
結論「良質な睡眠パターンは、生物学的年齢を若返らせ、喘息やCOPDなどの呼吸器疾患リスクを下げる」
この記事はこんな方におすすめ
✅最近、睡眠の質が気になっている方
✅喘息やCOPDなど呼吸器疾患の予防・改善に関心がある方
✅生物学的年齢や体内の老化度に興味がある方
✅健康的な生活習慣を見直したいと考えている方

はじめに
皆さん、毎日良い睡眠をとれてますか?
私は日中にいつも眠いです(笑)
最近、「睡眠の質」が健康に大きく関わっていることが注目されています。
実は「睡眠の質」が「呼吸器、いわゆる肺や気管支の疾患」と関係があることをご存じでしょうか?
気管支喘息(ぜんそく)やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺疾患(ILD)などの呼吸器疾患は、いずれも慢性的な炎症が背景にあります。
2024年に発表された英国発の大規模研究では、「良質な睡眠パターンが呼吸器疾患リスクを低下させる」ことが明らかになりました。
さらに、「生物学的年齢(PhenoAge)」という、見た目ではわからない“体の中の老化度”が、この影響に関与していることもわかってきたのです。
今回は、英国発のこの注目研究をご紹介し、日本でも活かせる健康づくりのヒントを解説します!
自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

今回読んだ論文
“”Accelerated biological age mediates the associations between sleep patterns
and chronic respiratory diseases: Findings from the UK Biobank Cohort””
(加速した生物学的年齢が睡眠パターンと慢性呼吸器疾患の関連を媒介する:UKバイオバンク・コホート研究の結果)
Heart Lung. 2025 Jan-Feb:69:192-201. doi: 10.1016/j.hrtlng.2024.10.012. Epub 2024 Nov 1.
PMID: 39488025 DOI: 10.1016/j.hrtlng.2024.10.012
掲載雑誌:ハート&ラング(心臓と肺) 【アメリカ】 2024年11月 第69巻より
英国30万人調査で判明!睡眠が呼吸器疾患リスクに影響
イギリス全土から 約50万人が登録 している「UKバイオバンク」という健康調査。
この中から 約30万人(40〜69歳の成人男女) が対象となり、平均12.5年間 という長期にわたって呼吸器疾患との関連が追跡されました。

対象疾患は:
✅ 気管支喘息(ぜんそく)
✅ COPD(慢性閉塞性肺疾患:いわゆる肺気腫・タバコ病)
✅ ILD(間質性肺炎)
注意点として調査対象者の 約95%が白人でありますのでわれわれ日本人(東アジア系)とは 遺伝的・体質的な違いがある点はご理解ください。
「良い睡眠パターン」の人は肺の病気が少なかった

研究チームは以下の 5つの睡眠要素 に基づいて「睡眠スコア(0〜5点)」を算出し4パターンに分類し評価を行いました:

✅ 睡眠スコアの評価
- 5点 → 理想的な睡眠パターン(最も健康的)
- 4〜5点 → 「良好な睡眠パターン(favorable sleep pattern)」
- 2〜3点 → 「中程度(intermediate sleep pattern)」
- 0〜1点 → 「不良な睡眠パターン(unfavorable sleep pattern)」
その結果、睡眠スコアが1点上がるごとに:
✅ 喘息リスク → 約 14%ずつ低下
✅ COPDリスク → 約 12%ずつ低下
✅ ILDリスク → 約 6.7%ずつ低下
という結果が、つまり「睡眠の質が良い人」ほど「肺の病気にかかりにくかった」ことが示されました。
とくに5項目の中で「不眠症」があると「喘息・COPDリスク」がかなり高くなり、
「朝型の生活リズム」の人の方ではリスクが低かったと示されました。
「生物学的年齢(PhenoAge)」との関係も判明
生物学的年齢(PhenoAge) とは、血液などのデータから推定される「体の内側の老化度」。
今回の研究では、良好な睡眠パターンの人は 生物学的年齢が若く、それが呼吸器疾患リスクの低下に一部つながっていたことも明らかになりました。
結論:なぜ睡眠が肺の健康に関係するのか?

睡眠不足や睡眠障害は、体の炎症や免疫力低下を引き起こします。
呼吸器疾患は「慢性炎症」が関与する病気のため、睡眠の質が低下すると体内の炎症がくすぶり悪循環に。
逆に、良質な睡眠をとることで:
✅ 炎症を抑える
✅ 免疫バランスを整える
✅ 呼吸器疾患の予防につながる
という良いサイクルが期待できるのです。
【筆者の考察】日本人にとっての注意点と応用ポイント
今回の研究は 英国の白人集団が中心 だったため、われわれ日本人(東アジア系)に応用する際には以下を注意点として補足させていただきます。
✅睡眠パターンの文化的・生活習慣の違い
→ 日本では 夜型生活や短時間睡眠が比較的多く見られる傾向あり。

✅いびき・睡眠時無呼吸症候群の傾向
→ 日本人は 骨格の違い(顎が小さい・顔が平たい) ため、いびきや無呼吸症候群が出やすい特徴がある。
→ OSAはCOPDや喘息悪化と関係があるため、日本では特に 睡眠時無呼吸のチェックが重要。

✅ 3. 喘息・COPDの発症パターンの違い
→ 喘息は 日本人では、女性に多い傾向
→ COPDは 喫煙歴との関係が強いため禁煙が重要

以上から、日本人は特に
✅睡眠時無呼吸症候群対策
✅十分な睡眠時間確保
✅朝型リズム意識
✅禁煙+生活習慣改善
が呼吸器疾患予防に効果的と考えられます。
【筆者の考察】健康に良い睡眠の提案
上記から健康に良い睡眠の提案として
✅ 7〜8時間睡眠を目指す
✅ 朝型リズムの生活
✅ いびきが強い場合は専門医相談
✅ 日中の眠気を減らすため生活リズム整える
✅ 禁煙・適度な運動もセットで
を提案させていただきました。
睡眠はすぐに見直せる健康習慣のひとつ。
肺の健康のために今日からできることを意識してみましょう。
まとめ
英国の最新研究から「良い睡眠は肺の健康維持に役立つ」ことが改めて確認されました。
日本人においても十分応用可能な知見ですが、人種や体質の違いを意識したうえで取り入れることが大切です。
「眠りの質」が 生物学的年齢や 呼吸器疾患のリスクにも関わっていると考えると、ますます 睡眠の見直し が重要に。
締めのひとこと
「今夜から、肺の健康のためにぐっすり眠る習慣を意識してみませんか?」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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