
結論「料理へのネガティブな感情を減らし、卵料理のレパートリーを増やすだけで、食料不安に陥るリスクを大幅に下げられることが判明しました!」
この記事はこんな方におすすめ
✅ 毎日の料理が面倒で、ついつい出来合いのものを買ってしまう方
✅ 食費を節約しながら栄養のある食事を摂りたい方
✅ 自分の料理スキルが生活にどう影響するのか興味がある方
✅ 「食料不安」という言葉にピンとこないけれど、食生活に不安を感じている方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:料理が上手いかどうかは、家計や食生活の安定(食料不安の解消)に直結するの?
🟡結果:料理を面倒だと感じている人は食料不安のリスクが約8.8%増加しました。一方、卵料理を10種類以上作れる人は、5種類以下の人より食料不安のリスクが30.5%も低いことが分かりました。
🟢教訓:一般的な料理のレパートリーをむやみに増やすより、安くて栄養価の高い「卵」を使ったレシピをいくつか覚えることが、食生活を豊かにし、家計を守る強力な武器になります。
🔵対象:チリの都市部に住む106名(主に低〜中所得層の女性)を対象とした調査です。日本とは食文化が異なりますが、安価な食材を工夫して使う重要性は、日本人にも十分応用できる知見です。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
皆さんは、「毎日の料理が面倒だな…」と思って、ついスーパーのお惣菜やコンビニ弁当に頼ってしまうことはありませんか?
わたしも当直明けや長時間の手術が終わった日は疲れ果ててしまい、キッチンに立つ気力すら湧かず、適当なもので済ませてしまうことが多々あります。
本日ご紹介するのは、そんな「料理のスキルやモチベーション」が、私たちの食生活の安定にいかに直結しているかを調査した興味深い研究です。
今回の論文は、科学や医学全般を幅広く扱うアメリカの『PLoS One』という権威ある雑誌に掲載された、チリの研究チームによるものです。
今回は、料理スキルと食料不安の関係について、一緒に読み解いていきましょう。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Cooking skills and food insecurity””
(料理のスキルと食料不安)
Diego Monteza-Quiroz, Andres Silva, Maria Isabel Sactic
PLoS One. 2025 Jun 25;20(6):e0326435. doi: 10.1371/journal.pone.0326435. eCollection 2025.
PMID: 40561165 DOI: 10.1371/journal.pone.0326435
掲載雑誌:PLoS One【アメリカ IF 2.6(2024)】 2025年より

研究の要旨(Abstract)
研究目的
食料の「利用」という観点から、料理に関する主観的な認識や客観的なスキルが、食料不安とどのように関連しているかを明らかにすることです。
研究方法
チリの都市部に住む106名の低所得世帯を対象に、FAO(国連食糧農業機関)の尺度を用いて食料不安を測定し、料理スキルとの関係を統計的に分析しました。
研究結果
料理にネガティブな感情を持つ人は食料不安のリスクが高く、逆に「卵料理」のレパートリーが多い人ほど食料不安のリスクが大幅に低いことが分かりました。
結論
何でも作れる必要はなく、安価で栄養価の高い特定の食材(卵など)を調理できる実践的なスキルが、食料不安を和らげる鍵となります。
考察
所得などの構造的要因は大きいものの、料理教育プログラムなどを通じてスキルを身につけることが、食料不安を減らす持続可能な対策になり得ます。
研究の目的
従来、食料不安(健康的な食事を十分に得られない状態)の議論は、食品の価格や世帯収入といった「経済的なアクセス」にばかり注目が集まっていました。
しかし、いくら安くて栄養のある食材が手に入っても、それをうまく調理する技術がなければ宝の持ち腐れです。
そこで研究者たちは、
「世帯の中で食品を適切に調理・活用する力(料理スキル)が、食料不安の解消にどう役立つのか?」
という極めて実践的な疑問を抱き、主観的な料理への感情と、具体的な料理の腕前の両面から調査を行いました。

研究の対象者と背景
この調査がどのような人々を対象に行われたのかを見ていきましょう。
この研究は、チリの首都サンティアゴの都市部に住む106名の世帯代表者(主に食材の購入を担当する大人)を対象に行われました。
平均年齢は約44歳で、その91%が女性です。
また、回答者の多くが低所得から中所得の層(月収1000ドル未満)に属しており、パートナーを持たないシングルマザーの世帯も多く含まれていました。
この研究は南米チリの、特に女性を中心とした小規模なサンプルで行われたため、文化や社会背景が異なります。
しかし、「安価な未加工の食材をどう調理して栄養を摂るか」という根本的な課題は万国共通です。
日本人にとっても、物価高騰が続く中で食費を抑えつつ栄養価の高い食事を維持するためには、特定の食材を使いこなすスキルが極めて重要であり、この教訓はそのまま応用できると考えられます。

研究の手法と分析の概要
どのようにして料理スキルと食料不安の関係を調べたのか、その工夫を解説します。
本研究は、2023年11月に実施されたアンケートに基づく横断研究です。
食料不安の度合いを測るために、FAO(国連食糧農業機関)が開発した世界標準の「FIES」という評価ツールを使用し、結果の信頼性を担保しています。 料理のスキルについては、大きく二つの側面から評価しています。
一つ目は「料理に対する主観的な認識」です。
料理が楽しいか、面倒かといった感情を0〜10点で採点してもらいました。
二つ目は「客観的なスキル」として、作れる「料理の総数」と「卵を使った料理の数」を回答してもらいました。

なぜ「卵」なのか?
それは卵が世界中で一般的であり、生では食べにくいため、調理技術の指標として非常に分かりやすいからです。
集められたデータは、統計ソフトを用いた確率モデル(プロビットモデル)で解析され、年齢や収入などの社会経済的要因の影響をきちんと排除した上で、料理スキルそのものが食料不安に与える影響が正確に算出されました。

【補足:各種用語】
食料不安(Food Insecurity):
栄養のある十分な食料を、経済的または社会的な理由で安定して入手できない状態のことです。
FIES(Food Insecurity Experience Scale)
国連食糧農業機関(FAO)が作った、世界中で食料不安の状況を比較・測定するための標準的なアンケート手法です。
プロビットモデル(Probit Model)
ある出来事が起こる「確率」(今回であれば食料不安になる確率)を予測・分析するための統計手法の一つです。
P値(P<0.05など)
その結果が偶然起きたのかどうかを示す数値です。P<0.05であれば、「偶然でこんな結果が出る確率は5%未満(つまり統計学的に意味のある確かな結果)」と判断されます。
研究結果
アンケート調査と統計解析から見えてきた、驚きの結果をご紹介します。
卵料理のレパートリーが食生活を救う!
最も注目すべき発見は、作れる「卵料理の数」が食料不安のリスクを大きく引き下げるということです。
具体的には、卵料理を「6〜10種類」作れる人は、「5種類以下」しか作れない人に比べて、食料不安に陥る確率が8.4%も低くなりました(P<0.01)。
さらに驚くべきことに、卵料理を「10種類以上」作れる熟練者では、その確率がなんと30.5%も低下したのです(P<0.01)。
これは統計的にも非常に意味のある、確かな結果です。

料理に対する「ネガティブな感情」は悪影響
一方で、「料理は面倒だ」「時間がかかるから最低限しかやらない」といったネガティブな感情を持っている人は、食料不安のリスクが約8.8%増加することも分かりました(P<0.01)。
料理への苦手意識が、結果的に高価で栄養の偏った超加工食品(お弁当やお惣菜など)への依存を生んでしまう可能性が示唆されています。
「作れる料理の総数」は実は関係なかった(陰性所見)
ここで面白いのは、一般的な「作れる料理(ディナーのメニューなど)の数」が6〜10種類、あるいは10種類以上あっても、食料不安のリスクを有意に下げることはなかったという点です。
これは悪影響があるという意味ではありませんが、単にレシピをたくさん知っていることよりも、
「卵」という安くて栄養価の高い特定の食材を使いこなす実践的なスキルの方が、家計と食生活の安定にはるかに重要であることを意味しています。
研究結果のまとめ表
今回の主な結果を分かりやすく以下の表にまとめました。
| 評価項目 | 基準となる人 | 比較対象 | 食料不安になる確率の変化 |
| 客観的スキル:卵料理 | 5種類以下 | 6〜10種類 | 8.4% 低下(良い影響) |
| 客観的スキル:卵料理 | 5種類以下 | 10種類以上 | 30.5% 低下(非常に良い影響) |
| 客観的スキル:料理全般 | 5種類以下 | 6種類以上 | 変化なし(影響なし) |
| 主観的認識:ネガティブ | なし | あり(面倒等) | 8.8% 上昇(悪い影響) |
この結果から言えるのは、何でも作れる三ツ星シェフになる必要はないということです。
スーパーで安く買える万能食材を、いかに飽きずに美味しく食べられるか。
その少しの工夫と実践力が、あなたと家族の食の安全を守る最強の盾になるのです。

研究の結論
「利用する力」が食料の安定をもたらす
結論として、料理のスキル、特に卵のような手に入りやすい食材を調理する具体的な技術と、料理に対するポジティブな姿勢を持つことが、食料不安を減らす強力な要因であることが証明されました。
経済的な豊かさだけでなく、「手元にあるものをどう活かすか」という個人の実践力が、科学的にも大きな意味を持つことが示された画期的な知見です。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、今回の研究における解釈や今後の展望について以下のように述べています。
今回の研究は「ある一時点での調査(横断研究)」であるため、料理スキルが高いから食料不安が減ったのか、食料不安がないから料理をする余裕があるのかという完全な因果関係までは断定できないとしています。
また、対象者がチリの都市部の少人数に限られていること、そして自分のスキルを自己申告で回答しているため、実際の腕前との間にズレがあるかもしれないという限界を挙げています。
今後は、農村部への拡大や、水へのアクセスなどを含めた、より広い視点での調査が必要だと述べています。

日常生活へのアドバイス
今回の研究結果から、日本人のわれわれがこの論文から学び活かせる、明日から実践できる教訓や注意点をご紹介します。
安価で身近な食材を使いこなすスキルを磨こう
論文で「卵」が評価の指標にされたように、安くて栄養価の高い未加工の食材を調理できる実践力が家計を救います。
まずは卵や旬の野菜など、手に入りやすい万能食材を使った簡単なレシピをいくつか覚えてみましょう。
「名もなき料理」でOK!料理のハードルを下げる
立派な名前のついた料理をたくさん作れる必要はありません。
冷蔵庫の余り物をさっと炒めるだけの簡単料理で十分です。
料理に対する「面倒くさい」というネガティブな感情を減らすことが、食生活を安定させるための第一歩です。
加工食品に頼る日があっても自分を責めない
疲れた日はお惣菜に頼るのも立派な戦略です。
そこに、自分でさっと調理した身近な食材(ゆで卵や温野菜など)を一つ足すだけで、無理なく栄養価と食料の安定感を高めることができます。

毎日の料理、本当にお疲れ様です。
何十種類もの立派な献立を作れる必要なんてありません。
「手元にある身近な食材で、とりあえず一品作れる」という少しの実践力と自信が、あなたと家族の食の安心を守る強力な武器になってくれますよ。
締めのひとこと
「冷蔵庫にあるもので「とりあえず一品作れる」という小さな自信が、日々の生活を支える大きな力になります。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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