
結論「肉離れ予防の要「大腿二頭筋長頭」を太くしたいなら、ノルディックよりも「股関節を前屈した状態」で伸ばすトレーニング(LSET)が圧倒的に有効である。」
この記事はこんな方におすすめ
✅ スポーツをしていて、ハムストリングの肉離れ(ケガ)を絶対に防ぎたい方
✅「レッグカール」や「ノルディックハム」をやっているが、効果がいまいち実感できない方
✅ 短距離走やサッカーなど、ダッシュ力が勝敗を分ける競技に取り組んでいる方
✅ 最新のスポーツ科学に基づいた、効率的で無駄のない筋トレ方法を知りたいトレーナーの方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴 疑問:ハムストリングを鍛える有名な「ノルディックハム(NHT)」と、筋肉を伸ばした状態で行う「LSET」、結局どっちが筋肉を大きくし、ケガを防げるの?
🟡 結果:LSETの方がハムストリング全体、特に肉離れしやすい「大腿二頭筋長頭」を約3.5倍も大きくしました(LSET+19% vs NHT+5%)。 一方、NHTは別の部位(短頭など)に効くことが判明しました。
🟢 教訓:肉離れ予防やスプリント強化を狙うなら、ただ膝を曲げるだけでなく、「股関節を深く曲げた(お辞儀した)状態」で耐える動作を取り入れましょう。
🔵 対象:イギリスの健康な若年男性42名。筋肉の構造は共通しているため、日本人アスリートやトレーニーにも十分応用可能な信頼性の高いデータです。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
「裏モモ(ハムストリング)を鍛えるなら、とりあえずレッグカールかノルディックハムをやっておけばOK!」なんて思っていませんか?
わたしもスポーツジムでひたすらレッグカールマシンをこなしていた時期がありました。
「これで足が速くなるはず!」と信じて疑わなかったのですが、意外と変わらず、悔しい思いをした経験があります。
実は、「どのポーズで鍛えるか」によって、太くなる筋肉の場所が全く違うことが分かってきたのです。
本日ご紹介するのは、スポーツ科学の権威あるアメリカの雑誌『Medicine & Science in Sports & Exercise』に掲載された、トレーニング種目による筋肥大の違いを徹底比較した研究です。
今回は、肉離れを防ぎパフォーマンスを上げるための「本当に効くフォーム」の秘密を一緒に読み解いていきましょう。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Hamstrings Hypertrophy Is Specific to the Training Exercise: Nordic Hamstring versus Lengthened State Eccentric Training””
(ハムストリングスの筋肥大はトレーニング種目に特異的である:ノルディックハムストリング vs 長筋肉長でのエキセントリックトレーニング)
Sumiaki Maeo, Thomas G Balshaw, Darren Z Nin, et al.
Med Sci Sports Exerc. 2024 Oct 1;56(10):1893-1905. doi: 10.1249/MSS.0000000000003490. Epub 2024 Jun 6.
PMID: 38857522 DOI: 10.1249/MSS.0000000000003490
掲載雑誌:Medicine & Science in Sports & Exercise【アメリカ IF 3.70(2023)】 2024年より

研究の要旨(Abstract)
研究目的
ハムストリングの筋肥大と筋力強化において、「ノルディックハムストリング(NHT)」と「Lengthened State Eccentric Training:LSET(筋肉が最も引き伸ばされた状態(ロングレングス)で、負荷に抗いながら筋肉を伸展(エキセントリック収縮)させるトレーニング)」のどちらが効果的かを比較検証すること。
研究方法
健康な男性を3つのグループ(NHT、LSET、何もしない対照群)に分け、12週間のトレーニングを実施。
MRIを用いて個々の筋肉の体積や構造の変化を詳細に測定しました。
研究結果
LSETはNHTに比べて、ハムストリング全体、特にお尻に近い「股関節を伸ばす筋肉(大腿二頭筋長頭など)」を大幅に肥大させました。
一方、NHTは「股関節に関与しない筋肉(短頭など)」を肥大させました。
結論
ハムストリングの肥大はトレーニング種目に特異的であり、肉離れ予防の標的となる筋肉を大きくするにはLSETの方が優れている可能性が示されました。
考察
筋肉が引き伸ばされた状態(長筋肉長)での負荷が、特定の筋肉の成長を強く促したと考えられます。目的に応じて種目を使い分ける重要性が示唆されました。
研究の目的
この研究が解決しようとしたのは、「ハムストリングの肉離れを予防し、パフォーマンスを上げるためには、具体的にどのトレーニングがベストなのか?」という現場の切実な疑問です。
これまで「ノルディックハム(NHT)」は肉離れ予防に効果的と言われてきましたが、実はこの種目では股関節が伸びたままのため、筋肉があまり引き伸ばされていません。
そこで研究チームは、「もっと筋肉が伸びた状態(股関節を曲げた状態)で負荷をかける『LSET』の方が、実は筋肉を太くし、弱点を克服できるのではないか?」と考えました。
単なる筋力アップだけでなく、筋肉の形や構造レベルでどちらが優れているかを白黒つけようとしたのがこの研究の核心です。

研究の対象者と背景
この研究の対象は、過去1年半以内に特別なトレーニングをしていない健康な若年男性42名(平均年齢25歳前後)です。
彼らはイギリスで募集されましたが、筋肉の解剖学的構造や生理的な反応は人種による大きな違いはないため、日本人の私たちにとっても非常に参考になるデータです。
ただし、今回は「トレーニング初心者〜中級者」が対象であり、すでに高度に鍛え上げられたエリートアスリートの場合は、伸びしろや反応が多少異なる可能性がある点には注意が必要です。

研究の手法と分析の概要
研究チームは、参加者をランダムに「LSET群」「NHT群」「何もしない群(コントロール)」の3つに分け、12週間(合計34回)という長期間にわたってトレーニングを行わせました。
評価にはMRI(磁気共鳴画像法)という非常に精度の高い方法を使用し、ハムストリングを構成する4つの筋肉それぞれの体積をミリ単位で分析しました。
これにより、「なんとなく太くなった」ではなく、「どの筋肉がどれだけ増えたか」を科学的に証明する工夫がなされています。

【重要解説】LSET(長筋肉長トレーニング)とは?
「Lengthened State Eccentric Training」の略です。
一言で言うと、「骨盤を前傾させた状態でのレッグカール」です。
やり方
マシンに座りますが、背もたれにもたれるのではなく、股関節を深く曲げ、お辞儀をするようなイメージで、ハムストリングをパンパンにストレッチさせた状態を作ります。
この研究では、トレーニングする側の脚をウェイトを巻き上げて、もう片方の脚でゆっくり下ろす(耐える)という方法で行われました。
筋肉が引き伸ばされた状態で強い負荷がかかるのが特徴です。
ポイント
ジムにある『シーテッド(座って行う)レッグカールマシン』を使う場合は、「背もたれに寄りかからず、体を前に倒して行う」のがポイントです。
通常のレッグカールとどう違うのか、以下の3つのポイントでイメージしていただくと分かりやすいかと思います。
姿勢の違い
• 通常:背もたれに背中をつけ、股関節の角度は90度(直角)か、少し後ろに倒れた状態で行います。
• LSET:背もたれから背中を離し、太ももとお腹が近づくように深く前屈をします。
論文では「股関節屈曲角度 120度」と設定されています。
直立した状態を0度とした場合、これは、座った状態(90度)からさらに30度ほど深く前に倒れ込んだ姿勢です。
なぜ「お辞儀」をするのか?(メカニズム)
ハムストリング(裏モモの筋肉)は、骨盤の「坐骨(座った時に椅子に当たる骨)」から始まっています。
骨盤を前傾させることで、この坐骨が後ろに引っ張られます。
すると、ハムストリングの付け根が引っ張られ、「筋肉がピンと張った(ストレッチされた)状態」が作られます。
この「パンパンに伸ばされた状態」で負荷をかけることが、今回の研究でのポイントです。
【重要解説】NHT(ノルディックハムストリング)とは?
サッカー選手などがよく行っている「膝立ち前倒し運動」です。
やり方
膝立ちになり、パートナーや器具に足首を固定してもらいます。そこから膝を支点にして、体を一直線に保ったまま、ゆっくり前に倒れていきます。
ポイント
重力に逆らってブレーキをかける運動です。非常に強度は高いですが、股関節は伸びたまま(体幹と太ももが一直線)である点がLSETとの最大の違いです。
まさに、この論文のトレーニング内容を忠実に再現した動画を見つけましたのでリンクを貼っておきます、ぜひ御覧ください!
【補足:各種用語】
エキセントリック収縮(伸張性収縮)
筋肉が力を出しながら、無理やり引き伸ばされていく状態。
ブレーキをかけるような動作で、筋肥大効果が高いとされています。
大腿二頭筋長頭(BFlh)
ハムストリングの外側にある筋肉。
スプリント走で最も肉離れを起こしやすい「要注意」な部位です。
腱膜(Aponeurosis)
筋肉と腱のつなぎ目にある膜状の組織。
これが小さいと筋肉への負担が増え、ケガのリスクになると言われています。
研究結果
この研究で明らかになった、最大の発見は、
「同じ裏モモのトレーニングでも、ポーズ一つで効く場所がまるで違う」ということです。
LSETは「肉離れしやすい場所」をピンポイントで巨大化させた!
結果は衝撃的でした。
肉離れの好発部位である「大腿二頭筋長頭(BFlh)」において、+19%の増加率で成長したのに対し、NHT群はわずか5%程度しか増加しませんでした。
また、「半膜様筋」でもLSET群が圧倒的な成長を見せました。

NHTは「別の場所」に効いていた!
逆に、NHT群の方が効果が高かった部位もありました。
それは「大腿二頭筋短頭(BFsh)」と「縫工筋」です。つまり、ノルディックハムは裏モモ全体というより、股関節を使わない筋肉(膝だけまたぐ筋肉)を集中的に鍛えていたのです。

具体的な変化のまとめ
以下に、主な筋肉の体積変化率(%)をまとめました。太字部分にご注目ください。
| 筋肉の部位 | 役割 | LSET群の変化率 | NHT群の変化率 | 判定 |
| ハムストリング全体 | 裏モモ全体 | +18% | +11% | LSETの勝ち |
| 大腿二頭筋長頭 (BFlh) | 肉離れNo.1 | +19% | +5% | LSETの圧勝 |
| 半膜様筋 (SM) | 股関節を伸ばす | +14% | +2% (変化なし) | LSETの圧勝 |
| 大腿二頭筋短頭 (BFsh) | 膝だけ曲げる | +6% | +22% | NHTの勝ち |
| 腱膜のサイズ | 力の伝達・保護 | 増大した | 変化なし | LSETの勝ち |
※いずれの変化も、対照群(何もしない群)と比較して統計的に信頼できる(有意な)差がありました。
変化がなかった・差がなかったこと
意外なことに、「エキセントリック筋力(ブレーキをかける力)」の最大値の伸びについては、LSET群(+17%)とNHT群(+11%)の間に統計的な差はありませんでした。
つまり、数字上の「筋力」だけで見れば、どちらのトレーニングでも同じくらい強くなっていたのです。
では、何が違ったのか?
筋力は同じように伸びたのに、「中身(筋肉のサイズと構造)」の変化には大きな差がありました。
LSET
肉離れしやすい「大腿二頭筋長頭」が太くなり、筋肉を保護する「腱膜」も大きくなった。
NHT
別の筋肉(短頭など)が太くなり、長頭や腱膜の構造変化は乏しかった。
つまり、この結果は「肉離れを防ぎたいなら、ただ筋力数値を上げるだけでなく、LSETで『大腿二頭筋長頭』そのものを太く強く作り変える必要がある」という意味を持っています。

研究の結論
フォームの違いが「運命」を分ける
本研究の結論は、「ハムストリングの筋肥大は、選ぶ種目によって特異的に起こる」ということです。
特に、股関節を深く曲げて筋肉をストレッチした状態で行うLSETは、スプリント走やスポーツ動作で最も重要かつケガしやすい「大腿二頭筋長頭」や「半膜様筋」を効率的に鍛えられることが科学的に証明されました。
これは、従来の「ノルディックハム一辺倒」の予防法に一石を投じる、非常に重要な知見です。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、LSETで大腿二頭筋長頭が大きく成長した理由として、「長い筋肉長(ストレッチされた状態)」での機械的な負荷が筋肥大の強力なスイッチになったと考えています。
また、NHTでは股関節が伸びているため、これらの筋肉があまり活動せず、結果として肥大しなかったのではないかと推測しています。
著者らは、肉離れ予防にはLSETの方が有利な可能性があるとしつつも、実際のケガの発生率を下げられるかは今後の研究課題としています。

日常生活へのアドバイス
この研究結果は、明日からの私たちのトレーニングに革命をもたらします。日本人の我々が学び活かせるヒントは以下の通りです。
「前屈レッグカール」を取り入れよう
ジムのマシンでレッグカールをする際、背もたれにもたれず、体を前に倒して(お辞儀して)股関節を曲げた状態で膝を曲げ伸ばししましょう。これだけでLSETに近い効果が得られます。
「裏モモが伸びているストレッチ感」こそが、肉離れしやすい大腿二頭筋長頭を太くするカギとなります。
ノルディックハムだけでは不十分
ノルディックハムは素晴らしい種目ですが、それだけでは「肉離れしやすい部分」が鍛え漏れている可能性があります。
可能であればストレッチ種目と組み合わせましょう。
ストレッチの意識を変える
単に柔らかくするだけでなく、「伸ばされた状態で力を入れる」感覚を養うことが、ケガに強い脚を作ります。

「トレーニングは『何をやるか』以上に『どうやるか』が大事だと教えてくれる良い研究でしたね。座って前屈しながらのレッグカール、私も明日から早速メニューに加えます!皆さんも一緒に、ケガ知らずの最強の裏モモを目指しましょう!」
締めのひとこと
「同じ汗を流すなら、科学の力で『効かせたい場所』に確実に届けよう。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
読者の皆様は、記事の内容をご自身の責任において吟味し、適切に判断してご利用ください。
記事内の画像やイラストは、AIを用いて内容をイメージ化したものであり、本文の内容を正確に表したものではありませんので、あらかじめご了承ください。
場面: ジムの鏡の前、またはロッカールーム • 人物: 20代〜30代の日本人男性、トレーニングウェア、1名 • 表情・動作: 自分の太ももの裏側をチェックしている、トレーニングメニューを見て首を傾げている。「これでいいのかな?」という疑問のポーズ。 • 環境: 活気のあるジムの背景だが、人物の周りは少しエアポケットのように静かな空間。 • 色調: 落ち着いた室内照明、ウォームトーン。 • 品質指定:

コメント