
結論「ケトジェニック食で高LDL-Cとなった痩せ型の人にとって、オレオ・クッキーの摂取は高強度スタチンよりもLDLコレステロールを劇的に下げる効果を示しました」
この記事はこんな方におすすめ
✅ケトジェニック食を実践中で、LDLコレステロール値の上昇に悩んでいる方
✅「痩せているのにコレステロールが高い」と指摘され、その原因を知りたい方
✅脂質異常症の常識が自分には当てはまらないと感じている方
✅ハイカロリーな「ジャンクフード」が、なぜか健康指標に良い影響を与える現象に興味がある方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:極端な高LDLコレステロール血症と診断された、ケトジェニック食を実践中の痩せ型の健康な人(LMHR)という非常に特殊な体質を持つ単一の被験者に対して、「炭水化物を追加する治療」と「標準的な高強度スタチン療法」とでは、どちらがLDLコレステロールを効果的に下げるのか?
🟡結果:この単一被験者において、たった16日間、オレオ・クッキーで炭水化物(1日100g)を追加した介入は、LDLコレステロール値を71%(384 mg/dLから111 mg/dLへ)も激減させました。これは、6週間実施した高強度スタチン療法(ロズバスタチン20mg/日)の減少率32.5%(421 mg/dLから最低値の284 mg/dLへ)をはるかに上回る結果でした。
🟢教訓:この特殊なケース(LMHR)では、食事の脂肪の質や量よりも、炭水化物の摂取の有無が劇的な変化をもたらす可能性を示唆しています。この実験は「代謝デモンストレーション」であり、一般の健康アドバイスではないため、安易に模倣すべきではありません。
🔵対象:この研究は、アメリカの27歳の医学部の学生であり研究者でもある単一の男性を対象とした、綿密な自己実験のクロスオーバー試験です。この結果は特定の体質(LMHR)による特殊な現象であり、一般の人々やスタチン治療中の患者に汎用性はありません。しかし、人種を超えて日本人の脂質代謝の理解を深める一助となり得ます。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
こんにちは。
医療の現場に立つ外科医として、患者さんの検査結果に「あれ?」と首をかしげることがあります。
特に脂質異常症、つまりコレステロールの値は、教科書通りにいかないことが少なくありません。
例えば、「痩せているのにLDLコレステロールが異常に高い」と指摘されたら、あなたはどう思いますか?
従来の常識では、脂肪を減らし、スタチン(高脂血症の治療薬)を飲む、という流れが一般的かもしれません。
わたしも、それが絶対だと思っていました。
しかし、今回、読んだ論文は、その常識を根底から揺るがす、非常に好奇心をそそられる単一被験者によるクロスオーバー実験の論文です。
今回ご紹介するのは、アメリカのハーバード・メディカル・スクールなどから発表され、スイスの学術誌『Metabolites』に掲載された、オープンアクセスの論文です。
タイトルだけ聞くと「まさか!」と思うかもしれません。
高強度スタチンよりも、あの有名な「オレオ・クッキー」のほうが、特定の高コレステロール血症を劇的に改善させたというのです。
これは単なるジョークではありません。ケトジェニック食(KD)を実践する「リーンマス・ハイパーレスポンダー(LMHR)」と呼ばれる極めて特殊な体質の人々の脂質代謝を理解するための、重要な一歩となるかもしれません。
LMHRは日本語に訳すと「ケトジェニック食(KD)に対して極端な反応を示す痩せ型の人々」という感じでしょうか。
さあ、この常識外れの結果が、どのような科学的根拠に基づいているのか、一緒に見ていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Oreo Cookie Treatment Lowers LDL Cholesterol More Than High-Intensity Statin therapy in a Lean Mass Hyper-Responder on a Ketogenic Diet: A Curious Crossover Experiment””
(ケトジェニック食(KD)を実践するリーンマス・ハイパーレスポンダー(LMHR)において、オレオ・クッキー治療は高強度スタチン療法よりもLDLコレステロールを低下させた:興味深いクロスオーバー実験)
Nicholas G Norwitz, William C Cromwell
Metabolites. 2024 Jan 22;14(1):73. doi: 10.3390/metabo14010073.
PMID: 38276308 DOI: 10.3390/metabo14010073
掲載雑誌:Metabolites【スイス:IF 3.577(2024)】 2024年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
ケトジェニック食を実践するリーンマス・ハイパーレスポンダー(LMHR)において、オレオ・クッキーによる炭水化物追加が高強度スタチン療法と同等かそれ以上にLDLコレステロールを低下させるか検証することでした。
研究方法
ケトジェニック食を継続するLMHRの単一被験者に対して、まず16日間オレオ・クッキーを追加し、ウォッシュアウト期間を挟み、6週間高強度スタチン(ロズバスタチン20mg)を投与するクロスオーバー実験として実施されました。
研究結果
オレオ・クッキー摂取によりLDLコレステロールは384 mg/dLから111 mg/dLへ71%低下しましたが、スタチン療法では421 mg/dLから最低値の284 mg/dLへ32.5%の低下にとどまりました。
結論
このケーススタディでは、短期間のオレオ・クッキー摂取が高強度スタチン療法よりもLMHRのLDLコレステロールを大きく低下させました。
考察
この劇的な代謝変化は、LMHRの脂質代謝を説明する「脂質エネルギーモデル(LEM)」と一致しており、さらなる研究を促すべきであり、健康アドバイスとして受け取られるべきではありません。
研究の目的
この研究が解決しようとした具体的な問いは、ケトジェニック食(KD)中に極端な高LDLコレステロール血症を示す「リーンマス・ハイパーレスポンダー(LMHR)」と呼ばれる非常に特殊な体質を持つ単一の被験者に対し、「炭水化物の再導入」と「高強度スタチン治療」のどちらが、よりLDLコレステロールを効果的に低下させるか、という点です。
LMHRは、炭水化物制限食によって
・LDLコレステロール(LDL-C)が200 mg/dL以上に増加し、
・同時にHDLコレステロール(HDL-C)が80 mg/dL以上、
・中性脂肪(TG)が70 mg/dL以下
という特徴的な脂質マーカーの三徴を示す人々のことです。
この現象は、主に痩せ型で代謝的に健康な被験者に見られ、LDL-Cの上昇幅は低いBMIと逆相関することが示されています。
このLMHR現象を説明する一つの仮説が「脂質エネルギーモデル(LEM)」です。
LEMの予測では、肝臓のグリコーゲンを補充する炭水化物の再導入は、LDL-Cのレベルを劇的に低下させるとされています。
本研究は、このLEMの予測を検証するため、「オレオ・クッキーの形で炭水化物を追加することが、この単一被験者のLDL-Cを、高強度スタチン療法と同じか、それ以上の効果で低下させるか」という仮説を検証するために、綿密なケーススタディとして実施されました。

研究の対象者と背景
対象者は医学研究者自身による単一被験者
この実験の対象者は、27歳の男性であり、この論文の筆頭著者自身でもあります。
彼は潰瘍性大腸炎の治療のために、研究開始の約4年半前(1520日前)にケトジェニック食(KD)を導入し、症状が寛解していました。
この被験者は、KD開始前のLDL-Cレベルは95 mg/dLでしたが、KD中に最大545 mg/dLまで上昇し、今回の研究開始時点では384 mg/dLでした。
彼はLMHRの脂質マーカーの三徴(LDL-C ≥200 mg/dL、HDL-C ≥80 mg/dL、TG ≤70 mg/dL)を満たしています。
研究開始時のBMIは20.8 kg/m²と痩せ型でした。
事前に確認された健康状態
彼は代謝的に健康であり、HbA1cは5.0%、インスリン抵抗性スコアはインスリン感受性の範囲内でした。
遺伝子検査でも脂質異常症に関連する病的な変異は認められず、冠動脈CTアンギオグラムでも冠動脈プラークの証拠は見られませんでした。
結果の汎用性と日本への応用可能性に関する考察
この研究はアメリカの単一の男性(n=1)を対象とした綿密な自己実験であり、得られた結果は、このLMHR体質を持つ特定の被験者の代謝動態を示したものであり、結果を一般化することはできません。
この実験は、飽和脂肪摂取量が増えたにもかかわらずLDL-Cが低下したことなど、従来の知見では説明しにくい現象を「脂質エネルギーモデル(LEM)」で説明するための「代謝デモンストレーション」として行われました。
しかし、このLMHRという現象が、炭水化物制限を行う痩せ型の体質の人々の脂質代謝を理解するための重要なモデルを提供することは確かです。
この結果が示す「エネルギー代謝の状態」とLDL-Cの関係性は、人種を超えて日本人における低炭水化物ダイエットの評価においても、検討すべき重要な視点を提供してくれます。

研究の手法と分析の概要
この研究は、特定の体質を持つ単一被験者を対象とした「クロスオーバー実験」としてデザインされました。
同じ被験者で異なる介入(オレオ vs スタチン)を比較することで、個体差の影響を排し、各介入の純粋な効果を検証できる、信頼性の高い手法です。
二つの介入アームの比較
研究は、標準化されたケトジェニック食(KD)での2週間の準備期間から始まりました。
基本となるKDは、総カロリーのうち脂肪80%、タンパク質18%、炭水化物2%で構成されていました。
アーム1(オレオ摂取)
12個のレギュラーオレオ・クッキー(炭水化物100 g/日、640 kcal追加)を16日間摂取しました。
オレオは、炭水化物の「質」ではなく「存在」がLDL-C低下に重要であることを示すためのデモンストレーションとして意図的に選ばれました。
この期間中、ベースラインのKDと同じレベルのケトーシスを維持するため、外因性ケトン体が投与されました。
ウォッシュアウト期間
オレオ摂取終了後、3ヶ月間安定したKDを維持し、脂質レベルをベースラインに戻しました。
アーム2(スタチン療法)
高強度スタチンであるロズバスタチン20 mgを毎日6週間投与しました。
データ測定の信頼性担保
血中脂質は、14時間の水のみの絶食後、少なくとも週に1回採血されました。
また、オレオ摂取アームはわずか16日間であったため、データ確認のため、終了直前の3日間(14日目、15日目、16日目)に連続して検査を実施し、データの信頼性を担保する工夫がされています。

【補足:各種用語】
リーンマス・ハイパーレスポンダー(LMHR)
炭水化物制限食やケトジェニック食を実践している人の中で、特に体脂肪が少ない(痩せ型)人に多く見られる、極端な高LDLコレステロール(200 mg/dL以上)、高HDLコレステロール(80 mg/dL以上)、低中性脂肪(70 mg/dL以下)の三徴を示す特定の脂質プロファイルを持つ人々を指します。
LDLコレステロール(LDL-C)
一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の危険因子と見なされています。
この研究では、最も臨床的に理解しやすいマーカーとして、この値の変化が評価されました。
クロスオーバー実験
同じ被験者に対して、時期を変えて複数の介入を行い、それぞれの効果を比較する研究デザインです。
個人の背景因子による影響が少ないため、結果の信頼性が高いとされますが、この研究はn(検体数)=1であり、結果は他の人にそのまま当てはまるわけではありません。
脂質エネルギーモデル(LEM)の仕組み(エネルギー燃料の配達システム)
LEMは、LMHRの現象を説明するために提案された仮説です。
このモデルは、体内の脂肪が「エネルギーを運ぶための燃料輸送システム」として働いているという考えに基づいています。
あなたの体(特に肝臓)を、エネルギー燃料を配送する「宅配センター」だと想像してください。
①ケトジェニック食(KD)中のLMHR(グリコーゲンが少ない痩せ型)の場合、肝臓の貯蔵庫(グリコーゲン)は空っぽで、体の予備の体脂肪も少ない状態です。
②そこで宅配センター(肝臓)は、全身のエネルギー需要を満たすため、脂肪酸を中性脂肪(TG)に再合成し、「超低密度リポタンパク質(VLDL)」という大きなトラック(燃料入りのパッケージ)に詰めて血液中に大量に輸出します。
③VLDLトラックが全身の臓器で中身(TG)を届けながら小さくなると、これが「低密度リポタンパク質(LDL)粒子」、つまり中身が減ったトラックに変わります。
④燃料輸送の需要が非常に高いため、血液中を巡るLDL粒子(トラック)の数が絶えず増え、結果としてLDLコレステロール(LDL-C)が極端に上昇して測定される、というのがLEMの基本的なメカニズムです。

研究結果
オレオ・クッキーがスタチンを圧倒!LDL-Cが71%激減
この研究で最も注目すべきは、このLMHR被験者において、短期間のオレオ・クッキー摂取が、高強度スタチン療法をはるかに上回る劇的なLDLコレステロール(LDL-C)低下効果を示したことです。
オレオ摂取アームのベースラインLDL-C値は384 mg/dLでしたが、オレオ摂取開始後、わずか16日目には111 mg/dLまで劇的に低下しました。
この変化は、相対的に71%の大幅な低下(絶対値で273 mg/dLの減少)に相当し、被験者のLDL-C値をケトジェニック食開始前のレベル(95 mg/dL)に近い「正常範囲」に戻しました。
一方、高強度スタチンであるロズバスタチン20 mgを6週間投与した結果、LDL-Cは4週目に最低値の284 mg/dLに達しました。
スタチンによるピークの減少効果は、相対的に32.5%の低下(絶対値で137 mg/dLの減少)にとどまりました。
結果を比較すると、この単一被験者において、短期間のオレオ摂取(71%減)高強度スタチン療法(32.5%減)半分以下の期間で、2倍以上のLDL-C低下効果を示したことになります。

その他の脂質指標の変化とLEMとの整合性
オレオ摂取期間中、中性脂肪(TG)は57 mg/dLから39 mg/dLへ低下しました。
これは、炭水化物によってインスリンが上昇し、VLDLから脂肪組織へのTG放出(リポタンパク質リパーゼ仲介)が促進された可能性と整合します。
また、LDL-Cが劇的に下がった後も、HDLコレステロール(HDL-C)は高いレベル(113 mg/dL)を維持しました。
LDL-Cの低下にもかかわらずHDL-Cが高く維持された現象は、VLDLの代謝回転が持続している可能性を示唆しており、脂質エネルギーモデル(LEM)の複雑な動態と一致しています。

運動量増加によるLDL-Cの再上昇もLEMと一致
さらに興味深いサブ実験として、スタチン療法の最終週(6週目)に被験者が一日の歩数を約10,000歩から約20,000歩に増やしたところ、安定していたLDL-Cは再び346 mg/dLに増加しました。
このLDL-Cの上昇は、LEMの別の予測、すなわち、他の条件が同じでも身体のエネルギー要求(活動レベル)が増加すると、燃料輸送システムとしてのLDL-Cが増えるという考えと一致しています。
これらの結果は、LMHRという特殊な体質を持つ人にとって、LDL-Cの上昇は、従来の飽和脂肪酸の摂取量(オレオ摂取期間中は飽和脂肪が増えたにもかかわらずLDL-Cは減少した)よりも、「エネルギー代謝の状態」が強く関与していることを示唆しています。

研究の結論
この特殊なケースでは「脂質エネルギーモデル」がスタチン効果を上回る
この単一被験者クロスオーバー実験の核心は、このLMHR被験者において、炭水化物の単純な追加が、高強度スタチン療法を上回る劇的なLDLコレステロール低下効果を示したことです。
この現象は、LMHRの脂質異常症を説明する「脂質エネルギーモデル(LEM)」の具体的な予測と完全に一致しています。
LEMによれば、炭水化物によって肝臓のグリコーゲンが補充されると、エネルギー燃料としての脂肪(VLDL/LDL)の全身への輸送需要が減少し、結果としてLDL-Cが低下します。
この結果は、飽和脂肪の増加がLDL-C上昇の主因であるという一般的な見解に疑問を投げかけます。
実際、オレオ摂取アームでは、ベースラインよりも飽和脂肪の摂取が増加したにもかかわらず、LDL-Cは減少しました。
また、被験者が過去にLDL-C最高値(545 mg/dL)を記録した時期は、飽和脂肪が少ないKDを実践していた時期でした。
したがって、この特殊なLMHR被験者のLDL-C上昇は、食事の飽和脂肪の量よりも、むしろ体脂肪率が低いことや、エネルギー要求(活動レベル)といった、代謝的な要因によってより良く説明される、という新しい科学的知見を提供しています。
しかし、この結果は、他のLMHR患者や一般の患者にそのまま当てはまるということを意味しません。
礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
論文の著者らは、この驚くべき結果について、以下のように考察しています。
あくまで「代謝デモンストレーション」であり健康アドバイスではない
著者はら、オレオ摂取アームは、LEMの予測通りに炭水化物添加がLDL-Cを低下させることを示すための「代謝デモンストレーション」として機能したと強調しています。
この研究はn=1の自己実験であり、結果を一般化するには限界があることを明確に認めています。
また、オレオ摂取は長期的な健康アドバイスとして受け取るべきではなく、精製された炭水化物を長期的に摂取することは、マイナスの健康影響をもたらす可能性が非常に高いと強く注意喚起されています。

炭水化物の質よりも「機能」が重要
オレオ・クッキーのような「不健康な食べ物」であっても、炭水化物を追加するだけでLDL-Cが劇的に低下したという事実は、LEMの予測通りであると強調されています。
LEMのメカニズムにおいては、炭水化物の「供給源や質」よりも、肝臓のグリコーゲンを補充するという機能が重要であるため、オレオの単純な糖分で十分な効果が得られたと考えられます。
飽和脂肪が主因ではない可能性
LMHR現象が飽和脂肪摂取量の増加によって引き起こされているという一般的な見解は、この結果によって十分には説明できないと述べています。
このLMHRのLDL-C上昇は、低い体脂肪や高い活動レベルといった代謝的要因によってより良く説明されます。
今後の課題
著者らは、この知見を基に、LMHR集団を対象とした、より大規模で倫理的なクロスオーバー試験を実施する必要性を強調しています。

日常生活へのアドバイス
今回の論文は、極めて特殊なLMHRという体質の人の、さらに単一のデータです。
一般の方が安易に真似をすると、思わぬ健康被害につながるリスクがあります。
その前提で、日本人のわれわれがこの論文から学び活かせる教訓や注意点はいくつもあります。
実践的ヒント1
ケトジェニック食や超低炭水化物ダイエットを実践中で、痩せ型なのにLDL-Cが異常に高くなった方は、自身がLMHR体質である可能性を医療専門家と相談しましょう。
この研究結果は、スタチン治療を考える前に、医療専門家と相談の上、一時的に炭水化物を増やしてLDL-C値が変化するかどうかを試す価値がある可能性を示唆しています。
これはLEMの予測に基づいた対応です。
実践的ヒント2
炭水化物を再導入する際は、オレオのような精製された食品ではなく、この実験の「デモンストレーション」という意図を理解し、長期的な健康のためには消化が良く肝臓のグリコーゲンを補充しやすい質の高い炭水化物源を選ぶのが現実的です。
実践的ヒント3
異常値が出ても焦らないこと。
この実験からもわかる通り、LMHR体質の方のLDL-Cは、食事の変更に対して非常にダイナミックに反応します。
LDL-Cが高いからといって、必ずしも動脈硬化のリスクが即座に高いとは限りません(ただし、プラークがないかなどの検査は重要です)。
実践的ヒント4
痩せ型で活動量が多い人がLDL-Cが高い場合、単に食事の「脂肪」を恐れるだけでなく、身体のエネルギー需要と供給のバランス(LEM)が崩れていないか考慮してみましょう。
「オレオがスタチンより効いた」という結果は、医療者として本当に驚きを隠せません。
しかし、この結果は、特定の体質において、代謝の常識が完全に逆転する可能性があることを示しています。
今回の実験結果は、飽和脂肪ではなく、肝臓のエネルギー貯蔵状態がLDL-Cを大きく左右するという、脂質エネルギーモデルの強力な裏付けとなりました。
これが現代医学のフロンティアであり、既存の常識を疑い、目の前の患者さんの体の声を科学的に解釈していく姿勢こそが重要だと、わたしは改めて痛感しました。
この研究を主導し、自らを被験者(n=1)とされた筆頭著者、ニコラス・G・ノーウィッツ氏(Nicholas G. Norwitz,)に心からの賛辞を送ります。
彼が示した、特定の仮説検証のために自らの体を投じる厳格なデータ収集の動機 と、その貴重な結果を「他の科学者や好奇心旺盛な臨床医の利益のために」 公開した勇気ある行動は、LMHRの脂質代謝に関する建設的な議論を促し、人類の代謝生理学の理解を進めるための大きな一歩となりました。
医学の発展に尽くされたその真摯な姿勢に、心より敬意を表します。
締めのひとこと
「常識を疑う勇気が、未来の健康を切り開く鍵なんですね!」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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