
結論「心臓病や脳卒中の既往がある場合、卵の摂取が1日1個(約50g)を超えると死亡リスクが上昇する可能性があります。」
この記事はこんな方におすすめ
✅心筋梗塞や狭心症、脳卒中を経験したことがある方
✅卵が好きだが、コレステロールや再発リスクが心配な方
✅医師から食事指導を受けているが、具体的な卵の個数を知りたい方
✅「卵は健康に良い」説と「悪い」説、結局どっちなのか迷っている方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:一度心臓病や脳卒中になった人は、卵を食べてよいのでしょうか?それとも控えるべきでしょうか?
🟡結果:1日50g(約1個)までの摂取なら死亡リスクに大きな影響はありませんでしたが、50gを超えて食べると総死亡リスクが有意に上昇しました。
🟢教訓:心血管疾患の既往がある方は、卵を完全に断つ必要はありませんが、「1日1個未満」を目安に控えめにするのが賢明です。
🔵対象:アメリカの20歳以上で、冠動脈疾患や脳卒中の診断を受けたことのある成人3,975名のデータです。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
健康診断の結果を見るたびに、「卵料理、好きなんだけどなぁ……」とため息をついていませんか?
「卵は1日1個まで」という昔ながらの説と、「何個食べても大丈夫」という新しい説。
情報が多すぎて、何を信じればいいのか分からなくなってしまいますよね。
わたしも実は大の卵好き。
温泉卵にオムレツ……想像するだけでお腹が鳴ります。
だからこそ、そのリスクとメリットの真実は徹底的に知りたいのです。
本日ご紹介するのは、特に「心臓や血管に持病がある人」にとって、卵は薬になるのか毒になるのかを調べた大規模な研究です。
掲載されたのは『Archives of Gerontology and Geriatrics』という、高齢者の健康を専門とする権威ある医学雑誌。
今回の記事は、そんな食卓の迷子になっている皆さんの悩みに答えてくれる内容です。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Association between egg consumption and mortality risk in United States adults with established coronary heart disease or stroke: A cohort study using data from NHANES 1999-2018″”
(米国における既知の冠動脈疾患または脳卒中を有する成人における卵摂取量と死亡リスクとの関連:NHANES 1999-2018のデータを用いたコホート研究)
Peng-Peng Niu, Chan Zhang, Shuo Li, et al.
Arch Gerontol Geriatr. 2024 Sep:124:105475. doi: 10.1016/j.archger.2024.105475. Epub 2024 May 6.
PMID: 38733921 DOI: 10.1016/j.archger.2024.105475
掲載雑誌:Archives of Gerontology and Geriatrics【アイルランド IF 3.99(2024)】 2025年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
すでに冠動脈疾患や脳卒中を持っている人において、卵の摂取量がその後の死亡リスクとどう関係しているかを明らかにすることです。
研究方法
アメリカの大規模調査(NHANES)のデータを使用し、心血管疾患の既往がある3,975人を平均約7年半追跡して、卵の摂取量と死亡率の関連を解析しました。
研究結果
卵を全く食べない人と比べて、1日50g(約1個)を超えて食べる人は、あらゆる原因による死亡リスクが高くなることが分かりました。
結論
心血管疾患の既往がある米国成人において、1日50gを超える卵の摂取は死亡リスクの上昇と関連しており、適度な摂取が重要であることが示唆されました。
考察
卵には栄養も豊富ですが、コレステロールなども含まれます。健康な人とは異なり、すでに病気を持っているハイリスクな人では、食べ過ぎが寿命を縮める可能性があると考えられます。
研究の目的
これまでの多くの研究は「一般の人(健康な人)」を対象にしており、卵を食べても心臓病のリスクは上がらない、あるいはむしろ良い影響があるかもしれない、という報告もありました。
しかし、「すでに心筋梗塞や脳卒中を起こしたことがある人」が卵を食べた場合にどうなるかについては、実はよく分かっていなかったのです。
そこでこの研究は、「すでに心血管疾患を持っている患者さん」に特化して、卵の摂取がその後の生存率にどう影響するかという切実な疑問を解決するために行われました。

研究の対象者と背景
この研究の対象となったのは、アメリカの国家的な健康調査(NHANES)に参加した3,975名の成人です。
彼らは全員、医師から冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)または脳卒中と診断されたことがある人々です。
平均年齢は63.25歳で、男性が約55%、女性が約45%でした。
この研究はアメリカ人を対象としています。
アメリカと日本では食生活の背景(他に何を食べているか)や体質が異なる可能性があるため、結果をそのまま100%日本人に当てはめるには注意が必要です。
しかし、病気を持つ人のデータとして非常に重要な参考になります。

研究の手法と分析の概要
研究チームは、1999年から2018年までの約20年間のデータを使用しました。
参加者への「24時間食事思い出し法(昨日何を食べたか)」というインタビューをもとに、1日の卵摂取量を算出しました。
そして、2019年末までの追跡期間中(中央値で89ヶ月、約7.4年)に亡くなったかどうかを確認し、統計的な解析を行いました。
この分析の信頼性を担保する工夫:
単に卵の量を見るだけでなく、年齢、性別、人種、喫煙、飲酒、運動習慣、そして「卵以外の食事内容(野菜、フルーツ、肉などのタンパク質、総カロリー)」などの影響も考慮(調整)して、純粋な卵の影響を見ようとしています。

【補足:各種用語】
ハザード比(HR)
あるグループのリスクが、基準となるグループ(今回は卵を食べない人)と比べて何倍かを示す数値です。
「1.0」なら差がなく、「1.3」ならリスクが30%高いことを意味します。
NHANES
アメリカの国民健康栄養調査のこと。
数千人規模の綿密なインタビューと身体検査を行う、非常に信頼性の高いデータセットです。
Jカーブ(非線形関係)
グラフにした時、アルファベットの「J」の字のように、最初は下がって(あるいは平らで)、ある地点から急に上がる関係のこと。
今回は「適量ならリスクは低いが、多すぎるとリスクが跳ね上がる」パターンです。
研究結果
今回の研究で明らかになった、読者の皆さんが最も気になるであろう発見はこれです。
「1日50g(約1個)」が運命の分かれ道
卵を全く食べない人と比較した時、1日の摂取量が50g(Mサイズ卵約1個相当)を超えると、総死亡リスクが明確に上昇しました。
具体的な数値で見ると以下のようになります。
卵の摂取量と総死亡リスクの関係
| 1日の卵摂取量 | リスクの倍率(ハザード比) | 判定 |
| 0 ~ 50g | 1.03倍 (変化なし) | セーフ |
| 50 ~ 100g | 1.28倍 (有意に上昇) | 要注意 |
| 100g以上 | 1.31倍 (有意に上昇) | 危険 |
つまり、1日1個程度(50g以下)であれば、食べない人と比べて死亡リスクに統計的な差はない(1.03倍、誤差の範囲)のですが、それを超えて食べるとリスクが約1.3倍に跳ね上がるという結果でした。

心血管死における「Jカーブ」現象
さらに興味深いのが、心臓病や脳卒中そのもので亡くなるリスク(心血管死)についての分析です。 ここでは「摂取量50g付近」が最もリスクが低いという結果が出ました。
全く食べないよりも、50g程度食べた方がリスクが低い傾向にありましたが、50gを超えて増えていくと、逆にリスクが急上昇するという「Jカーブ(非線形の関係)」が見られたのです。
がん死亡リスクには影響なし
一方で、がんによる死亡リスクについては、卵の摂取量との間に有意な関連は見つかりませんでした(陰性所見)。
卵をたくさん食べたからといって、がんで死ぬ確率が上がるわけではないようです。
これは重要な安心材料ですね。
この結果は、「卵は毒ではないが、薬でもない。心臓に病気がある人にとっては、量こそが毒を作る」という意味だと捉えられます。

研究の結論
適量(〜50g/日)の重要性
心臓病や脳卒中の既往がある成人において、1日50gを超える卵の摂取は死亡リスクの上昇と関連していましたが、50g以下であればその関連は見られませんでした。
特に心血管死に関しては、50g付近でリスクが底になる可能性が示されました。
科学的には、このハイリスクな集団において「卵は食べ過ぎなければ大丈夫だが、制限なく食べて良いわけではない」ということが結論付けられます。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、卵には良質なタンパク質やビタミンといった有益な成分が含まれる一方で、コレステロールや飽和脂肪酸といった心血管疾患に悪影響を与えうる成分も多く含まれていることを指摘しています。
健康な一般人を対象とした研究では関連が見られないことも多いですが、すでに心血管機能が低下している患者においては、過剰なコレステロール摂取などが負担となり、予後を悪化させる可能性があると考えています。
また、今回のデータには「卵の調理法(揚げ物など)」や「卵の種類(黄身と白身の区別)」までは詳細に含まれていないことが研究の限界点として挙げられています。

日常生活へのアドバイス
この研究結果を、私たち日本人の生活に落とし込むと、以下のようなアクションプランが見えてきます。
「1日1個」を上限の目安にする
心臓病や脳卒中の経験がある方は、卵料理は「1日1個(約50g)」までに留めるのが最も安全策と言えそうです。
朝に目玉焼きを食べたら、昼の親子丼は控える、といった調整を意識しましょう。
完全に禁止する必要はない
「二度と食べてはいけない」わけではありません。
50g以下ならリスク上昇は見られませんでした。
楽しみとしての卵料理は残しつつ、量だけコントロールしてください。
MサイズとLサイズを意識する
卵1個は約50g(Mサイズ)ですが、Lサイズだと60gを超えることもあります。
厳密になりすぎる必要はありませんが、大きめの卵なら少し残すか、回数を減らす工夫も有効です。
調理法にも気を配る
論文では触れられていませんが、卵と一緒にベーコンやバター(飽和脂肪酸)を摂りすぎないことも、心臓を守るためには大切です。

「過ぎたるは及ばざるが如し」。
このことわざが、これほど当てはまる食材も珍しいですね。
大好きな卵と長く付き合っていくために、少しだけ「量」への愛ある配慮をお願いしますね。
卵という食卓の主役も、病と闘うあなたの体にとっては、「1日1個」という節度が命を守る盾になることを忘れないでください。
締めのひとこと
「朝食の卵ひとつが、あなたの体を守る大切な選択になります。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
読者の皆様は、記事の内容をご自身の責任において吟味し、適切に判断してご利用ください。
記事内の画像やイラストは、AIを用いて内容をイメージ化したものであり、本文の内容を正確に表したものではありませんので、あらかじめご了承ください。


コメント