薬いらずで片頭痛改善?「1日5分の交互鼻孔呼吸」の驚くべき効果を医療論文で徹底解説!

片頭痛を和らげるために交互鼻孔呼吸を行う女性のイラスト|呼吸法で頭痛改善の健康習慣

結論「たった1日3回の交互鼻孔呼吸で、片頭痛の発作が月3日分も減少。生活の質も大きく改善されました。」

この記事はこんな方におすすめ

✅薬に頼らず片頭痛を軽くしたい方
✅ストレスや緊張で頭痛が悪化しやすい方
✅ヨガや呼吸法に興味があるけど、効果があるのか不安な方
✅無理なく取り入れられる健康法を探している方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問: 呼吸法って、本当に片頭痛に効果あるの?
🟡結果:1日3回、3ヶ月続けた人は片頭痛の日数が月3日分も減少!生活の不便さも軽くなりました
🟢教訓: 薬を使わず、呼吸だけで片頭痛が和らぐ可能性あり。試す価値は十分あります
🔵対象: トルコの18〜50歳の片頭痛患者86人が対象。日本でも同じ効果が期待できる可能性あり。

はじめに

皆さん、こんにちは!

皆さんの中に、片頭痛でお悩みの方、いらっしゃいますでしょうか?

仕事や家事、日常のふとした瞬間に襲ってくるあのズキズキ…。

周囲からはなかなか理解されにくく、一人で悩みを抱えている方も多いかもしれません。

私にも、学生時代に片頭痛で悩んでいた友人がいました。

しょっちゅう授業を早退したり、テストを休んだりしていて、当時は「大変そうだな」くらいの理解しかできていなかったと思います。

でも今、医師として頭痛に苦しむ患者さんを診察することもあるなかで、あのときの友人のつらさがようやく実感として伝わってきます。

「もっとちゃんと寄り添ってあげればよかったな」と、今さらながら感じています。

最近たまたま目に留まったのが、“呼吸法”によって片頭痛の頻度や重症度を改善できるかを検証した医学論文でした。

この研究は、イギリスの医療専門誌『Primary Health Care Research & Development』に掲載されており、トルコの研究チームによって行われたものです。

今回はその内容をもとに、交互鼻孔呼吸という手法が、どれほど片頭痛の緩和に役立つのかを、専門用語をできるだけ使わずに、やさしくご紹介していきたいと思います。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

今回読んだ論文

“The impact of alternate nostril breathing on the severity and frequency of migraine attacks: a randomized control trial”

(交互鼻孔呼吸が片頭痛の頻度と重症度に与える影響:無作為化対照試験)

Prim Health Care Res Dev. 2025 Feb 14:26:e12.

PMID: 39950247 DOI: 10.1017/S1463423625000064

掲載雑誌:Primary Health Care Research & Development(プライマリ・ヘルスケア研究と開発)【イギリス】 2025年1月より

研究の目的

片頭痛は、世界人口の約15%が悩まされている身近な神経疾患ですが、薬だけでは症状が十分に改善しない人も多く存在します。

副作用の問題や薬剤耐性、そもそも薬が使えない体質の方もいることから、薬に頼らない非薬物的な対処法が求められています。

そうした背景のもと、本研究では「交互鼻孔呼吸(Alternate Nostril Breathing, ANB)」というヨガに由来する古典的な呼吸法に着目しました。

この呼吸法は、左右の鼻の穴を交互に使ってゆっくり呼吸を行うもので、以前からストレス軽減・自律神経の調整・酸素濃度の改善といった効果が知られています。

こうした効果が、片頭痛の誘因である“緊張”や“低酸素状態”を緩和する可能性があるとされ、一部では片頭痛にも効くのではと期待されてきました。

しかしながら、実際にANBが片頭痛の頻度や痛み、日常生活への支障をどの程度軽減できるかを、医学的に検証した質の高い臨床試験(RCT)はこれまで存在しませんでした。

本研究の目的は、交互鼻孔呼吸を3ヶ月間継続することで、片頭痛の症状や生活への影響が実際にどのように変化するのかを明らかにすることです。

研究の対象者と背景

この研究は、トルコ西部・エーゲ海沿岸の都市イズミルにあるドクズ・エイリュル大学の6つの診療所で実施されました。

対象となったのは、18〜50歳の成人で、国際疾病分類(ICD-10)で片頭痛と診断されている人たちです。

最終的に、男女合わせて86名(女性75%以上)が無作為に介入群と対照群に分けられ、研究に参加しました。

参加者はいずれも、発作の頻度が3ヶ月以内に1回以上ある人に限定されており、重度の合併症(糖尿病、高血圧、喘息、心疾患など)や精神疾患の既往がある人は除外されました。

また、妊娠中の方や呼吸器や聴覚に問題のある方も対象外とされました。

このようにして、持病の影響がなく、かつ片頭痛がある程度明確に診断された健康な成人が研究対象となっています。

なお、この研究はトルコ人を対象としていますが、片頭痛の有病率や女性の多さ(女性:男性=約3:1)といった傾向は日本人にも類似していることが知られています。

また、「交互鼻孔呼吸」は文化に依存しないシンプルな呼吸法であるため、日本人にも十分応用可能な結果と考えられます。

【補足】交互鼻孔呼吸(ANB)のやり方

論文内では、ANBの具体的な手順は補足資料として提供されており、本文中には詳細な記載がありません

そのため、ここでは一般的に知られているANBの方法を紹介します:

1.背筋を伸ばして楽に座ります

2.右手の親指で右の鼻の穴を軽くふさぎ、左の鼻からゆっくり息を吸います

3.吸い終えたら、薬指で左の鼻をふさぎ、右の鼻からゆっくり息を吐きます

4.そのまま右の鼻から息を吸い、次は左の鼻から吐きます

これで1往復となり、5〜10分程度繰り返します

呼吸はなるべくゆっくり、深く行うことが推奨されており、研究ではこれを1日3回継続するよう指導されていたと考えられます

研究の手法と分析の概要

この研究は、「無作為化比較試験(RCT)」という、医学研究の中でも信頼性が高いとされる方法で行われました。

研究チームは、トルコ・イズミルにある大学の診療所6か所を使い、参加者86人を無作為(ランダム)に2つのグループに分けました:


介入群(ANBグループ):交互鼻孔呼吸を1日3回、3ヶ月間継続

対照群:特に呼吸法は行わず、普段通りの生活を継続


全員が研究開始前に、片頭痛の基礎知識(誘因、治療法、生活習慣など)に関する教育を受けており、情報の偏りを防ぐ工夫がされていました。

効果の評価には次の2つの方法が使われました:


発作の頻度と痛みの強さ(VAS):参加者自身が日誌に記録

MIDASスコア:片頭痛による日常生活の支障度を測る質問票


集まったデータは、統計ソフトを使って慎重に比較されました。

たとえば「呼吸法をしたグループの発作の回数は本当に減ったのか?」という点を、単なる偶然ではなく「ちゃんと意味がある変化かどうか」を専門の計算で調べています。

また、脱落者の影響を減らすために「意図通り分析(Intention-to-Treat)」が採用され、信頼性を高めています。

【補足:各種用語】

・無作為化比較試験(RCT)とは?

参加者をランダムにグループ分けし、介入の効果を比較する方法。
偏りが少なく、因果関係を検証できる最も信頼度の高い研究デザインの一つです。

・意図通り分析(Intention-to-Treat)とは?

脱落した人を除かず、最初に割り当てられたグループごとに分析を行う方法。現実に近い結果が得られるため、信頼性が高いとされています。

・MIDASスコア

片頭痛で「仕事を休んだ日」や「家事ができなかった日」などを合計して点数化したものです。
点数が高いほど、日常生活への支障が大きいことを示します。
例えば、21点以上は“重度の生活障害”とされ、今回の研究参加者は平均33点と、かなり重症でした。

・VAS(視覚的アナログスケール)

「痛みの強さ」を0〜10の数値で自己評価する方法です。
0が「全く痛くない」、10が「耐えがたいほど痛い」という基準で、5〜6は“日常生活に支障が出る中等度”とされます。

研究結果:呼吸法だけで片頭痛が軽くなった!?驚きの結果

この研究では、呼吸法を毎日続けた人たちに、明らかな変化が見られました。

片頭痛の発作の頻度が減り、日常生活に支障をきたす度合い(MIDASスコア)も有意に軽減されたのです。

以下が、呼吸法(交互鼻孔呼吸)を3ヶ月続けたグループと、何もしなかったグループの比較です:

指標呼吸法グループ(介入群)何もしないグループ(対照群)結果の評価
発作の頻度(中央値)計15日→計12日計18日→計17日有意な減少(P=0.002)
痛みの強さ(VAS中央値)5→48→7両方で改善、差はなし(P=0.074)
MIDASスコア(日常生活の支障度)33.06→27.3434.67→33.96有意な改善(P=0.003)

発作の頻度が有意に減少!生活の支障度も改善!

とくに注目すべきは「発作の日数が3日分減った」という点です。

片頭痛がひどい人にとっては、その3日間がまるごと「使える日」になるわけです。

また、MIDASスコアという「どれだけ生活に困っていたか」の指標も、平均で5〜6点ほど改善しており、仕事や家事に支障が出にくくなったことを示しています。

いっぽうで、「痛みの強さ」については両グループでやや軽減されましたが、差はそれほどありませんでした。

これは、どちらのグループにも片頭痛の最新知識を教えていたことが関係していると考えられています。

研究の結論

この研究では、「交互鼻孔呼吸(ANB)」というシンプルな呼吸法を毎日続けることで、片頭痛の発作の頻度が減り、日常生活への支障も軽くなることが明らかになりました。

痛みの強さそのものに大きな差は見られませんでしたが、発作の回数が減ったことは、生活の質(QOL)を高めるうえで非常に大きな意義があるといえるでしょう。

また、なぜANBがこのような効果を持つのかについて、研究では以下のような生理学的な仕組みが考察されています:


呼吸によって自律神経のバランスが整い、ストレスが軽減されること

深くゆっくりした呼吸が体内の酸素濃度を高め、脳の過敏性を落ち着かせること

呼吸法による心理的リラクゼーションが、発作の誘因を緩和すること


これらの仕組みが複合的に働くことで、交互鼻孔呼吸が片頭痛の改善につながったと考えられています。

医学的な検証が十分に行われた今回の研究は、「薬以外にもできることがある」という新しい可能性を私たちに示してくれました。

【筆者の考察】日本人のわれわれがこの論文から学び活かせる教訓や注意点

この研究から私たちが得られる最も大きなヒントは、「毎日の小さな習慣が、片頭痛という大きな悩みを少しずつ軽くできるかもしれない」という点です。

呼吸法は、特別な道具もお金もかからず、自宅で誰でもできる方法です。

そして何より、副作用のない“安全な選択肢”として、薬が合わない人や、これ以上薬を増やしたくないという人にとって心強い存在になり得ます。

ただし、研究では最低3ヶ月間の継続が条件でした。

つまり、即効性を期待するのではなく、「ちょっとずつ整える」ことを意識して、日々のルーチンに取り入れることが大切です。

文化的な違いもありますが、呼吸法という手段は非常に普遍的で、日本人にも十分に応用可能です。

忙しい日々の中でも、1日5分だけでも自分と向き合う時間を持つことが、頭痛だけでなく心の余裕にもつながるかもしれません。

まとめ

今回ご紹介した研究は、「交互鼻孔呼吸(ANB)」というシンプルな呼吸法が、片頭痛の頻度や生活への支障を軽減できる可能性を科学的に示した貴重な臨床試験でした。

特別な機器も薬も使わず、自分の呼吸だけで頭痛を少しでも和らげられるかもしれない—その発見は、多くの方にとって希望になるはずです。

もちろん、すべての人に効果があるとは限りませんし、即効性があるわけでもありません。

でも、薬を飲む前にできること、薬に頼れない人のための選択肢として、「呼吸」という最も身近な行為に目を向ける価値はあると思います。

頭痛と付き合う日々は、周囲には伝わりにくいつらさがあるものです。

この記事が、少しでもその不安や孤独をやわらげる一助となれば嬉しいです。

締めのひとこと

深呼吸ひとつで、あなたの毎日が少し軽くなりますように。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

画像は主にChat GPT・Geminiを使用しAIで作成しております。

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