
結論「果物や野菜を中心にしたバランスの良い食生活を送る人は、不安を感じる可能性が明らかに低かった」
この記事はこんな方におすすめ
✅最近、なんとなく気分が落ち込むことが増えた人
✅食生活を見直したいけれど何から始めればいいか迷っている人
✅心の健康と食べ物の関係に興味がある人
✅女性でストレスを感じやすい生活を送っている人
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:気分の落ち込みに、食事の内容も関係あるのかな?
🟡結果:バランスの良い食生活をしている人は、不安を感じる日が少なかったという結果に!
🟢教訓:サプリより先に、野菜と果物を増やしてみるのが心の健康の近道かも。
🔵対象:アメリカの成人を対象とした調査だけど、日本人にも当てはまりそうな大事なヒント。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
人間だれしも、不安な気持ちが続いたり、落ち込みやすくなったりすることってありますよね?
仕事のこと、家族のこと、将来のこと……
いろいろ考えすぎると、前向きに捉えられる日もあれば、
体調によっては気分が沈んでしまうこともあります。
でも実はそういう不安な気持ちって、ふだんの食事が影響している可能性が出てきたんです。
「心の状態は、栄養の状態を映す鏡なのかもしれない」
──そんな興味深いテーマに科学的に迫った研究が、最近発表されました。
今回ご紹介するのは、オランダ発の医学専門誌『Journal of Affective Disorders』に掲載された研究で、
「健康的な食生活」と「不安感」の関係について、アメリカの大規模な調査データから分析した内容です。
野菜や果物が、私たちの「気持ちの安定」にどう関係しているのか?
そのヒントが詰まった研究結果を、やさしく噛み砕いてご紹介していきますね。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“Association between healthy eating Index-2020 and anxiety: Insights from NHANES highlighting fruit and vegetable intake”
(健康的な食事指数(HEI-2020)と不安との関連:果物・野菜の摂取量に注目した米国全国調査(NHANES)からの知見)
J Affect Disord. 2025 Sep 15:385:119421.
PMID: 40381859 DOI: 10.1016/j.jad.2025.119421
掲載雑誌:Journal of Affective Disorders【オランダ】 2025年9月
研究の要旨
研究目的
健康的な食生活(HEI-2020)が不安に与える影響を調査
研究方法
米国の国民健康栄養調査NHANESの10,870人のデータを用いて、食事内容と不安との関連を分析
研究結果
HEI-2020スコアが高いほど不安のリスクは低く、特に果物・野菜の摂取が重要で、中年女性に強い効果
結論
高品質な食事(特に果物・野菜の多いもの)は不安軽減と関連
考察
食生活改善が精神的健康の支援策となり得る可能性があり、特に女性・中年層に有効性が高い
研究の目的
この研究の目的は、食事の質が不安感にどう影響するかを調べることです。
具体的には、アメリカの食事ガイドラインに基づいた評価指標「Healthy Eating Index 2020(HEI-2020)」のスコアと、
過去2週間に経験した「不安を感じた日数」との関連性を分析しました。
研究者たちは、これまでにうつ病などのメンタルヘルスと食生活の関係を示した研究が多く存在する一方で、
不安との関連に注目した研究は少なかったことに注目しています。
とくに、野菜や果物の摂取がメンタルヘルスに良い影響を与える可能性があるという予備的な知見がある中で、
全体的な食生活の質(HEI-2020)と不安感の関係を大規模なデータから明らかにしようと考えました。

研究の対象者と背景
この研究では、アメリカの国民健康栄養調査(NHANES)に参加した成人10,870人のデータが分析されました。

対象者の条件
調査対象:18歳以上の男女
対象人数:10,870人
調査年:2007〜2012年の6年間に収集されたデータ
除外された人:妊婦、食事データや不安スコアの記録がない人
研究の背景
現代社会では、うつ病や不安障害などの精神的な不調の増加が社会的課題となっています。
これまでに「食生活とうつ」の関係を示す研究は数多くありますが、「不安」との関係はまだ十分に解明されていないという問題意識がありました。
日本人に当てはまるか?
この研究はアメリカの成人が対象で、日本人に完全に当てはまるわけではありません。
ただし、加工食品の多い現代の食環境や、野菜・果物の摂取不足という点では共通しており、日本人にとっても十分参考になる結果といえるでしょう。

研究の手法と分析の概要
この研究は、横断的な観察研究の形式で実施されました。
データ収集と評価
・食生活の評価:2日間の食事調査をもとに、「Healthy Eating Index 2020(HEI-2020)」でスコア化
・不安感の評価:過去2週間の「不安を感じた日数」を、質問票(PHQ項目)から抽出
使用された統計手法
・多変量ロジスティック回帰分析:年齢・性別・BMIなどの影響を調整しつつ、不安の発症リスクを評価
・傾向スコアマッチング:背景因子が異なる人同士を統計的に調整して比較の正確性を高める手法
・クラスタリング分析:果物と野菜の摂取傾向によってグループ分けし、群間比較も実施
なぜこの手法を使ったのか?
観察研究では因果関係は断定できませんが、傾向スコアマッチングなどを併用することで、
「より実際に近い条件での比較」が可能になります。信頼性の高い推定が得られるのが特徴です。

【補足:各種用語】
HEI-2020(Healthy Eating Index 2020)
アメリカの「食事ガイドライン」に基づき、野菜・果物・全粒穀物・塩分・脂質などのバランスを数値化したもの。
点数が高いほど、健康的な食生活とされています(最大100点)。
ロジスティック回帰
「ある条件で、何かが起きるかどうか」を確率で分析する方法です。
今回の研究では、「食生活が良いと、不安を感じる確率が下がるか?」を数値で評価しています。
複数の要因(年齢・性別など)を同時に考慮できるのが特徴です。
傾向スコアマッチング(propensity score matching)
背景が似ている人どうしを統計的にペアにして比べる方法です。
年齢・性別・生活習慣などを点数化(=傾向スコア)して、条件の近い人同士を比較することで、
「食事の違いだけが結果に影響しているか?」をより正確に見ることができます。
クラスタリング分析
データの特徴が似ている人どうしを、自動的にグループ分けする方法です。
今回の研究では、果物と野菜の食べ方の傾向に応じて、参加者をいくつかのグループに分け、そのグループごとに不安の感じやすさを比較しました。

研究結果
健康的な食事をしている人ほど、不安を感じにくい傾向があった
食事の質が高い人(=HEI-2020スコアが高い人)は、過去2週間で不安を感じた日数が少ない傾向がありました。
特に、スコアが最も高いグループ(第4四分位)では、不安を感じた人の割合が最も低いという結果でした。
HEIスコアグループ | 「不安を1日以上感じた」人の割合 |
第1グループ(スコア低) | 約63% |
第4グループ(スコア高) | 約53% |
食事の質が高い人のほうが、不安を感じた人の割合が約10ポイント低いという、明確な違いが見られました。
また、HEIスコアが1ポイント上がるごとに、不安を感じる可能性が約1%ずつ低下するという傾向も確認されました。
これは、小さな食習慣の改善でもメンタルに良い影響が期待できることを示しています。
この結果は、年齢・性別・人種・教育歴・喫煙・運動習慣などの要因を統計的に調整したうえでも有意でした。
つまり、食事の質と不安の関係は、ほかの生活習慣とは独立した関連と考えられます。

【補足】「質の高い食事」って、具体的にはどんな食事?
この研究では、HEI-2020(健康的食事指数)というスコアを使って、食事の“質の高さ”を評価しています。
HEIスコアは、アメリカの栄養ガイドラインに基づいて以下のような項目を点数化したものです。
HEI-2020で評価される主な項目
スコアが高くなる食習慣 | 具体的な食品例 |
🍎 果物をたくさん摂る | リンゴ、バナナ、ブルーベリー、柿など |
🥦 野菜をたっぷり食べる(特に緑黄色野菜) | ブロッコリー、ほうれん草、にんじん、トマトなど |
🌾 全粒穀物を選ぶ | 玄米、オートミール、全粒粉パンなど |
🐟 植物性たんぱく質や海藻類を摂る | 豆腐、納豆、大豆、わかめ、ひじきなど |
🫒 良質な脂質(植物油、ナッツ類)を取り入れる | オリーブオイル、アーモンド、くるみなど |
スコアが低くなる食習慣(避けたいもの)
控えるべき食品や特徴 | 例 |
🧂 塩分が多すぎる | ラーメン、漬物、加工食品の食べすぎ |
🥐 精製された穀物が多い | 白米、白パン、ケーキや菓子パンなど |
🍭 加工された砂糖が多い | 清涼飲料水、スナック菓子、甘いシリアルなど |
🍟 飽和脂肪酸が多い食品 | 揚げ物、バター、脂身の多い肉類 |
このように、「質の高い食事」とは単に「野菜を食べる」だけではなく、さまざまな食品をバランスよく取り入れ、加工食品や塩分・糖分を控えることが大切だとわかります。

果物と野菜の摂取が、不安の軽減と特に強く関係していた
HEIスコアを構成する各項目を分析したところ、特に「果物」や「非でんぷん質の野菜」を多く摂っている人は、不安が少ない傾向がありました。
この関係は統計的にも有意(P<0.05)で、信頼性のある結果です。
野菜と果物の摂取と不安の傾向(表現による説明)
【摂取傾向】 | 【不安傾向】 |
果物・野菜をよく摂る | 不安が少ない傾向 |
あまり摂らない | 不安が多い傾向 |
食事パターンごとの違い(クラスタリング分析)
さらに、果物と野菜の摂取量の組み合わせによって参加者を分類し、4つのパターンに分けて比較しました。
【摂取パターン】 | 【不安傾向】 |
果物も野菜も多い | 最も不安が少ない |
果物だけ多い | 中間程度 |
野菜だけ多い | 中間程度 |
果物も野菜も少ない | 最も不安が多い |
この結果から、「どちらか一方だけでなく、両方をしっかり摂ること」がメンタルの安定にもつながる可能性が示唆されます。
他にも注目すべき食事の要素があった
果物と野菜以外にも、不安との関係が見られた食品項目がありました。
特に不安が少なかったのは、次のような食生活をしている人たちです:
・果物を多く摂る
・非でんぷん質の野菜を多く摂る
・精製穀物(白米・白パンなど)を控えている
・ナトリウム(塩分)を控えている
これは「何を食べるか」だけでなく、「何を控えるか」もメンタルの安定に影響することを示しています。
一部の栄養素とは関連が見られなかった
一方で、「全粒穀物(玄米や全粒粉パンなど)」や「脂質の摂取量」については、不安との関係がはっきりとは見られませんでした。
つまり、すべての健康的な食材がメンタルに直接影響するわけではないということです。
今回の結果からは、食事の“質”全体が大事なのは確かですが、
特に「果物」や「野菜」、「塩分を控えること」などの要素が、
不安に対してより強い影響を持っている可能性があると考えられます。

研究の結論
食事の質がメンタルヘルスに与える影響が明らかに
この研究から、
✅️食事の質が高い人ほど不安を感じにくいという傾向
が明らかになりました。
特に、
✅️果物や野菜を多く取り入れたバランスの良い食事が、メンタルの安定と深く関わっている可能性があります。
また、「塩分を控える」「白米や白パンといった精製された穀物を控える」といった要素も、不安の軽減と関連していることが分かりました。
一方で、全粒穀物や脂質の摂取量などは明確な関連が見られなかったことから、「どんな栄養素をたくさん摂るか」だけでなく、
「何を減らすか」も重要であることが示唆されます。
【礼次郎の考察とまとめ】
なぜ食事の質が不安と関係するのか?
研究者たちは、栄養素が脳の働きや炎症反応、腸内環境に影響することがメンタルに影響する要因ではないかと考察しています。
例えば、果物や野菜には、脳の神経伝達に関わるビタミンやポリフェノール、抗酸化物質が豊富に含まれています。
また、腸内の善玉菌を助ける食物繊維も豊富で、「腸―脳相関(gut-brain axis)」という仕組みを通じて、精神状態にも良い影響を与えると考えられています。
一方で、塩分や精製された炭水化物(白米、白パン、ケーキ、菓子パンなど)を摂りすぎると、血糖の急激な変動や体内の炎症を引き起こし、不安感を強める可能性があると指摘されています。

日常生活でどう活かせる?
難しいことを考える必要はありません。
この研究が教えてくれるのは、「ちょっと食事を気にするだけでも、気分が前向きになる可能性がある」ということです。
たとえば…
・朝ごはんにバナナとヨーグルトを加える
・ジュースをやめて果物そのままを食べてみる
・おやつ代わりにリンゴやナッツ類を選ぶ
・パンを買うときは全粒粉入りのものを選ぶ
・お弁当にブロッコリーやミニトマトを添える
・夕飯の副菜に葉物野菜を足してみる
・塩味の濃いおかずは酢や香辛料で風味を足して減塩する
・減塩タイプのドレッシングや味噌を選んでみる
ほんの少し意識するだけで、食事の「質」は上がっていきます。
「気分が落ち込みがちだな」と感じたら…
もしかしたら、その気分には食生活が関係しているかもしれません。
この研究は、医学的な処方とは別に、日々のごはんがこころの健康を支える大事な「セルフケア」になることを示しています。
無理に完璧を目指す必要はありません。
野菜を1品足してみる、フルーツを取り入れてみる。
それだけでも、自分の気持ちを大事にする一歩になります。

締めのひとこと
果物と野菜、あなたの“こころの味方”です

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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