コーヒーを飲む人はがんになりにくい?最新研究から見えた健康との関係

時間座りっぱなしの糖尿病男性と、屋外を笑顔で歩く男性を対比したイラスト

結論「毎日のコーヒーが、がん予防につながるかもしれません。世界の研究をまとめた結果、特定のがんでリスク低下が確認されました」

この記事はこんな方におすすめ

✅「がん予防に効く食べ物・飲み物」を知りたい方
✅がんに自分も気をつけたいと思っている方
✅コーヒー好きだけど、健康にいいのか不安だった方
✅カフェインのとり方に悩んでいる方(妊娠中・胃弱など)

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:コーヒーってどういうふうに健康にいいの?
🟡結果:コーヒーをよく飲む人は、肝臓・皮膚・子宮内膜など特定のがんのリスクが20〜34%低いことが分かりました
🟢教訓:飲み方によっては健康長寿につながる可能性あり。ただし飲みすぎには注意。
🔵対象:欧米を中心とした成人を対象とした研究で、日本人にも共通点が多いが生活習慣の違いも考慮を

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。

はじめに

皆さん、こんにちは!

これまでわたしは、コーヒーに関する医学論文をいくつか紹介してきました。

血圧や糖尿病、心血管のリスクなど、体への影響について色々な角度から取り上げてきました。

でも、実はがんとの関係を扱った論文には、これまで出会えていませんでした。

コーヒーは多くの人にとって毎日のように飲むものだからこそ、がんのような大きな病気との関係は気になるテーマですよね。

そんな中、ついに見つけたのが今回の論文。

世界中のデータを集めて、コーヒー摂取とがんリスクの関連性を詳しく分析したレビュー研究です。

この論文は、アメリカの老年医学専門誌「GeroScience(老年科学)」に掲載されており、健康長寿や加齢に関する病気予防を専門に扱う、信頼できる学術誌です

今回はこの研究をもとに、「コーヒーとがん、ほんとうに関係あるの?」という疑問に、できるだけわかりやすくお答えしていきます。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。

今回読んだ論文

“Coffee consumption, cancer, and healthy aging: epidemiological evidence and underlying mechanisms”

(コーヒー摂取、がん、および健康的な老化:疫学的証拠とそのメカニズム)

Geroscience. 2025 Apr;47(2):1517-1555.

PMID: 39266809 DOI: 10.1007/s11357-024-01332-8

掲載雑誌:GeroScience【アメリカ】 2025年4月

研究の要旨

研究目的

コーヒー摂取ががんリスクおよび健康的老化に与える影響を包括的に評価。

研究方法

観察研究、介入研究、MR研究を含む総合レビュー。対象は成人の人間、複数の大規模コホート研究・メタ解析が含まれる。

研究結果

コーヒー摂取は皮膚がん、肝臓がん、前立腺がん、子宮内膜がんのリスク低下と関連。大腸がんの再発率も低下傾向。

結論

コーヒーのバイオアクティブ成分による抗酸化・抗炎症作用が予防効果に寄与する可能性がある。

考察

がんの種類や摂取量によって影響が異なるため、個別のリスク評価とさらなる研究が必要。

研究の目的

この研究の目的は、「コーヒーを日常的に飲むことが、がんのリスクや健康的な老化にどのように影響するのか」を、多角的な視点から明らかにすることです。

これまでの研究で、コーヒーに含まれる成分が代謝や炎症、酸化ストレス、免疫機能、さらには細胞の老化そのものに作用する可能性が指摘されてきました。

これらはすべて、がんの発症や進行と深く関わる要素です。

しかし、がんの種類ごとにどの程度関係があるのか、またそれがただの関連なのか、それとも因果関係があるのかについては、まだはっきりしていませんでした。

そこで本研究では、観察研究・介入研究・メンデルランダム化(MR)研究といった多様なアプローチを通じて、

コーヒーとがんとの関係をより正確に評価することを目的としています。

研究の対象者と背景

この研究は、世界中の疫学研究をまとめて分析するメタアナリシスとして行われました。

対象となったのは、主に欧米諸国で実施された大規模な前向き観察研究に参加した一般の成人たちです

コーヒーを1日0杯の人から4杯以上飲む人まで、幅広い摂取量を持つ人々が含まれ、長期間にわたって「がんを発症するかどうか」が追跡されました。

対象者の特徴

・年齢:主に中高年〜高齢者

・地域:アメリカ、ヨーロッパなど

・コーヒー摂取量:0杯〜4杯以上/日

・生活習慣:喫煙、飲酒、運動なども詳細に記録

こうした人々の生活習慣と健康状態のデータをもとに、「コーヒーとがんリスクに関連があるのか?」が調べられました。

この結果、日本人にも当てはまる?

本研究の対象は欧米人が中心であり、体質や食文化の違いから、日本人への完全な当てはまりには注意が必要です。

しかし、肝臓がんなど日本でも高リスクな部位についての結果も含まれており、私たちにとっても示唆に富んだ内容といえます。

研究の手法と分析の概要

この研究の中心は、過去に実施された観察研究を統合するメタアナリシスです。

そのうえで、因果関係やメカニズムを補足するために、他の研究(RCTやメンデルランダム化研究)も引用されています。

実際に行われた主な分析:観察研究のメタアナリシス

目的

「コーヒーをよく飲む人」は、「飲まない人」に比べて、がんになりにくいのか?

がんの種類別に、リスクがどう変わるのか?を明らかにすること

方法

前向きコホート研究を複数集めて統合

コーヒー摂取量ごとに、がんの発症率(リスク比=RR)を比較

肝臓がん、子宮内膜がん、前立腺がん、大腸がん、膀胱がんなどが分析対象

・喫煙、BMI、年齢、飲酒などの交絡因子を統計的に調整

特徴

・がんの種類ごとに細かく解析

・一部のがんについては「飲む量が多いほどリスクが下がる」という傾向(用量反応関係)も評価

・統計的な信頼性(95%信頼区間・P値)も明示されている

※なお、このメタアナリシスに含まれた研究の総数は論文中に明記されていません。がんの種類ごとに引用された研究数は異なるようです。

補足的に引用された研究(この論文で実施されたものではない)

介入研究(RCT)

実際に人にコーヒーを飲んでもらって、血液中の炎症マーカーや代謝の指標が変化するかどうかを調べた既存の研究

⇒がん発症を直接評価するものではないが、予防のメカニズム理解に役立つデータとして引用されています

メンデルランダム化研究(MR)

遺伝的に「コーヒーをよく飲む体質」の人とそうでない人のがんリスクを比較する研究

特に肝臓がんや大腸がんとの因果関係を探るために、補助的な証拠として紹介されています

このように、メタアナリシスを中核に据えながら、他の研究の知見も取り入れた総合的な分析であることが、この研究の特徴です。

次のセクションでは、実際に得られた結果を、わかりやすい表とともにご紹介します。

【補足:各種用語】

メタアナリシス

複数の研究結果を統合して、大きな傾向を明らかにする手法。
信頼性が高く、医療研究では非常に重要な手法とされています。

リスク比(RR)

ある条件で病気になるリスクの違いを示す数値。
1.0なら影響なし、1未満ならリスクが下がる、1超ならリスクが上がることを意味します。

メンデルランダム化研究(MR)

遺伝的な特徴を使って、因果関係を探る方法。
生活習慣の偏り(たとえば健康な人ほどコーヒーを飲む、など)を避けられるメリットがあります。

研究結果

本研究では、コーヒーをよく飲む人が、特定のがんにかかるリスクをどれだけ減らせるかを、がんの種類ごとに詳しく調べました。

明らかになった“リスク低下”のがんタイプ

以下のがんについて、コーヒーを飲むことでリスクが有意に低下する傾向が確認されました。

がんの種類リスク低下の傾向コメント
肝臓がん大きく低下(RR 0.67)1日4杯以上で顕著な低下傾向
子宮内膜がんやや低下(RR 0.79)一定量以上で有意なリスク減少
口腔・咽頭がんやや低下(RR 0.80)飲む量が多いほど低下の傾向
皮膚がん(悪性黒色腫)わずかに低下(RR 0.90)カフェイン入りでより顕著な傾向

カフェイン入り vs カフェインなし

一部のがんでは、カフェイン入りコーヒーの方が効果が強い傾向がありました。

特に皮膚がんでは、カフェイン入りでリスク低下が明確でした。

一方で、カフェインなし(デカフェ)でも一定の効果が見られるがんもあり、

これはコーヒーに含まれる他の抗酸化成分の影響が考えられ、

カフェインの有無にかかわらず、がん予防の可能性があることが示唆されています。

リスクが変わらなかったがん(陰性所見)

以下のがんでは、コーヒー摂取と明確な関連性は確認されませんでした。

・乳がん

・前立腺がん

・膀胱がん

・胃がん

・食道がん など

とはいえ、「効果がなかった」=「悪化した」ではなく、リスクが増えることはなかったという点は安心材料です。

飲む量とリスクの関係(用量反応関係)

肝臓がんなどでは、飲む量が多いほどリスクが下がる傾向も確認されました。

このことは、「たまに飲む」よりも「習慣的に飲む」方が、がん予防効果に関与している可能性を示しています。

性別による差は?

男性と女性で、コーヒーの効果に有意な違いは見られませんでした。

つまり、コーヒーのがん予防効果は性別にかかわらず広く期待できると考えられます。

ただし、閉経後の女性において乳がんのリスク低下が示された研究もあり、今後の検証が望まれます。

地域・人種差は?

研究に含まれた参加者の多くは欧米出身でしたが、アジアを含む他地域との比較においても、結果に大きな差はありませんでした。

このことから、日本人にとっても応用可能性のある結果といえるでしょう。

ライフスタイルとの関係(喫煙・肥満など)

喫煙、肥満(BMI)、運動量といった他の生活習慣因子とコーヒーの効果との関連性も検討されました。

その結果、これらの要因にかかわらず、コーヒーの摂取ががんリスクの低下と関連する可能性が示唆されました。

肺がん:一時的にリスク上昇の傾向?でも…

一部の研究では、コーヒー摂取と肺がんリスクの増加が関連しているように見えました。

しかし、これは喫煙者にコーヒー愛飲者が多いという交絡(こんがらがった影響)のせいである可能性が高いとされます。

そのため、喫煙などの要因を調整した再解析では、有意なリスク上昇は消失し、コーヒー自体が肺がんの原因とは考えにくいとされています。

結果の信頼性と一貫性

この研究では、感度分析や異質性の検討(結果のばらつきの分析)も行われました。

主要ながん種では分析手法や前提条件を変えても一貫した結果が得られており、結果の信頼性が高いことが示されています。

このように本研究では、がんの種類・コーヒーの種類・摂取量・性別・地域・生活習慣因子など多角的な観点から検証されており、

結果の信頼性と日本人を含めた広い人々への応用可能性の両面がしっかりと担保されています。

がん以外の健康影響として

本研究では主にがんとの関連が中心ですが、それに加えてコーヒーが「健康的な老化」全般に与える影響についても言及がありました。

特に、肝機能の改善や慢性炎症の抑制、代謝指標(インスリン感受性や脂質代謝など)の改善などが報告されており、

これらが間接的にがんリスクを下げる背景因子となっている可能性もあります。

これらの知見は今後、糖尿病や認知症といった老化関連疾患への影響を評価するうえでも重要な手がかりになるでしょう。

研究の結論

コーヒーは一部のがんのリスクを下げる可能性がある

本研究のメタアナリシスの結果、コーヒーの摂取は複数のがん種においてリスク低下と関連していることが示されました。

とくに以下のがんでは、コーヒーを日常的に飲んでいる人においてリスクが有意に低下していたことがわかりました:

・肝臓がん

・子宮内膜がん

・一部の皮膚がん(基底細胞がん)

・一部の乳がんや前立腺がん

これらの効果はカフェインの有無にかかわらず確認されており、飲み方によらず効果が期待できることが示唆されました

また、コーヒーを飲むことでがんリスクが上がるといった明確な悪影響は確認されませんでした。

【礼次郎の考察とまとめ】

なぜコーヒーにがん予防効果があるのか?

論文の著者たちは、コーヒーに含まれるさまざまな抗酸化物質や抗炎症作用をもつ成分が関与していると考察しています。

主に注目された成分

ポリフェノール類(クロロゲン酸など)

カフェイン(代謝に関与)

ジテルペン類(がん細胞の成長を抑える働きがあるかも)

抗炎症物質(細胞の老化を防ぐ)

これらの成分が、がんの発生や進行にかかわる炎症や酸化ストレスを抑えることで、がん予防につながっているとみられています。

また、肝臓がんについては特に効果が顕著で、肝機能改善や脂肪肝の予防などが間接的にリスク低下につながっている可能性も指摘されています。

日常生活にどう活かせばいい?

コーヒーは、手軽に取り入れられる嗜好品です。

本研究の結果から、

✅️1日2〜4杯程度のコーヒー摂取は、がん予防に役立つ可能性がある

✅️カフェインレスでも一定の効果が期待できるため、体質に合わせて選んでOK

✅️肝臓がんなど、生活習慣と関連の深いがんには特に効果的かも

というヒントが得られました。

でももちろん、「飲んでいれば絶対にがんにならない!」なんて話ではありません。

食事、運動、禁煙など、生活全体のバランスがあってこそ健康は成り立つので、そこはお忘れなく◎

注意点も忘れずに

・砂糖やクリームの多量摂取には注意しましょう

・胃が弱い人や妊娠中の方は、無理せずデカフェを選ぶなど工夫を

・持病のある方は医師と相談して取り入れるのが安心です

いかがでしょうか?

「体にいいらしいけど…難しそう」と思っていたコーヒーも、こうしてみると、身近な“健康サポート飲料”としての一面が見えてきますね。

締めのひとこと

コーヒータイムが、あなたのからだを守っているかも


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

画像は主にChat GPT・Geminiを使用しAIで作成しております。

あくまでも、すべてイメージ画像です。

本文の内容を正確に表した画像ではありませんのでご注意ください。

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