
結論「「安全」を脳に認識させ、呼吸を1分間6回に整えることで、身体はエネルギーを「防御」から「細胞の修復」へと劇的に切り替えることができます。」
この記事はこんな方におすすめ
✅GoogleのCEOも実践しているという休息法「NSDR」の科学的根拠を知りたい方
✅瞑想は難しくて続かないが、短時間で脳をスッキリさせる方法を探している方
✅「ヨガ・ニドラ」と最新科学がどう結びつくのか興味がある方
✅慢性的な疲れやストレスが、細胞レベルでどう体に影響するか知りたい方
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:なぜ多くの成功者が「何もしない時間」を重要視するのか? ただの休憩と、細胞レベルで回復する「深い休息」は何が違うのか?
🟡結果:私たちは日常の多くを「中程度の脅威」モードで過ごし、エネルギーを浪費しています。これを遮断し「深い休息(Deep Rest)」に入ることで、エネルギーがミトコンドリアによる「細胞の修復・最適化」に充てられることがモデル化されました。
🟢教訓:重要なのは物理的・心理的な「安全の合図」です。安心できる環境で、ゆっくりとした呼吸(1分間6回程度)を行うことが、回復スイッチを押す鍵となります。
🔵対象:アメリカ心理学会発行の権威ある雑誌に掲載された、最新の統合的理論モデルです。NSDRやヨガ・ニドラの科学的裏付けとなる内容です。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
「GoogleのCEOが、大事な仕事の前に必ずやる習慣」と聞くと、気になりませんか?
実はスンダー・ピチャイ氏は、「NSDR(Non-Sleep Deep Rest)」という休息法を実践しているそうです。
「瞑想なら知ってるけど…」と思った方、ここがポイントです。
NSDRは一般的な瞑想とは少しアプローチが異なり、より短時間で脳をリセットできる方法として注目されています。
わたしも「忙しい現代人にこそ必要な技術ではないか?」と興味を持ちました。
実はこれ、概念自体は「ヨガ・ニドラ」と呼ばれる伝統的な技法と深く通じており、決して真新しいだけの流行り廃りではありません。
古くからの知恵が、最新科学でどう説明されるのか。
そこで今回から数回にわたり、NSDRや「ディープ・レスト」に関する論文をシリーズで紹介していきます。
まずはその基礎理論となる、アメリカ心理学会の権威ある雑誌に掲載された論文からスタートです。
なぜ「ただの休憩」ではなく「深い休息」が必要なのか、その科学的理由を一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。
今回読んだ論文
“”Deep rest: An integrative model of how contemplative practices combat stress and enhance the body’s restorative capacity””
(ディープ・レスト(深い休息):瞑想的実践がいかにしてストレスに対抗し、身体の回復力を高めるかについての統合モデル)
Alexandra D Crosswell, Stefanie E Mayer, Lauren N Whitehurst, et al.
Psychol Rev. 2024 Jan;131(1):247-270. doi: 10.1037/rev0000453. Epub 2023 Dec 25.
PMID: 38147050 DOI: 10.1037/rev0000453
掲載雑誌:Psychological Review【アメリカ IF 6.64(2024)】 2024年より
研究の要旨(Abstract)
研究目的
瞑想やヨガなどの「観想的実践」が、どのようにしてストレスを減らし、身体的健康を促進するのか、その生物学的・心理的メカニズムを統合したモデルを提示すること。
研究方法
ストレス科学、ミトコンドリア生物学、観想的科学という異なる分野の膨大な文献を統合し、新たな「生物心理社会モデル」を構築する理論的研究。
研究結果
特定の呼吸法や環境設定による「安全の合図」が身体を「深い休息」状態へと導き、エネルギーの使い道を「脅威への対処」から「細胞の最適化(修復)」へとシフトさせる。
結論
日々の慢性的な警戒モードから抜け出し、「深い休息」をとることは、細胞レベルでの健康と老化防止に寄与する可能性がある。
考察
今後はこのモデルに基づき、ミトコンドリア機能の変化や、睡眠との関連性を実証的に検証していく必要がある。
研究の目的
これまでの研究でも、瞑想やヨガが心身に良いことは知られていましたが、「なぜ良いのか?」「体の中で具体的に何が起きているのか?」についての統一された見解はありませんでした。
この研究の核心(Clinical Questionに相当)は、「心のマインドフルな実践が、どのような生理学的ルートを通って、細胞レベルの健康やエネルギー代謝に影響を与えるのか?」という点を明らかにすることです。
著者は、バラバラだった「心理学」「ストレス生理学」「細胞生物学(ミトコンドリア)」の知見を一つのモデルとして統合しようと試みました。

研究の対象者と背景
この論文は特定の被験者を集めた実験レポートではなく、既存の研究データを統合した理論的レビュー(総説)です。
論文内で参照されている背景データは主に現代の西洋社会(アメリカ)の成人を対象としています。
アメリカの成人の多くは、起きている時間の70%を仕事や家事、デジタル消費に費やしており、「深い休息」をとる時間がほとんどありません。
また、不確実性の高い社会において、多くの人が常に「中程度の脅威(Moderate Threat)」を感じながら生活していると指摘されています。
この「常に何かに追われている感覚」は、日本人にも痛いほど当てはまります。
NSDRやヨガ・ニドラの生理学的メカニズム(自律神経やミトコンドリア)は人類共通であるため、この理論は私たちにとっても極めて重要な示唆を含んでいます。

研究の手法と分析の概要
この研究は、「統合的モデル(Integrative Model)」の構築という手法をとっています。
ストレス科学
自律神経系がどのように環境(脅威や安全)に反応するか。
観想的科学
瞑想、ヨガ、祈りなどが脳や身体にどう作用するか。
ミトコンドリア生物学
細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアが、ストレス下と休息下でどう振る舞うか。
これら3つの異なる分野の科学的証拠(エビデンス)をパズルのように組み合わせ、「なぜ瞑想が体に良いのか」という一貫したストーリー(仮説モデル)を作り上げました。
単なる思いつきではなく、過去の信頼できる研究結果を積み上げて論理を構築している点に信頼性があります。

【補足:各種用語】
観想的実践(Contemplative Practice)
瞑想、ヨガ、太極拳、祈りなど、内面を見つめ、心を整えるための心身のトレーニングの総称。
アロスタシス(Allostasis)
環境の変化に合わせて、体の状態(血圧やホルモンなど)を変動させて安定を保とうとする生理的なプロセスのこと。
ミトコンドリア
私たちのほぼすべての細胞の中にあり、酸素を使ってエネルギー(ATP)を作り出す「細胞の発電所」。
ストレスを感じるとエネルギーを浪費し、老化の原因にもなる。
迷走神経(Vagus Nerve)
副交感神経の主要な神経で、脳と内臓をつなぎ、リラックス状態を制御する重要な役割を持つ。
研究結果
この論文が提唱する「ディープ・レスト(深い休息)」モデルの主な発見は以下の通りです。
特に、私たちが実践できる具体的な「条件」が明らかになっています。
現代人は「中程度の脅威」モードでエネルギーを浪費している
私たちの多くは、明確な敵がいなくても、将来への不安や日々のプレッシャーにより、常に「中程度の脅威(Moderate Threat)」という状態にあります。
この状態では、交感神経が常にオンになり、心拍数が上がり、体は目に見えない敵と戦うためにエネルギーを大量消費しています。
結果として、細胞を修復するためのエネルギーが枯渇してしまっています。

「安全の合図」が回復のスイッチを入れる(具体的な方法論)
「深い休息」に入るための鍵は、単に座ることではなく、脳に「安全だ」と認識させること(Safety Signaling)です。
論文では、そのための具体的な要素が挙げられています。
物理的な安全
静かで、誰にも邪魔されない空間。
感覚的な合図
香り
ラベンダー、ヒノキ、シダー(杉)などの香りや、お香の使用は、ストレス反応を低下させることが示唆されています。
触覚
数珠(じゅず)のような道具をゆっくりと手の中で動かすリズム運動は、心を落ち着かせる効果があるとされています。
自然
自然の中に身を置く、あるいは自然の要素を取り入れること。
社会的な安全
信頼できる人の穏やかな声、リズムのある読経や詠唱、批判されない受容的なコミュニティ。
最重要テクニック:呼吸のペースを「1分間に6回」にする
論文内で最も具体的な生理学的スイッチとして紹介されているのが「呼吸」です。
多くの瞑想やヨガに共通するのは、呼吸を遅くすることです。
特に、1分間に約6回(つまり1呼吸あたり10秒)のペースでの呼吸は、「共鳴呼吸(Resonant Breathing)」とも呼ばれ、迷走神経(副交感神経)を最も効果的に活性化させることが示されています。
このペースでの呼吸は、脳に直接「今は安全だ」という強力な信号を送ります。
横隔膜を使った腹式呼吸や、吐く息を長くすることも推奨されています。

細胞レベルでの「最適化」が始まる
安全が確保され、呼吸が整うと、これまで「警戒」に使われていたエネルギーが、「細胞の修復(Cellular Restoration)」へと回されます。
具体的には以下のような変化が起こるとモデル化されています
ミトコンドリアの機能回復
エネルギー効率が良くなる。
酸化ストレスの低減
細胞を傷つける活性酸素が減る。
DNAの修復
傷ついた遺伝子が修理される。
廃棄物の除去
細胞内のゴミ(折りたたまれたタンパク質など)を掃除するオートファジーなどの機能が働く。
変化しなかったこと・注意点(陰性所見の解釈)
重要な点として、すべての「ヨガ」や「呼吸法」がディープ・レストをもたらすわけではありません。
例えば、「火の呼吸(カパラバティ)」のような激しい呼吸法や、ヴィム・ホフ・メソッド(過呼吸と寒冷浴)は、逆に交感神経を刺激して一時的なストレス(ホルミシス効果)を与えるものであり、今回定義する「深い休息」とはメカニズムが異なります。
これらは「鍛える」ためのものであり、「癒やす」ためのディープ・レストとは区別する必要があります。
「つまり、私たちがリラックスしようとしても疲れが取れないのは、脳の奥底で『まだ安全じゃない』と警戒アラートが鳴り続けており、細胞が修理モードに入れていないからなのです。」
研究の結論
「ディープ・レスト」こそが、細胞の寿命を延ばす鍵である
この研究の結論は、健康とは単に病気でない状態ではなく、「エネルギーを『防御』から『成長・修復』へと再配分すること」であると定義づけました。
安全な環境とゆっくりとした呼吸(1分間6回)は、その再配分を行うための具体的なスイッチなのです。

礼次郎の考察とまとめ
論文著者らの考察
著者らは、このモデルがまだ「仮説」の段階を含んでいることを認めています。
特に、瞑想が直接的にミトコンドリアの機能をどう変化させるかについては、さらなる実証データが必要です。
また、「睡眠」こそが究極の深い休息であり、日中の瞑想が夜の睡眠の質をどう高めるかについても、今後の重要な研究課題として挙げています。
日常生活へのアドバイス
論文の内容に基づき、日本人の私たちが生活に取り入れられる具体的なステップをまとめました。
「安全基地」を作る(環境設定)
トイレ、お風呂、寝室の隅でも構いません。
「ここでは誰にも邪魔されない」という物理的な空間を確保します。
香りを利用する
論文にあるように、ラベンダーやヒノキのアロマ、あるいはお香を焚くことで、脳に嗅覚から「安全」のサインを送ります。
「1分間に6回」の呼吸法(実践編)
これが最も強力なスイッチです。
5秒かけて鼻から吸い、5秒かけて鼻から吐く。
これで1呼吸10秒、1分間で6回になります。
厳密でなくても構いません。
「普段よりかなりゆっくり」を意識し、吐く息を長く丁寧に行うことで、迷走神経が刺激されます。
手触りの良いものを使う(触覚入力)
数珠や、手触りの良い石、布などをゆっくりと触ったり握ったりするリズム運動も、安心感を高める効果があります。
手持ち無沙汰でスマホを触る代わりに、心地よいアイテムを触りましょう。
「何もしない」を許可する(心理的安全性)
「生産的なことをしなきゃ」という焦りこそが脅威信号です。
「今は細胞の工事中だから、何もしないことが仕事だ」と言い聞かせましょう。
「休むこと」に罪悪感を感じる必要はありません。

それはサボっているのではなく、体の中で何兆個ものミトコンドリアたちが、一生懸命「修理工事」をしてくれている時間なのです。そう思うと、休息が愛おしくなりませんか?
締めのひとこと
「休息とは、停止することではなく、内側から生まれ変わることである。。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
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記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
免責事項
本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。
特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。
本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。
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