コーヒーは便秘に効く?最新研究から見えた意外な効果と注意点【医学論文まとめ】

カフェイン入りコーヒーの便秘改善効果を示すイメージイラスト。健康的な腸の動きを表す蒸気とスッキリしたお腹の人物、アルコール控えめの効果も示唆

結論「カフェイン入りコーヒーは、適量であれば便秘のリスクを下げる可能性があることが、アメリカの大規模研究で示されました。」

この記事はこんな方におすすめ


✅ コーヒーが便秘に効くのか、科学的な根拠を知りたい方

✅ 普段から便秘がちで、食生活から改善したい方

✅ アルコールを飲む習慣があり、コーヒーとの組み合わせが気になる方

✅ 日本人に合った便秘対策を探している方


はじめに

皆さん、いきなりですがお通じに悩みはありませんか?
私は野菜不足のせいか、いつもお腹がすっきりしません(笑)。

「毎日スッキリ出ない…」
「便秘薬には頼りたくないけど、何か自然な方法はないかな?」

そんな悩みを抱える方に、ちょっとしたヒントになるかもしれない研究があります。
それが今回ご紹介する論文。テーマはズバリ コーヒーと便秘の関係」です。

ネットでも「コーヒーを飲むとお腹が動く」といった声を見かけますが、実際の研究結果ではどうなのでしょうか?

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた

生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

今回読んだ論文

“”Modification of the association between coffee consumption and constipation by alcohol drinking: A cross-sectional analysis of NHANES 2007–2010″”

(アルコール摂取によるコーヒー消費と便秘の関連性の変化:NHANES 2007〜2010年データによる横断解析)

PLoS One. 2024 Oct 25;19(10):e0311916. doi: 10.1371/journal.pone.0311916. eCollection 2024.

PMID: 39453914 DOI: 10.1371/journal.pone.0311916

掲載雑誌:プロス・ワン (PLoS;Public Library of Science) 【アメリカ】 2024年10月より

米国の大規模調査からわかった「コーヒーと便秘」の意外な関係

米国CDC(疾病予防管理センター)が行っている「NHANES(全米健康栄養調査)」のデータ(2007〜2010年)をもとに、成人7,844人を対象にした分析結果です。

その結果…



✅ 1〜2杯/日のカフェイン入りコーヒーで便秘リスクが約39%低下
✅ アルコールを飲まない人では 3杯以上で便秘リスクが88%低下
✅ デカフェは効果なし


つまり、コーヒーの便秘予防効果には 「カフェインがカギ」 ということが示唆されています。

調査対象者の背景と人種構成

この研究で使われたNHANES調査は、米国の多民族社会を反映しています。


✅ 対象者:20歳以上の男女7,844人
✅ 国・地域:アメリカ全土
✅ 人種構成:

 ・非ヒスパニック系白人が多数
 ・非ヒスパニック系黒人
 ・ヒスパニック系
 ・その他のアジア系・多民族など


👉 アメリカはコーヒーの消費量が高く、1日3杯以上が一般的な人も多い文化背景があります。

コーヒーの便秘改善効果は「カフェイン入り」にあった

以下にこの論文の結論の肝となる図(Figure 2)を提示します。

Modification of the association between coffee consumption and constipation by alcohol drinking: A cross-sectional analysis of NHANES 2007–2010
Background The association between coffee consumption and constipation remains unclear. This study aimed to examine the ...


それぞれのグラフは

A 総コーヒー消費量と便秘リスク

B カフェイン入りコーヒー消費量と便秘リスク

C デカフェ(カフェインレス)コーヒー消費量と便秘リスク

を示しています。

コーヒー消費量は1日あたりの杯数
縦軸は便秘になるリスクで、1.0を基準としています。


✅ 1.0より下 → 便秘リスクが低下
✅ 1.0より上 → 便秘リスクが上昇



という意味です。

注目すべきはカフェインの有無で分けたBとCのグラフです。

面白いのは、「カフェイン入り」にだけ効果が見られた点です。
一方で、デカフェ(カフェインレス)コーヒーではむしろ飲むことによって便秘リスクが上昇している傾向が見られます。

カフェインは 腸の蠕動運動(ぜんどううんどう) を促進することが知られています。
一方、デカフェ(カフェインレス)コーヒーにはこうした効果は確認されていません。

つまり、「便秘対策としてはカフェイン入りコーヒー」を意識して取り入れるのがポイントとなることがわかりました。

「お酒を飲むかどうか」でさらに差がつく

さらに驚くべきは、アルコールの影響です。(以下Figure2再掲)

今回の研究では、アルコール摂取歴の有無で:


✅ お酒を飲む人も含めた全体(whole population)各グラフ赤線
✅ お酒を一切飲まない人(never drinkers) 各グラフ青線


に分けて解析しています。

結果は:


✅ アルコールを飲まない人 → コーヒー3杯以上/日で便秘リスク88%
✅ アルコールを飲む人 → 効果が弱まる


これは、アルコールがカフェインの代謝や腸の動きに影響を与えてしまうためと考えられています。

つまり、お酒を飲まない方ほどコーヒーの便秘改善効果が高まるというのが、この研究の非常に重要なポイントのひとつです。

【筆者の考察】日本人にとっての注意点

日本人はアメリカ人に比べて:

  • 腸が長く、蠕動運動が弱めの傾向があり、便秘になりやすい
  • カフェインに敏感な人が多い
  • アルコール分解酵素(ALDH2)が弱い人が多いため、アルコールの影響が大きく出やすい

文化的にも:

  • 1日3杯以上コーヒーを飲む人は比較的少ない
  • 「デカフェ」を選ぶ人が多いため、カフェイン効果が得られにくい場合も

👉 こうした背景から、日本人が今回の研究結果を取り入れる場合は:


✅ まずは 1日1〜2杯のカフェイン入りコーヒーから試す
✅ アルコール摂取量も意識して調整する(控えめに)


というアプローチが現実的で安全と考えられます。

まとめ:賢くコーヒーを取り入れて快腸生活へ

今回の研究からわかったのは:


✅ カフェイン入りコーヒーは便秘改善に有効な可能性
✅ 1〜2杯/日が目安
✅ アルコールを控えるとさらに効果アップ


ですが、日本人は腸や体質の違いがあるため、「自分に合った量・習慣」を見つけることが大切です。

無理なくコーヒーを取り入れつつ、快腸な毎日を目指してみましょう!

締めのひとこと

「コーヒーの力を上手に取り入れて、毎日スッキリ快適な生活を目指していきたいですね。」


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

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