AIを用いて内容をイメージ化したものであり、本文の内容を正確に表したものではありませんので、あらかじめご了承ください。


コメント