コーヒーで歯が黄ばむ原因は“焙煎度”だった!?最新研究から見える驚きの真実

コーヒーで歯が黄ばんだことに驚く男性と焙煎度別のコーヒーカップを描いたイラスト

結論「中間の焙煎「ミディアムロースト」のコーヒーが、実は一番歯を黄色くしてしまう!」

この記事はこんな方におすすめ


✅毎日コーヒーを飲むけど歯の黄ばみが気になる方
✅ホワイトニングに頼らず歯をキレイに保ちたい方
✅焙煎度の違いによる健康や美容への影響が気になる方
✅自宅やカフェでコーヒーをよく楽しむ人


はじめに

皆さん、こんにちは!
突然ですが、皆さんは「コーヒーを飲むと歯が黄ばむ」と感じたことはありませんか?
私自身、40歳を過ぎて禁煙してから毎日2〜3杯はコーヒーを飲むようになり、ふと鏡を見ると「前より歯が黄ばんでる…?」と気になり始めたんです。ホワイトニングにも限界があるし、何か根本的な原因があるのでは?と思っていたところに、興味深い研究を見つけました。

本日ご紹介するのは、韓国・ソウル大学の研究者たちが発表した「コーヒーの焙煎度が歯の変色にどう影響するか」を詳しく調べた論文です。掲載されたのは、日本の学術雑誌『Journal of Oral Science(口腔科学雑誌)』で、歯科系の信頼ある研究が多く掲載されています。

今回はこの研究をもとに、私たちの歯を黄ばませる“本当の原因”を探っていきます。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の一次情報をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

今回読んだ論文

“Effect of coffee roasting level on tooth discoloration””

(コーヒーの焙煎度が歯の変色に与える影響)

J Oral Sci. 2025 Jan 16;67(1):14-18.

PMID: 39647855 DOI: 10.2334/josnusd.24-0287

掲載雑誌:Journal of Oral Science(口腔科学雑誌) 【日本】 2025年1月より

研究の対象者と背景

この研究では、韓国のソウル大学の研究チームが中心となって実験を行いました。

対象は人間の歯ではなく、ウシの歯のエナメル質を使用。なぜかというと、人間の歯に似た性質を持ち、実験のコントロールがしやすいからです。

ただし、人間の歯に完全に当てはまるわけではないという前提はあります。とはいえ、黄ばみのメカニズムは似ているため、私たち日本人にとっても十分参考になる内容です。

研究の手法と分析の概要

韓国と他国産の4種類のコーヒー豆(アラビカ種2種類、ロブスタ種2種類)を「ライトロースト」「ミディアムロースト」「ダークロースト」に焙煎して、ウシの歯の試料をそれぞれのコーヒーに1、3、9、24、48、72時間浸しました。

以下論文の図より、各コーヒー豆の外観と焙煎ごとのコーヒーの色です。参考にしてください。

Effect of coffee roasting level on tooth discoloration
Access full-text academic articles: J-STAGE is an online platform for Japanese academic journals.
コード種類産地コーヒー種
A1Ethiopia Yirgacheffeエチオピア・イルガチェフェアラビカ(Arabica)
A2Colombia Supremoコロンビア・スプレモアラビカ(Arabica)
R1Ugandaウガンダロブスタ(Robusta)
R2Vietnamベトナムロブスタ(Robusta)

その上で、次の3つを測定しました:


✅歯の色の変化(色差ΔE00)
✅コーヒー中のクロロゲン酸(CGA)量
✅吸光度(メラノイジン=色素濃度の指標)


【補足】クロロゲン酸(CGA)とは?

コーヒーに含まれる抗酸化成分の一種で、酸味や苦味、そして歯の着色にも関与するとされています。

【補足】色差ΔE00とは?

歯の色の変化量を数値で表したもので、「1.8以上」で他人から見て気づくレベルの変色とされます。

研究結果:ミディアムローストが最も変色を起こした!

今回の研究では、コーヒー豆の焙煎度によって歯の変色の度合いがどれくらい違うかを詳しく検証しました。

その結果、最もはっきりと変色が確認されたのは「ミディアムロースト」でした。歯の色の変化量(ΔE00)が平均で13.5と、他の焙煎度よりも明らかに高い数値を記録したのです。

特に、「エチオピア産アラビカ種」のミディアムローストは、72時間後の色差が最大で、歯の白さを示す指標(ΔWID)も26.2という大きな変化を示しました。

一方で、ライトローストはクロロゲン酸(CGA)の含有量は高いものの、歯の変色は比較的少なくダークローストは色素濃度(メラノイジン)が多いにもかかわらず、中程度の変色にとどまりました。

つまり、色素や酸のバランスが「ちょうど悪い」のがミディアムローストだったのです。

焙煎度別の歯の変色影響まとめ(72時間後)

実際の論文内の記載から各焙煎度の結果の平均値を比較した表がこちら(注:論文添付のTable1では中央値で記載されてます)

焙煎度変色の強さ(ΔE00の平均)白さの減少(ΔWIDの平均)特徴と考察ポイント
ライトロースト約 3.9〜5.2約 6〜9CGA(酸)が多いが、色素は少なく変色も軽度
ミディアムロースト最大(最大13.5最大(最大26.2CGAと色素(メラノイジン)の両方が中程度に多く、最も変色しやすい
ダークロースト約 6.7〜8.5約 12〜17色素が最も多いが、CGAは少なく、変色は中程度

ミディアムロースト × コーヒー豆品種別:歯の変色影響比較(72時間後)

ミディアムロースト内のコーヒー豆品種での比較がこちら

品種コードコーヒー豆名ΔE00(色差)平均値ΔWID(白さの変化)平均値特徴・ポイント
A1エチオピア・アラビカ13.51 ± 4.6326.24 ± 11.45最も強い変色。香り高いが黄ばみ注意
A2コロンビア・アラビカ約 9.23約 16.89バランス型だがやや変色高め
R1ウガンダ・ロブスタ約 7.14約 14.93ロブスタでは比較的変色控えめ
R2ベトナム・ロブスタ約 12.82約 17.58ロブスタでも変色強めの例外的品種

【補足】日本で一番使われている品種は?

日本のレギュラーコーヒーには、ほぼ100%アラビカ種が使用されています。

※参考:世界のコーヒー生産量を調査!!アラビカ種の珈琲豆での国別ランキングをまとめてみました

世界のコーヒー生産量を調査!!アラビカ種の珈琲豆での国別ランキングをまとめてみました
皆さん、こんにちわ^^コーヒー焙煎研究所WATARUのわたるです。本日も、コーヒー愛好家の皆様やコーヒー好きな皆様にとって有益なコーヒー情報をお届けさせて頂きたいと思います。今回の有益なコ...

その中でも特に多く取り扱われているのは、ブラジル産とコロンビア産のアラビカ豆(A2に近い傾向)です。
理由としては、生産量が非常に多く、安定供給と味わいのバランスが優れているため、日本の市場──特に大手コーヒーメーカーやコンビニ・チェーン──で広く採用されているからです。

※参考:世界のコーヒー豆 生産主要国のアラビカ種/ロブスタ比率と種別ランキング 2024(USDA:米国農務省データ)

世界のコーヒー豆 生産主要国のアラビカ種/ロブスタ比率と種別ランキング 2024(USDA:米国農務省データ)
世界で流通しているコーヒー豆の品種は大別して「アラビカ種」と「カネフォラ種(ほぼロブスタ)」の2つ。生産国ごとに割合は違うので、生産主要国について比率と種別ランキングを昨年に続けて 2024年版 を調べました。 目次 「 ...

研究の結論

この研究から得られた重要な結論は次のとおりです:


✅「コーヒーの焙煎度によって歯の変色リスクが大きく異なり、ミディアムローストが最も強い変色を引き起こす」

✅その中でも「エチオピア産アラビカ種」は、特に歯を黄ばませやすい特徴がある。


これは、焙煎によって生成される色素成分(メラノイジン)と、酸性成分であるクロロゲン酸(CGA)が最もバランスよく残ってしまうのがミディアムローストだからだと考えられます。

【筆者の考察】日本人のわれわれがこの論文から学び活かせる教訓や注意点

私たち日本人が普段口にしているコーヒーにも、「ミディアムロースト」は多く使われています。コンビニやカフェで「バランスが良い」「香りが豊か」とされている商品は、実はミディアムローストであることが多いのです

この研究結果を受けて、次のような点に注意するとよいでしょう。


✅コーヒーを選ぶとき、「焙煎度」表示を確認してみるのもいいかもしれません
✅歯の色が気になる人は、浅煎り(ライトロースト)にシフトするのも選択肢
✅飲んだ後はなるべく早めに口をゆすぐ・水を飲む・歯を磨く習慣を
✅ホワイトニングと合わせて、コーヒーの選び方も見直すと効果的です


まとめ

今回の研究から、「ミディアムローストのコーヒーが歯の黄ばみに最も影響する」という意外な事実が明らかになりました。特にエチオピア産アラビカのような、フレーバーが豊かで人気の豆が、実は一番変色を引き起こしているかもしれません。

とはいえ、コーヒーを楽しむこと自体をやめる必要はありません。ちょっとした知識と工夫で、歯を守りつつお気に入りの味を楽しむことは十分に可能です。

正直なところ、私自身も今まで「焙煎度」なんて全く気にしたことがありませんでした。ただ何となく「飲みやすい」「香りが良い」と思って選んでいたコーヒーが、まさに“歯の色に一番影響を与えやすい”タイプだったとは…。

そして皮肉なことに、多くの人が「ちょうどいい」「おいしい」と感じるミディアムローストが、実は一番歯の色を変えやすかったというのは、ちょっとした発見でもあります。

これからは「おいしさ」だけでなく、「歯の白さへのやさしさ」も意識してコーヒーを選んでいこうと思います。小さな選択が、笑顔の印象を守る第一歩になるかもしれません。

締めのひとこと

コーヒーは心を癒すけれど、歯にはちょっと手強い相手かもしれませんね。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

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