チーズを食べる人は太りにくい?最新研究でわかった60gの秘密

毎日60g以上の熟成チーズ摂取で肥満リスク低下を示す乳製品イラスト|チェダー・ゴーダチーズ、ヨーグルト、牛乳、モッツァレラが並ぶ健康的な食卓

結論「毎日60g以上の熟成チーズを食べる人は、肥満になりにくい傾向があることが示されました」

この記事はこんな方におすすめ

✅ダイエット中でもチーズを食べていいのか迷っている方
✅牛乳やヨーグルトとチーズの効果の違いを知りたい方
✅美味しく食べながら太りにくい食生活を目指したい方
✅海外の最新栄養研究を日常に活かしたい方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:ダイエット中、牛乳やヨーグルトよりチーズのほうが太りにくいって本当?
🟡結果:チリの成人2,000人を調べたところ、毎日60g以上の熟成チーズを食べる人は肥満リスクが約30%低いことがわかりました。
🟢教訓:牛乳やヨーグルトでは効果は見られず、チーズ特有の成分が関係している可能性があります。ただし「食べれば必ず痩せる」と証明されたわけではありません。
🔵対象:チリの成人2,000人を対象にした調査結果ですが、日本人にも参考になる可能性があります。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。
すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。
あらかじめご了承ください。

はじめに

皆さん、こんにちは!

乳製品はお好きですか?

わたしは特にチーズが大好きで、クセのないタイプも、ちょっと匂いの強いタイプもどちらも楽しんでいます。

乳製品といってもいろいろありますよね。

チーズもあれば、クリームやバターのような濃厚なものもあります。

コッテリとしたバターやクリームは「ダイエットには不向きかな」と思う方が多いでしょう。

けれども、チーズやヨーグルト、そして牛乳そのものはどうでしょうか?

実際に体型やダイエットにどんな影響を与えるのでしょうか?

わたし自身もダイエット中に「チーズを食べてもいいのかな…」と迷うことがあります。

糖質制限の食事法では勧められる一方で、カロリーの高さを心配したり、情報がバラバラで混乱してしまったり。

そんな経験をした方は、きっと少なくないと思います。

本日ご紹介するのは、そんな疑問に答えてくれる最新の研究です。

アメリカの科学雑誌 PLOS ONEに掲載された、チリの成人2,000人を対象とした調査で、「乳製品の種類と肥満リスクの関係」を明らかにしたものです。

今回はその内容を一緒に読み解いていきましょう。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

※本記事は、PubMed掲載の査読付き論文をもとに、現役医師が一次情報をわかりやすく解説しています。
以下に出典を明示し、信頼性の高い医療情報をお届けします。

今回読んだ論文

“Association between cheese consumption but not other dairy products and lower obesity risk in adults”

(チーズ摂取(他の乳製品ではなく)と成人の肥満リスク低下との関連)

Gladys Morales, Claudia Bugueño, Rodrigo Valenzuela et al.

PLoS One. 2025 Apr 29;20(4):e0320633.

PMID: 40299899 DOI: 10.1371/journal.pone.0320633

掲載雑誌:PLOS ONE【アメリカ:IF 2.6(2024)】 2025年4月

研究の要旨

研究目的

チーズや牛乳、ヨーグルトなど乳製品の種類ごとの摂取と、肥満の有無との関連を調べること。

研究方法

チリに住む成人2,008人を対象に、2022年8月から9月にかけて食習慣を調査し、体格指数が30以上を肥満と定義して解析した。

研究結果

チーズを最も多く食べる人は、肥満である可能性が約30%低かったが、牛乳やヨーグルトの摂取とは有意な関連がみられなかった。

結論

チーズを習慣的に食べることは、肥満のリスクが低いことと関連していた。

考察

チーズの発酵由来成分や栄養組成が関与している可能性があるが、横断研究であるため因果関係は確認できず、今後の追跡研究が必要である。

研究の目的

この研究の目的は、チリの成人において乳製品の種類ごとの摂取量と肥満との関係を明らかにすることでした。

これまでの研究は、乳製品を多く消費する欧米などの先進国で行われており、チリのように伝統的に乳製品の摂取が少ない国ではデータが十分にありません。

近年チリでも乳製品の摂取は増えてきていますが、その影響が体型や肥満リスクにどうつながるのかは明らかになっていませんでした。

そこで著者らは、チーズ・ヨーグルト・牛乳といった乳製品ごとに摂取量を調べ、それぞれが肥満にどのような影響を及ぼしているのかを検証しました。

研究の対象者と背景

調査対象

この研究では、チリ全国の成人2,008人が対象になりました。

参加者は20歳以上で、平均年齢は約40歳。男女ともに幅広い年齢層が含まれています。

調査方法

調査は2022年8月から9月にかけてオンラインで行われました。

参加者は、自分の食習慣や生活習慣についてアンケート形式で回答しました。

背景

チリは欧米に比べて伝統的に乳製品の摂取が少ない国です。

ただし、近年は牛乳やヨーグルト、チーズの消費が増加しています。

それでも先進国ほどの摂取量ではなく、この点が研究の動機になりました。

つまり、「乳製品をあまり食べない国でも、種類ごとの違いが肥満に関係するのか?」という疑問を解くことが目的でした。

研究の手法と分析の概要

研究デザイン

この研究は横断研究として実施されました。

ある時点の人々の食習慣と体格を調べて関連を解析する方法です。

データ収集

妥当性が確認されたオンライン調査票を用い、乳製品の摂取量を自己申告で回答しました。

対象食品

調査対象となった乳製品は以下の6種類です。

・チーズ(熟成チーズ)
・フレッシュチーズ
・ヨーグルト(全脂)
・ヨーグルト(脱脂)
・牛乳(全脂)
・牛乳(脱脂)

摂取量の計算

・チーズ:30gを1サービング
・ヨーグルト:125gを1サービング
・牛乳:200mlを1サービング

摂取量を合計し、「少ない・中くらい・多い」の3つのグループに分けて分析しました。

肥満の定義

肥満はBMIが30以上であるかどうかで判断しました。

統計解析

ロジスティック回帰分析(logistic regression)を用いて、乳製品の摂取量と肥満リスク(BMI≧30)との関連を算出しました。

年齢、性別、社会経済的地位、地域、運動習慣、喫煙の有無などの要因を調整しました。

そのうえで、乳製品の摂取量と肥満リスクの関連をオッズ比という指標で算出しました。

【補足:各種用語】

BMI(体格指数)

体重(kg)を身長(m)の二乗で割った数値。
25以上で「肥満傾向」、30以上で「肥満」とされます。

横断研究

一度きりの調査で関連を調べる研究方法。
原因と結果を直接証明するものではありません。

オッズ比

ある行動をした人としなかった人で、結果(ここでは肥満)が出やすいかどうかを比べる指標。
1より小さいと「リスクが低い」ことを意味します。

補足1:熟成チーズとフレッシュチーズの違い

熟成チーズ

チェダーやゴーダのように時間をかけて熟成させるタイプ。
水分が少なく、旨味とコクが強い。脂肪や塩分はやや高め。

フレッシュチーズ

モッツァレラやカッテージチーズのように熟成させないタイプ。
水分が多く、柔らかくあっさりしている。塩分や脂肪は比較的低め。

補足2:一般的な栄養成分(参考値)

研究そのものには数値は示されていませんが、一般的な食品成分表をもとにすると以下のようになります。

食品サービング量エネルギー (kcal)たんぱく質 (g)脂質 (g)炭水化物 (g)
チーズ(熟成/ハード)30g1207.010.01.0
フレッシュチーズ(モッツァレラ等)30g805.06.02.0
ヨーグルト(全脂)125g754.04.06.0
ヨーグルト(脱脂)125g555.00.37.0
牛乳(全脂)200ml1306.67.69.6
牛乳(脱脂)200ml707.00.310.0

チーズは少量でも高カロリー・高タンパクで、特に熟成チーズは濃縮度が高いのが特徴です。

フレッシュチーズは軽めで食べやすく、牛乳やヨーグルトは水分が多いためサービング量に対するカロリーは比較的少なめです。

研究結果

熟成チーズと肥満リスク

最も重要な発見は、熟成チーズを多く食べる人は肥満リスクが低かったという点です。

摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループに比べて肥満の可能性が約30%低いと算出されました。

特に、1日60g(2サービング)以上の熟成チーズを食べていた人では、その関連が統計的に有意に確認されました。

フレッシュチーズ・ヨーグルト・牛乳

一方で、フレッシュチーズ、ヨーグルト(全脂・脱脂)、牛乳(全脂・脱脂)の摂取量は、肥満リスクとの明確な関連を示しませんでした。

つまり「乳製品全般が太りにくさに結びつく」というよりは、熟成チーズ特有の特徴が関与していると考えられます。

脱脂乳と脱脂ヨーグルトの補足

脱脂乳や脱脂ヨーグルトについては、摂取頻度に群間で差が見られました。

ただし、その差が肥満リスクに影響しているとまでは言えませんでした。

乳製品全体の摂取量の傾向

肥満の人は、乳製品全体の摂取が少ない傾向にありました。

例えば、1日3サービング(90g)以上食べる割合は、正常体重の人で約26%、肥満の人では約17%と差がありました(p<0.05)。

内訳を見ると、

・チーズ:正常体重の人の約4人に1人(25%)が3サービング(90g)以上
・脱脂ヨーグルト:正常体重2.2% vs 肥満1.7%(p<0.05)
・脱脂/低脂肪ミルク:正常体重4.3% vs 肥満5.1%(p<0.05)

全体として、乳製品の摂取量そのものが国際的な推奨基準を下回っていることも明らかになりました。

結果の整理(表)

食品摂取量が多い人の肥満リスク結果
熟成チーズ約30%低い有意に関連あり
フレッシュチーズ変化なし関連なし
ヨーグルト(全脂/脱脂)変化なし関連なし
牛乳(全脂/脱脂)変化なし関連なし
脱脂乳・脱脂ヨーグルト摂取頻度に差あり肥満リスクとは無関係
乳製品全体肥満群で少ない傾向明確な関連なし

研究の結論

チーズと肥満の関係

今回の研究から、1日60g(2サービング)以上の熟成チーズをよく食べる人は、肥満になりにくいという関連が示されました。

他の乳製品との違い

一方で、フレッシュチーズやヨーグルト、牛乳には明確な関連は認められませんでした。

全体の摂取傾向

さらに、肥満の人は乳製品全般の摂取量が少ない傾向にあることも明らかになりました。

【礼次郎の考察とまとめ】

なぜ熟成チーズだけ効果があったのか(論文著者の考察)

著者らは、熟成チーズには他の乳製品にはない特徴があり、それが肥満リスク低下に関係している可能性を指摘しています。

フードマトリックス効果

乳製品は同じ牛乳から作られていても、加工や構造が異なります。

熟成チーズは栄養が濃縮され、タンパク質や脂肪の組み合わせ方が独特で、体への作用も他の乳製品と違ってくると考えられます。

特定の脂肪酸の働き

熟成チーズには 共役リノール酸(CLA) が豊富で、体脂肪の減少や筋肉量の維持に役立つ可能性があります。

また、オメガ3脂肪酸や酪酸といった成分も含まれており、炎症を抑えたり代謝を改善する働きが期待されます。

発酵と熟成で生まれる成分

チーズは発酵と熟成の過程で、生理活性ペプチドやビタミンK2などの特殊な成分を生み出します。

これらはホルモンや代謝のバランスに作用し、体重管理を助ける可能性があります。

習慣全体の影響

さらに、チーズをよく食べる人は、地中海食のような比較的健康的な食習慣を持つ場合もあり、そうした食事パターンが間接的に肥満リスクの低下につながっている可能性も考えられます。

こうした複数の要素が組み合わさり、「1日60g以上の熟成チーズ摂取」が肥満リスク低下と関連していたのではないか、と著者らはまとめています。

日常生活へのヒント

横断研究の限界も意識して

ただし、今回の研究は横断研究です。

つまり「熟成チーズを食べたから痩せた」と直接の因果関係を証明したものではありません。

食生活全体や生活習慣も影響している可能性が大いにあります。

日常生活での取り入れ方

それでも「熟成チーズを適度に食べることが肥満予防に役立つかもしれない」というのは興味深い知見です。

実際に関連が見られたのは、1日60g以上の摂取でした。

これを日常的な食品に換算すると、

60gチーズの目安(一般食品換算)

・プロセスチーズ(スライスチーズ):1枚約18〜20g → 約3枚
・カマンベールチーズ:1箱120g前後 → 半箱
・ベビーチーズ(四角い個包装):1個約15g → 4個
・6Pチーズ(三角形のプロセスチーズ):1ピース約17g → 3〜4ピース
・モッツァレラチーズ(市販のボール型100g):2/3個程度
・パルメザンチーズ(粉チーズ):大さじ1杯約5g → 大さじ12杯弱(やや現実的ではない量)
・ゴーダやチェダーなどブロックチーズ:1切れ(厚めスライス)約20g → 3切れ

このように換算すると、「毎日60g」といっても 日常のチーズ製品でだいたい3〜4個分・半箱分 という感覚がつかみやすいです。

ただし、粉チーズは現実的には大量すぎるので、スライスやベビーチーズを基準にするとイメージしやすいと思います。

食べ方の工夫

ただし、チーズは高カロリーでもあります。食べ過ぎれば逆効果になりかねません。

・主食や間食を置き換える形で取り入れる
・サラダや野菜料理と一緒に食べる
・赤ワインや全粒パンなどと組み合わせ、過剰に食べすぎない

こうした工夫で、チーズを楽しみつつ体型管理に活かすことができます。

好きなものを我慢するのではなく、「量や食べ方を工夫して味方にする」ことが大切です。

熟成チーズはその好例かもしれませんね。

美味しくて満足感のあるチーズが、うまく食べれば健康の味方になる

——そんな嬉しいヒントを届けてくれる研究でした。

締めのひとこと

チーズを知り、己を知れば、ダイエット危うからず


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

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