
結論「「寝たまま行うヨガ(ヨガニドラ)」は、脳内ドーパミンを増やし、ストレスホルモンや血糖値、血圧を改善する科学的根拠のある介入法である。」
この記事はこんな方におすすめ
✅瞑想に挑戦したが、雑念ばかりで集中できずに挫折した方
✅慢性的なストレスや不眠、原因不明の体調不良に悩んでいる方
✅激しい運動は苦手だが、心身のメンテナンスをしたい方
✅「ただ寝ているだけ」に見える健康法に医学的根拠があるのか知りたい方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:ヨガの「屍(しかばね)のポーズ」でただ寝ているだけの時間が、本当に健康に良い影響を与えるのか?科学的に証明されているのか?
🟡結果:脳画像研究により、ヨガニドラの実践は脳内の快楽物質ドーパミンを65%増やし、脳波をリラックス状態へ変化させることが確認されました。また、不安、うつ、生理不順、高血圧、糖尿病の数値改善も報告されています。
🟢教訓:1日30分〜1時間、仰向けになって音声ガイドに従うだけで、睡眠の質を高め、薬物療法の補助として身体機能を改善できる可能性があります。まずは仰向けになることから始めましょう。
🔵対象:主にインドで行われた複数の臨床研究(看護学生、月経不順の女性、糖尿病患者、不眠症患者など)を包括的にレビューした信頼性の高い報告です。生理学的反応は共通するため日本人にも応用可能です。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
昨日は、GoogleのCEOなどシリコンバレーのトップ層も実践している休息法「NSDR(Non-Sleep Deep Rest:非睡眠時深い休息)」の基本理論についてお話ししました。
「寝ているようで寝ていない、脳を休める技術」だということはご理解いただけたかと思います。
ですが、皆さんはこう思ったはずです。
「理屈はわかった。でも、本当にただ横になっているだけで、医学的な効果があるのか?」と。
「リラックスできますよ」と言われても、「じゃあ血圧は? ホルモン値はどう変わるの?」と聞きたくなってしまいますよね。
そこで、NSDR特集第2弾となる本日は、その臨床的効果をまとめた「レビュー論文」をご紹介します。
今回読み解くのは、睡眠医学の専門誌『Sleep and Vigilance』に掲載された、ヨガニドラ(NSDRの起源となった技法)に関する研究論文です。
東洋の知恵を現代医学の視点で検証した非常に興味深い内容です。
昨日の「理論編」に続き、今日の「実践・エビデンス編」で、その効果の真髄を一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”The Origin and Clinical Relevance of Yoga Nidra””
(ヨガニドラの起源と臨床的関連性)
Seithikurippu R Pandi-Perumal, David Warren Spence, Neena Srivastava, et al.
leep Vigil. 2022;6(1):61-84. doi: 10.1007/s41782-022-00202-7. Epub 2022 Apr 23.
PMID: 35496325 DOI: 10.1007/s41782-022-00202-7
掲載雑誌:Sleep and Vigilance【シンガポール IF 1.49(2024)】 2023年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
古来より伝わる「ヨガニドラ」の生理学的・心理学的効果について、過去に行われた科学的研究や臨床試験を包括的に調査し、その医学的有用性を明らかにすること。
研究方法
PubMedやGoogle Scholarなどの標準的な研究データベースを用い、ヨガニドラに関する臨床研究、脳画像研究、生理学的実験の文献を検索し、内容をレビュー(総説)としてまとめた。
研究結果
ヨガニドラは、脳内ドーパミンの放出、脳血流の変化、赤血球やホルモンバランスの改善、不安やうつの軽減、さらには糖尿病や高血圧のコントロール改善に関連していることが示された。
結論
ヨガニドラは単なるリラクゼーションを超え、心身の健康を増進するための有効な補助療法となり得る。
ただし、より厳密な大規模研究が今後必要である。
考察
ヨガニドラは「覚醒」と「睡眠」の中間の意識状態を作り出し、自律神経系に働きかけることで、ストレス起因の疾患に対して広範な治療効果を発揮する可能性がある。
研究の目的
この研究が解決しようとした問いは、「スピリチュアルな実践として知られるヨガニドラは、現代医学の指標で測定可能な『治療効果』を持つのか?」という点です。
単に「気持ちよかった」「リラックスできた」という主観的な感想ではなく、血液データや脳画像、心理検査といった客観的な指標において、既存の治療法や単なる休息とどう違うのかを明らかにしようとしています。
特に、ストレス社会における心身症や生活習慣病に対する「薬を使わない介入法」としての可能性を探るのが狙いです。

研究の対象者と背景
この論文は「レビュー論文(過去の複数の研究をまとめたもの)」であるため、対象者は多岐にわたります。
主な対象は、インドを中心とした様々な健康状態の人々です。
具体的には以下のようなグループが含まれています。
• 月経不順や月経痛に悩む女性
• 看護学生や大学生(ストレスの高い環境にある若者)
• 2型糖尿病患者(中高年)
• 軽度の高血圧患者
• 慢性不眠症の患者
• 熟練したヨガ指導者(脳機能の研究対象として)
対象者の多くがインドの方々である点には注意が必要です。
文化的・宗教的にヨガに親和性が高い可能性があります。
しかし、人間の生理機能(ホルモンや自律神経の仕組み)は人種を超えて共通している部分が多いため、日本人の私たちにとっても十分に参考になるデータだと言えます。

研究の手法と分析の概要
著者らは、過去数十年(特に1960年代以降)に行われたヨガニドラに関する科学的研究を網羅的に調査しました。
具体的には、以下のような多様なデータソースを組み合わせて分析しています。
生理学的測定:
血液検査(ホルモン、血糖値、赤血球数など)、血圧、心拍数。
脳神経学的測定:
PETスキャン(脳の血流や神経伝達物質を見る検査)、EEG(脳波検査)。
心理学的測定
不安やうつの尺度(ハミルトン不安尺度など)、ストレスチェック。
対照実験
ヨガニドラを行ったグループと、行わなかった(または薬物療法のみの)グループを比較するランダム化比較試験などの結果を集約。
「なぜこの手法か?」というと、ヨガニドラの効果が「気」のような目に見えないものだけでなく、数値化できる物理的な変化として体に現れていることを証明するためです。

【補足:各種用語】
PETスキャン(ポジトロン断層法)
微量の放射性物質を使って、脳や体のどこでエネルギーが使われているか、特定の物質(今回はドーパミン)がどこにあるかを画像化する検査です。
「脳がどう働いているか」をリアルタイムで覗き見るようなものです。
ドーパミン
「快楽物質」や「やる気ホルモン」とも呼ばれる脳内物質。
これが出ると、人は喜びを感じたり、意欲が湧いたりします。
Shavasana(シャバアーサナ・屍のポーズ)
仰向けになり、手足を少し開いて力を抜き、目を閉じて死体のように動かないポーズ。
ヨガニドラの基本姿勢です。
Sankalpa(サンカルパ)
ヨガニドラの練習中に唱える「短い肯定的な決意・抱負」のこと。
「私は健康だ」「私は穏やかだ」など、自分への誓いのようなものです。
研究結果
今回のレビューで明らかになった、主な発見を解説します。
脳が「喜び」モードに変化する(脳機能への影響)
驚くべきことに、PETスキャンを用いた研究では、ヨガニドラの実践中に脳内の内因性ドーパミンの放出量が65%も増加したことが確認されました。
同時に、脳波はリラックス状態を示す「シータ波」が増加していました。
これは、ヨガニドラが単に体を休めるだけでなく、脳に直接的な「喜び」や「充足感」を与える生理的変化を引き起こしていることを示しています。

体の「数値」が劇的に改善する(生理学的変化)
複数の臨床試験の結果をまとめると、以下のような具体的な数値の改善が報告されています。
女性ホルモンの改善
月経不順の患者において、ヨガニドラを6ヶ月行ったグループは、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、プロラクチンといったホルモン値が有意に正常化しました。
糖尿病のコントロール
経口薬に加えてヨガニドラを3ヶ月行ったグループは、薬のみのグループに比べて、空腹時血糖値が平均21.3 mg/dL低下しました(食後血糖値も低下)。
血圧の低下
高血圧患者において、収縮期・拡張期血圧ともに有意な低下が見られました。
血液の状態
赤血球数やヘモグロビン値が改善し、炎症の指標であるESR(赤血球沈降速度)が低下しました。
これは免疫力の向上を示唆しています。
心の「重荷」が軽くなる(心理学的変化)
不安・うつの軽減
軽度〜中等度の不安やうつ症状を持つ患者において、有意な改善が見られました。
ストレス耐性
看護学生などの高ストレス環境にいる若者のストレスレベルが大幅に減少しました。
不眠症の改善
慢性不眠症患者において、総睡眠時間の増加や睡眠の質の改善が確認されました。

変化がなかった指標(陰性所見)と注意点
重要な点として、重度のうつ病や重度の不安症に対しては、実験的な研究では有意な効果が示されませんでした。
つまり、ヨガニドラは万能薬ではなく、あくまで「軽度〜中等度の症状」や「予防」、「補助的な治療」として効果を発揮するものであり、重症の場合は専門的な医療介入が優先されるべきであることを示唆しています。
この結果は、昨日の理論編で解説した「深い休息」が、実際に「ホルモン、脳内物質、血糖値」という体のハードウェアレベルで調整作用を持つことを証明しています。
ただの昼寝とは明らかに質が違うのです。
研究の結論
ヨガニドラは、覚醒と睡眠の間の『第三の意識状態』を作り出し、心身の病理に対して測定可能な治癒効果をもたらす
これがこの論文の核心です。
著者の結論として、ヨガニドラは単なる睡眠の代用ではなく、意識を保ったまま深い休息を得ることで、無意識レベルの緊張(ストレス)を解放するテクニックであると位置づけられています。
科学的にも、自律神経系を調整し、様々な心身症の治療プロトコルに組み込む価値がある「補完療法」であると結論づけられています。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、ヨガニドラの効果のメカニズムについて、「プラティヤハラ(感覚の遮断)」というヨガの概念を用いて説明しています。
外部からの刺激を遮断しつつ、意識を内側の感覚に向けることで、脳の活動パターンが変化し、交感神経(ストレス)の活動が低下すると考察しています。
ただし、著者らは謙虚に限界も認めています。
多くの研究が小規模であったり、対照群(比較グループ)の設定が甘かったりするため、「証拠として完璧」とはまだ言えません。より大規模で厳密な研究が必要であると述べています。
日常生活へのアドバイス
さて、ここからはこの研究結果を皆さんの明日の生活にどう活かすかをご提案します。
昨日の理論編を読んだ方は、今日から実践あるのみです。
「寝る前の30分」をスマホではなくNSDR(ヨガニドラ)に
研究では30分〜1時間の実践が多く用いられています。
YouTubeやアプリで「ヨガニドラ 音声ガイド」と検索してみてください。
仰向けになって音声を聞くだけです。これなら疲れていてもできますよね?
「サンカルパ(肯定的な決意)」を活用する
論文でも触れられていた「サンカルパ」。
練習の最初と最後に、「私は健康だ」「私はリラックスしている」と短く唱えてみましょう。
自己暗示効果が高まり、メンタルの安定に役立ちます。
眠ってしまっても自分を責めない
ヨガニドラの理想は「意識を保ったままのリラックス」ですが、最初は寝てしまっても構いません。
それでも副交感神経は優位になり、睡眠の質は上がります。
「寝ちゃダメだ!」と緊張するより、リラックスを優先しましょう。
「何もしない時間」を罪だと思わない
この論文が教えてくれるのは、「意識的に休むことは、体に良い変化をもたらす『能動的な行為』である」ということです。
休むことはサボりではなく、脳へのドーパミン補給であり、メンテナンスです。堂々と休みましょう。

まさか「屍のポーズ」が脳内ドーパミンを65%も増やすとは驚きでした。
薬を使わずにこれだけの生理的変化を起こせるのは、人間の体が持つ回復力の凄さです。
今日からわたしも、こっそり「屍」になろうと思います。
締めのひとこと
「ただ横たわるだけの時間が、あなたの脳と体を内側から劇的に癒やす。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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