飲酒で寿命が縮む!?最新研究で明らかになったアルコールの健康リスク【医学論文まとめ】


結論「お酒は種類や量にかかわらず、飲むほど寿命を縮めるリスクがあり、男性は特に注意が必要」
この記事はこんな方におすすめ
✅健康や寿命を意識してお酒との付き合い方を見直したい方
✅「適量なら体に良い」という説に疑問を感じている方
✅最新の科学的な飲酒リスクの情報を知りたい方
✅家族や身近な人の飲酒習慣について考えたい方

はじめに
皆さん、お酒は好きですか?
私はかなり好きです(笑)
仕事が終わって帰宅すると一日のご褒美に毎日ビールをプシュ!
週末にはワインを1本空けちゃうときもあります。
今まで「酒は百薬の長」を鵜呑みにし欲望のまま飲酒しておりました。
が、、、それは本当でしょうか? 医学的な根拠はあるのでしょうか?
実は2024年に発表された大規模な最新研究では「アルコール摂取が寿命を短縮するリスクがある」ことが報告されました。今回は、約242万人の大規模データから得られた「お酒と寿命の本当の関係」について衝撃の研究結果についてご紹介します。

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

今回読んだ論文
“”Impact of Alcohol Consumption on Lifespan: a Mendelian randomization study in Europeans.””
(アルコール消費が寿命に与える影響:ヨーロッパ人を対象としたメンデルランダム化研究)
Sci Rep. 2024 Oct 25;14(1).
PMID: 39455599; DOI: 10.1038/s41598-024-73333-8.
掲載雑誌:サイエンティフィック・リポート 【イギリス】 2024年10月25日 第14巻 第1号より
お酒は本当に健康に良いのか?これまでの常識
「赤ワインは体に良い」「適量の飲酒は長生きする」など、お酒に対する肯定的なイメージが広く広まっています。
しかしこうした説の多くは観察研究に基づいたものであり、生活習慣や収入、喫煙の有無といった他の要因が混ざりやすいという課題がありました。
最新研究「アルコール摂取と寿命」の概要
2024年にScientific Reports誌に掲載された論文
『Impact of Alcohol Consumption on Lifespan: a Mendelian randomization study in Europeans』は、約242万人の遺伝情報を解析したメンデルランダム化研究です。
親の寿命やUK Biobankのデータをもとに、アルコール摂取と寿命の関係を喫煙や教育レベルなどを考慮して検証しました。

本研究の対象者は主にヨーロッパ系白人の成人です。
⇒日本人を含むアジア人はこの研究の対象外です。ただし「飲めば飲むほど悪影響」という傾向は WHOなどの国際研究とも一致しており、日本人である我々にとっても参考になるといえるでしょう。
飲酒量はどう測っている?どんなお酒が対象?
この研究では「週あたりの標準的なアルコール飲料の杯数(drinks per week)」を指標としています。
お酒の種類は区別せず:ビール、ワイン、ウィスキー、スピリッツ、日本酒 など
すべて 「純アルコール量換算」で「標準1杯」として扱われています。
対象者全体の飲酒量をまとめると以下となりました。
✅平均飲酒量:約1.93杯/週
✅ばらつき(SD:約3.41杯) → 飲まない人〜大量飲酒者まで含む

飲酒量と寿命の関係:何杯からリスクがある?
研究結果では:飲酒量が多いほど寿命が短くなる 傾向が明確に示されました。
ただし「週〇杯以上で危険」という具体的な値は示していません。
⇒⇒飲酒量が増えるほど悪影響が大きくなる「線形的な関係」と報告されています。
✅「週1〜2杯程度」でも「健康に良い」という効果は確認されていない!!
✅ 習慣的に飲むほど寿命短縮リスクが高まる!!
アルコール摂取が寿命に与える影響とは?
研究結果は明確でした。
✅全体平均で「約1年」寿命が短縮
✅男性では「約1.5年」寿命が短縮
さらに、この傾向は喫煙や教育レベルを補正した後でも維持されており、アルコールそのものが寿命に悪影響を与えることが示唆されました。

上記表のように女性でも「約半年」寿命が短縮することも示されています。

男性は特に要注意!なぜ影響が大きいのか?

男性の方が飲酒量が多い傾向があり、また文化的背景から「飲み過ぎ」に繋がりやすい面があります。
結果として男性の寿命短縮効果がより顕著に現れました。
お酒と血圧の関係も明らかに
さらに研究ではアルコール摂取が血圧上昇(収縮期・拡張期)と関連していることも確認。
高血圧は心疾患や脳卒中のリスク因子でもあり、お酒による健康リスクは多方面に及ぶと考えられます。

【筆者の考察】日本人にとっての注意点と国際ガイドライン
本研究は「ヨーロッパ人(主に白人)」を対象としています。
しかし日本人・アジア人では体質(ALDH2遺伝子など)が異なるため、さらに注意が必要。
というかむしろ日本人はアルコール代謝能力が低い人が多く、さらに影響がより強く出る可能性があります!
またWHO(世界保健機関)は2023年時点で「安全な飲酒量は存在しない」との声明を出しています。

結論:お酒との付き合い方を見直す時代へ
今回の研究は、「適量なら健康に良い」という過去の甘い考え方に再考を促す内容でした。
特に男性は注意が必要ですが、男女ともに「酒は飲まない方が長生きできる」というのが現時点での科学的知見です。
まとめ
お酒の「適量は健康に良い」という説は科学的根拠が乏しい
最新研究では寿命短縮リスクが明確に示された
男性で影響がより大きい
血圧上昇など、他の健康リスクとも関連
締めのひとこと
自分だけでなく、大切な人のためにも「今日の一杯よりも、その先にある未来」を意識してみたいですね!

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。