
結論「毎回、限界まで追い込まずに1〜2回余力を残しても筋肉はしっかり増える」
この記事はこんな方におすすめ
✅筋トレは「限界までやらないと意味がない」と思っている初心者の方
✅疲れすぎて、トレーニングがしんどくなっている方
✅効率よく筋肉を増やしたい中級〜上級トレーニー
✅科学的根拠に基づいて指導したいトレーナー・インストラクター
時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ
🔴疑問:筋トレは毎回、潰れるまで追い込まないと効果がない?
🟡結果:「あと2回分残す」トレーニングでも、筋肉の増加量は限界トレとほぼ同じ(筋厚:約+0.18cm)
🟢教訓:無理に潰れるまで頑張るよりも、少し余力を残す方が疲れが少なく、フォームも安定。継続にもつながる!
🔵対象:オーストラリアとニュージーランドの筋トレ経験者(18名)。

※本記事内の画像は主にChat GPTおよびGeminiを用いて、すべてAIで生成しております。すべてイメージ画像であり、本文の内容を正確に表したものではありません。あらかじめご了承ください。
はじめに
皆さん、こんにちは!
「筋トレって、毎回限界まで追い込まないと意味がないのかな?」と感じたことはありませんか?
わたし自身、普段のトレーニングでは毎セット限界まで追い込むようにしています。
効いてる実感はあるし、やり切った達成感もあるんですが……正直、つらいんですよね。
次のトレーニングの前になると「うわー、またあれやるのか……やりたくないなー」って気が重くなることもよくあります。
そんな時に出会ったのが、今日ご紹介する研究です。
「実は、そこまで追い込まなくても、筋肉は同じくらい増えるかもしれない」
——そんな意外な可能性を示したこの論文は、イギリスのスポーツ科学専門誌『Journal of Sports Sciences』に掲載された、信頼性の高い内容です。
今回は、限界まで頑張らなくても成果を出せるかもしれない、そんな希望が見える研究を、わかりやすくお伝えします!

自己紹介
こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。
海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、
生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。
日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

今回読んだ論文
“Similar muscle hypertrophy following eight weeks of resistance training to momentary muscular failure or with repetitions-in-reserve in resistance-trained individuals”
(レジスタンストレーニングにおける筋力トレーニングセットを限界まで行う方法と、あと1〜2回分の余力を残して終える方法による筋肥大の比較:トレーニング経験者における8週間の検証)
J Sports Sci. 2024 Jan;42(1):85-101.
PMID: 38393985 DOI: 10.1080/02640414.2024.2321021
掲載雑誌:Journal of Sports Sciences【イギリス】 2024年1月
研究の目的
この研究の目的は、「限界まで追い込まない筋トレ」でも本当に筋肉は増えるのか?という疑問を、科学的に検証することでした。
これまでの研究では、トレーニングの効果を最大化するには「毎セット、限界までやり切ること」が重要とされてきました。
ただしその一方で、疲労や筋肉の損傷が大きすぎて、逆に回復が追いつかなくなるという問題も指摘されてきました。
最近では「あと何回できるか(RIR=Repetitions In Reserve)」を目安に、少し余力を残して終えるトレーニング方法も注目されています。
しかし、この方法がどれほど効果的なのかは、まだハッキリしていません。
特に、筋トレ経験者(上級者)における比較研究は非常に少ないのが現状です。
そこでこの研究では、
「1〜2回の余力を残す筋トレ(RIR)」と
「瞬間的筋力の限界まで行うトレーニング(FAIL:Training to Momentary Muscular Failure)」
を直接比較し、筋肉の成長や疲労度にどのような違いがあるかを明らかにすることを目的としました。

研究の対象者と背景
この研究に参加したのはオーストラリアとニュージーランドに住む18〜40歳の筋トレ経験者(男性12名、女性6名)です。

参加条件として、
・過去3年以上、週3回以上の筋トレを継続していること
・ステロイドなどの筋肉増強薬を使っていないこと
・下半身の怪我や神経筋疾患がないこと
といった健康面や経験面での基準が設けられていました。
このように、いわゆる“筋トレガチ勢”といえる被験者が集められたため、
一般の初心者よりも反応が出にくい=厳しい検証条件であるとも言えます。
この研究結果は、筋トレ経験が浅い人や高齢者にそのまま当てはめるには慎重になる必要があります。
とはいえ、筋トレの「追い込み方」の考え方や工夫のヒントとしては、幅広い層にも応用可能と考えられます。

研究の手法と分析の概要
この研究は、8週間にわたって週2回行う筋トレ介入研究(実験研究)です。
被験者の左右それぞれの脚に違う方法を適用する“片脚デザイン”
を用いたため、同じ人の中でトレーニング法の効果を比較できるという、非常に信頼性の高い方法です。
実施されたトレーニング内容
トレーニング種目
・レッグプレス(脚全体)
・レッグエクステンション(太もも前面)
方法の割り当て
・片脚は「限界まで追い込む」(FAIL)
・もう片脚は「あと2回(レッグプレス)/あと1回(エクステンション)できるところで止める」(RIR)
測定項目
・太ももの筋肉(大腿四頭筋)の厚み(超音波で測定)
・トレーニング中の疲労(動作速度の低下、反復回数の変化)
・トレーニングの合計量(回数×重さ)
期間と回数
・8週間で合計16セッション(週2回、72時間空けて実施)
・セッション中はプロの指導員がフォーム確認と補助を担当
データ解析方法
・ベイズ統計モデルを用いて、筋肥大や疲労度の違いを確率的に評価
・結果の信頼性を「確率(%)」で表現(例:この変化が本物である確率=98%)
筋厚の測定方法
太ももの筋肉(大腿四頭筋)のうち「大腿直筋」と「外側広筋」の厚みを超音波で前後に計測。
これにより、実際にどれだけ筋肉が大きくなったか(cm単位)を数値で比較できます。

【補足】
ベイズ統計
従来の「P値」による分析と違い、「この結果が本当に起きている確率は何%か?」を直感的に示す方法。
今回のように少人数の研究でも結果の信頼度を柔軟に評価できるのが特徴です。
研究結果
筋肥大の効果は、限界までやっても・余力を残してもほとんど同じだった!
8週間のトレーニング後、参加者の太もも(大腿四頭筋)の筋肉の厚みを超音波で測定した結果、
限界まで追い込んだトレーニング(FAIL)と、1〜2回の余力を残したトレーニング(RIR)で、筋肉の増加量にほとんど差がなかったことが明らかになりました。
この差はわずか0.001cmと極めて小さく、統計的にも有意差はなく、実用上は同等の効果といえます。
トレーニング方法 | 筋肉の厚みの変化(平均) | 結果の意味 |
FAIL(限界まで) | +0.181 cm | しっかり増加 |
RIR(余力あり) | +0.182 cm | ほぼ同じく増加 |
筋肉の部位によってわずかな差があった
筋肉全体としては同等の成長でしたが、部位によって若干の反応の違いも見られました。
こうした違いは筋繊維の使われ方の差などによるものと考えられますが、いずれも測定誤差の範囲内であり、どちらの方法でも十分な筋肥大が得られました。
筋肉の部位 | FAIL(限界まで) | RIR(余力あり) | コメント |
大腿直筋(前面) | +0.156 cm | +0.193 cm | RIRの方がやや大きい増加 |
外側広筋(外側) | +0.205 cm | +0.172 cm | FAILの方がやや大きい増加 |
疲労度の差が明確だった
筋肉の成長は同等でも、「どれくらい疲れるか」には明確な違いがありました。
FAILでは動作が遅くなり、フォームも崩れやすくなるなど、疲労が明確に蓄積していました。
一方RIRでは、動作が安定し、質の高いフォームを維持しやすい傾向が見られました。
指標 | FAIL(限界まで) | RIR(余力あり) |
トレーニング後の疲労感 | 非常に強い | 軽め |
動作の遅れ(速度低下) | −10〜−13% | −4〜−6% |
セット中のフォーム維持 | 崩れやすい | 比較的安定 |
セット内での回数減少にも違いが出た
1セットの中で、最初と最後でどれだけ回数が減るか=疲労の蓄積の目安としても、明確な差が確認されました。
FAILでは回数の減少が大きく、疲れが強く出ている=回復までに時間がかかると推察されます。
一方RIRは、より一定のパフォーマンスを維持できており、継続的なトレーニングに適している可能性が高いといえます。
種目 | FAIL(限界まで) | RIR(余力あり) |
レッグプレス | −20.4% 減少 | −15.8% 減少 |
レッグエクステンション | −29.9% 減少 | −21.4% 減少 |
「あと何回できるか」は意外と正確に予測できた
RIR法では「あと何回できるか(Reps in Reserve)」を自分で見積もる必要がありますが、参加者は±1回以内の精度で予測できていたことが確認されました。
つまり、自己感覚に基づくRIRの予測は、現実的で信頼できる手法であることが示されました。
トレーニング量(ボリューム)はどちらも同等だった
実際にこなしたトレーニングの総量(重量×回数)も比較されました。
FAILとRIRでは合計トレーニング量に実質的な差はなく、どちらも十分な成果が得られていたといえます。
種目 | FAIL(限界まで) | RIR(余力あり) | 差異 |
レッグプレス(総重量) | 約350kg | 約346kg | ほぼ同等 |
レッグエクステンション(総重量) | 約129kg | 約131kg | ほぼ同等 |
完遂率が非常に高く、安全性も確認された
この研究は脱落者ゼロ・完遂率97.5%という高い達成度でした。
・87.5~100%の範囲で全セッションを完了
・スケジュールの都合による軽微な調整はあったものの、目立った中断や副作用もなし
つまり、限界までやっても・余力を残しても、どちらの方法でも安全に継続できるトレーニングであることが示されました。
ただし、本研究は8週間という比較的短期間の検証であるため、長期的な影響については今後の研究が待たれます。

研究の結論
今回の研究では、トレーニング歴のある成人男女を対象に、
「限界まで追い込む筋トレ(FAIL)」と
「あと1〜2回できる余力を残して止める筋トレ(RIR)」を8週間比較しました。
その結果、筋肉の発達(筋肥大)は両者でほぼ同じであることが示されました。
さらに、疲労度や動作の安定性といった点では、RIRの方が有利な面もあるとわかりました。
したがって、
✅️筋肉を大きくしたい場合でも、必ずしも「毎回限界までやる必要はない」という結論
に至りました。

【礼次郎の考察とまとめ】
この研究結果は、日々トレーニングに励む私たちにとって、とても希望のあるものです。
というのも、筋トレの効果を得るためには「限界まで追い込まないと意味がない」と思い込んで、体力的にも精神的にもきつい思いをしている人が多いからです。
私自身もそうです。
毎回潰れるまでやって、疲れ果てて、次のトレーニングを思わず避けたくなる
…という経験を何度もしてきました。
でもこの研究からは、
「少し余力を残しても筋肉はきちんと育つ」
という、科学的に信頼できるメッセージが示されました。
しかも、疲労が少なく、フォームも安定しやすいなら、トレーニングの継続率も上がりそうですよね。
もちろん、これは8週間という比較的短い期間での結果なので、長期的な影響については今後の研究を待つ必要があります。
また、今回の研究対象は若いトレーニーであったため、たとえば高齢者の応用についても慎重な検討が必要でしょう。
それでも、「追い込みすぎずに、でも効果的に鍛える方法」があるというのは、日本人の私たちにも役立つ大きな知見です。
「続けやすい」「怪我が少ない」「でも効果はある」―そんな筋トレがもっと広がっていくといいなと、心から思います。

締めのひとこと
限界までやらなくても、ちゃんと成果は出る。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。
これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。
本ブログでは、Pubmed、医中誌、Clinical Key、ヒポクラ、m3、日経メディカル、ケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。
私、礼次郎が日々愛用しておりますプロテインでございます。
酸味のあるプロテインが好きなのでここ数年はヨーグルト味ばっかりです。
溶けもよく、3kgで超お得なのですが冷蔵庫の中でめっちゃ場所取ります・・・笑
が、プロテインは常温室内で保管するとジッパー部分にダニが湧きますので、必ず冷蔵庫で保存したほうが良いですよ!!
コメント