妊娠中の「食欲の乱れ」は夫のせい?夫婦関係がママの心と体型への不満にどう連鎖するか

妊娠後期の女性が鏡の前でお腹に手を当て、不安そうな表情を浮かべている様子と、背景で距離を感じさせる夫の姿

結論「妊娠後期の夫婦関係の悪化は、ママの「うつ」と「体型への自信喪失」のドミノ倒しを引き起こし、結果として摂食障害のリスクを高めることが判明しました。」

この記事はこんな方におすすめ

✅妊娠中のイライラや不安が止まらず、つい食べすぎてしまう(または食べられない)方
✅どんどん大きくなる自分のお腹や体型を「好きになれない」と感じてしまっている方
✅妻の精神的なサポートをどうすればいいか悩んでいるパートナーの方
✅妊婦さんのメンタルヘルスケアに関心のある医療従事者の方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:「妊娠や出産にまつわるメンタルの不調は世界共通の悩みだけど、夫との関係が悪いと、具体的にどう心と食欲を壊してしまうの?」

🟡結果:調査の結果、夫婦関係の質が低いと、まず「うつ症状」が高まり、それが原因で「自分の体への不満」が強くなり、最終的に「摂食障害の症状」が悪化するという負の連鎖(連続的なドミノ倒し)が起きることが明らかになりました。

🟢教訓:妊娠中の体型の変化を受け入れるには、パートナーが「安全基地」として機能することが不可欠です。不安を軽減し、妻の身体イメージを守るような温かい関わりが、母子の健康を守るカギになります。

🔵対象:イタリアの妊娠後期(第3学期)の女性231名。イタリアは日本と同様に「家族の絆」を重視しつつ「美しさや痩せ」への社会的プレッシャーも強い文化があるため、日本人にも十分参考になるデータです。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。

はじめに

皆さん、こんにちは!

皆さんは、妊娠中や産後の「心の揺れ」についてどう感じていますか?

「マタニティブルー」や「産後うつ」という言葉があるように、お母さんが精神的に不安定になるのは、ホルモンバランスの変化も含め、ある意味では世界共通の現象と言えるでしょう。

日本でも海外でも、新しい命を迎えるプレッシャーと身体の変化に戸惑うのは同じです。

しかし、その「共通の悩み」を深くこじらせてしまう人と、うまく乗り越えられる人の違いはどこにあるのでしょうか?

実は、一番近くにいる「パートナーとの関係」こそが、その分かれ道になる可能性があります。特に、妊娠中に「自分の体型が受け入れられない」「食事がコントロールできない」といった摂食障害のような症状が出る背景には、夫婦関係の質が深く関わっているようなのです。

本日ご紹介するのは、そんな「夫婦の絆」がどのように妊婦さんの「心」と「食行動」の防波堤になるのかを解き明かした研究です。

掲載されている『Behavioral Sciences』は、人間の行動と心理を科学的に分析するスイスの国際的な医学雑誌です。

今回は、イタリアからの最新報告をもとに、妊娠中の心のメカニズムを一緒に読み解いていきましょう。

noteで簡略版も公開しています↓↓↓

妊娠中のうつ・食欲異常は夫のせい?最新研究が示す衝撃の連鎖|Dr.礼次郎
妊娠中に食欲が止まらないのは意志が弱いからではありません。 最新研究で、夫婦仲の悪化が「うつ」と「体型への不満」を連鎖させ、最終的に摂食障害を招く「負のドミノ倒し」現象が、統計的に95%確実であると証明されました。 こんにちは! 某県の大規...

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の一次情報をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。

今回読んだ論文

“”Romantic Relationship Quality and Eating Disorder Symptoms in Late Pregnancy: The Serial Mediating Role of Depression and Body Dissatisfaction””

(妊娠後期における夫婦関係の質と摂食障害症状:うつと身体不満の連続的な媒介役割)

Giulia Costanzo, Nadia Barberis, Eleonora Bevacqua, et al.

Behav Sci (Basel). 2025 Oct 14;15(10):1392. doi: 10.3390/bs15101392.

PMID: 41153182 DOI: 10.3390/bs15101392

掲載雑誌:Behavioral Sciences【スイスIF 2.5(2025)】 2024年より

研究の要旨(Abstract)

研究目的

妊娠後期の女性において、夫婦関係の質が摂食障害症状にどう影響するかを調べること。
特に「うつ」と「身体への不満」がその間をつなぐ原因になっているかを検証しました。

研究方法

妊娠後期(28週以降)の女性231名を対象に、夫婦関係、うつ症状、身体イメージ、摂食障害症状に関する4つの質問紙調査を実施し、統計的に解析しました。

研究結果

夫婦関係が悪いと、うつ症状が強まり、それが身体への不満を高め、結果として摂食障害症状が悪化するという「連続的なつながり(シリアルメディエーション)」が確認されました。

結論

妊娠中の摂食障害を防ぐには、単に食事管理をするだけでなく、夫婦関係の改善やメンタルケア、ボディイメージへの介入を統合的に行う必要があります。

考察

パートナーは妊娠中の女性にとって最大の「愛着対象」であり、関係が悪化すると感情調整ができなくなり、その不安を「食行動」で処理しようとしてしまうのです。

研究の目的

この研究が解決しようとした問いは、「なぜ、夫婦仲が悪いと妊娠中の食行動がおかしくなるのか?」 という心のブラックボックスを解明することです。

これまでも「夫婦仲が悪いとメンタルに悪い」ことや「夫婦仲が悪いと摂食障害が出やすい」ことは分かっていました。

しかし、それが具体的にどのようなルートを通って、過食や拒食といった「摂食障害症状」につながるのか、その詳細なメカニズム(特にうつと身体イメージの役割)は十分に解明されていませんでした。

特に妊娠後期は、出産への不安と急激な体型変化が重なる時期です。

この時期に「夫との関係」がどのように作用するのかを明らかにすることは、母子の健康を守るために極めて重要なのです。

研究の対象者と背景

この研究の対象となったのは、以下の人々です。

対象 

南イタリアの病院やバースセンターに通う、妊娠第3学期(後期)の女性 231名。

年齢 

平均32.3歳(20歳〜45歳)。

条件 

現在パートナーがいる異性愛者で、摂食障害の診断歴がない妊婦さんたちです。

著者は考察の中で、イタリアは「家族主義」が強く家族の絆がアイデンティティ形成に重要である一方、「美しさや痩身」への社会的プレッシャーも強い国であると述べています。

この「家族の絆が重要」かつ「痩せ願望が強い」という文化的背景は日本とも非常に似通っており、この研究結果は私たち日本人にとっても、自分事として捉えるべきデータと言えるでしょう。

研究の手法と分析の概要

研究チームは、以下の4つの「ものさし(自己記入式質問紙)」を使ってデータを集めました。

夫婦関係の質 (DAS-7) 

パートナーとの合意や満足度、幸福度を測定。

うつ症状 (EPDS) 

妊娠中の気分の落ち込みを測定(産後うつの尺度ですが妊娠中も使われます)。

身体への不満 (BIPS) 

妊娠中の体型や見た目へのネガティブな感情を測定。

摂食障害症状 (EDE-QS) 

直近7日間の過食や食事制限などの症状を測定。

そして、集めたデータを「連続媒介分析(Serial Mediation Analysis)」という高度な統計手法で解析しました。

これは、「AがBを起こし、BがCを起こし、CがDになる」というドミノ倒しのような因果の連鎖があるかどうかを確かめるための分析です。

なお、妊娠前の体重(BMI)の影響も考慮(共変量として調整)して、純粋な心の動きが見えるように調整されています。

【補足:各種用語】

第3学期(Late Pregnancy) 

妊娠28週から出産までの期間。

お腹が急激に大きくなり、親になる準備で夫婦関係の再構築も迫られる時期です。

媒介(Mediator) 

原因と結果の間に入って仲立ちをする要素のこと。

今回の場合、「夫婦仲(原因)」と「摂食障害(結果)」の間にある「うつ」や「身体不満」がこれにあたります。

BMI(体格指数) 

肥満度を表す指標。

この研究では、もともと太っていたか痩せていたかによる影響を取り除いて分析しています。

研究結果

ここからが本題です。

分析の結果、非常に興味深い「心の連鎖」が見えてきました。

「負のドミノ倒し」が証明された!

最も重要な発見は、夫婦関係の質が低いことから始まる「負の連鎖」が統計的にハッキリと確認されたことです。以下の流れを見てください。

ステップ1 

夫婦関係の質が低い → うつ症状が悪化する

ステップ2 

うつ症状が悪化する → 自分の体への不満が高まる

ステップ3 

体への不満が高まる → 摂食障害の症状が出る

つまり、夫婦仲が悪いといきなり過食になるのではなく、

「パートナーとの関係悪化で気分が落ち込み、そのせいで自分の変化した体を受け入れられなくなり、結果として食行動がおかしくなる」

というプロセスを経ていることが分かったのです。

直接的な影響はなくなり、すべては「心」を経由する

興味深いことに、うつや身体不満といった心の要因を計算に入れると、夫婦関係から摂食障害への「直接的な」影響は統計的に消えてしまいました(完全媒介)。

これはどういうことかというと、夫婦仲そのものが悪いから食べるのではなく、夫婦仲の悪さが引き起こす「孤独感」や「自己否定感」が、食行動異常の真犯人であるということを意味しています。

「BMI」の影響を差し引いても、この連鎖は消えない

妊娠前のBMI(体格)が高い人は、確かに身体への不満や摂食障害症状が出やすい傾向にありました(有意な関連あり)。

しかし、BMIの影響を差し引いても、上記の「夫婦関係 → うつ → 身体不満 → 摂食障害」という心の連鎖は有意なままでした。

つまり、痩せているか太っているかに関わらず、「夫との関係」こそがメンタルの防波堤として機能しているということです。

統計的な信頼性

この「ドミノ倒し」のモデルは、ブートストラップ法という統計手法を用いた結果、95%信頼区間がゼロを含まないことから、偶然ではなく統計的に有意であることが確認されました。

結果のまとめ

この結果は、あなたにとって何を意味するのでしょうか?

それは、摂食障害のような症状が出たとき、単に「食欲を抑えなきゃ」と自分を責めるのは間違いかもしれないということです。

根本にあるのは「パートナーとの安心できるつながり」が揺らいでいることであり、そこからくる「うつ」や「自信のなさ」がサインとして表れている可能性があるのです。

研究の結論

妊娠中の摂食障害症状は、夫婦関係の悪化を起点とした『うつ』と『ボディイメージの歪み』の連続的な結果として現れる

これがこの研究の結論です。

摂食障害は多面的な問題ですが、妊娠期においては、パートナーが精神的な支え(アタッチメント対象)として機能していないことが、ドミノ倒しの最初の一押しになってしまうことが科学的に示されました。

礼次郎の考察とまとめ

論文著者らの考察

著者らは、妊娠後期においてパートナーは「主要な愛着対象(心の拠り所)」であると述べています。

この拠り所が不安定だと、女性は感情のコントロールができなくなり、その不安を紛らわせるための「誤った対処法」として、極端な食事制限や過食に走ってしまうと考えられます。

また、うつ状態になると、自分の嫌いな部分ばかりに目がいくようになり(注意バイアス)、妊娠による体型変化を「醜い」と捉えやすくなることも指摘されています。

日常生活へのアドバイス

この研究結果を踏まえ、日本人の私たちが明日から活かせる教訓を提案します。

パートナーは「太った?」ではなく「変化への感謝」を 

旦那様へ。

奥様の体型の変化は、赤ちゃんを育てるための尊い変化です。

「太った」と茶化すのは、奥様のボディイメージを深く傷つけ、摂食障害のリスクを高めます。

代わりに「赤ちゃんを守ってくれてありがとう」という肯定的な言葉をかけてください。

夫婦での「感情のシェア」を習慣に 

イタリアと同様、日本も「言わなくても分かる」を期待しがちですが、妊娠中の不安は言葉にしないと伝わりません。

食卓を囲みながら、「最近の気分はどう?」とお互いの感情を確認し合う時間が、心の安全基地を作ります。

「うつ」のサインは「食」に出る 

もし奥様やご自身が、極端に食事を気にしたり、隠れて食べたりし始めたら、それは「食欲」の問題ではなく「心のSOS」かもしれません。

無理に食事を直そうとする前に、夫婦関係や気分の落ち込みに目を向け、必要なら専門家に相談してください。

「つわりが終わったから食欲が出た」だけではなく、そこには「夫との関係」という深い心理的背景があるんですね。

妊娠中の女性の心と体は、パートナーの愛という栄養分を何より必要としている。

この論文は、そんな温かくも切ない真実を教えてくれています。

愛する人との確かな絆こそが、変わりゆく自分の体を愛し、食の悩みから心を守る最強の処方箋になるのですね。

締めのひとこと

「たった一言の「愛してる」が特効薬になるのです。」

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

画像は主にChat GPT・Geminiを使用しAIで作成しております。

あくまでも、すべてイメージ画像です。

本文の内容を正確に表した画像ではありませんのでご注意ください。

免責事項

本記事でご紹介した内容は、あくまで特定の査読済み医学論文の科学的知見を解説することのみを目的としており、筆者(Dr.礼次郎)個人の、診療上の推奨や個人的な意見ではありません。

特定の治療方法、治療薬、生活スタイル、食品などを批判する意図や、推奨する意図は一切ございません。

本記事は、医師による診断や個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

実際の治療方針や服薬については、必ず主治医にご相談ください。

読者の皆様は、記事の内容をご自身の責任において吟味し、適切に判断してご利用ください。

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