筋トレ不要?1日15分のストレッチで筋肉がつく!? 驚きの最新研究

ストレッチで筋肉がつく様子を表す若い男性のイラスト(自宅・チューブ使用・15分×週4回)

結論「 週4回・1日15分のストレッチを8週間続けると、胸の筋肉も筋力も“しっかり増える”ことが、科学的に証明されました。」

この記事はこんな方におすすめ

✅「筋トレしなきゃ」と思ってるけど辛い運動は嫌いで行動できない方
✅ジムも器具も使わず、自宅で完結したい方
✅体力やケガの不安で激しい運動が難しい方
✅ストレッチで“どこまで筋肉が変わるか”を知りたい方

時間のない方・結論だけサクッと知りたい方へ

🔴疑問:筋肉を育てるには、やっぱり筋トレしかないの?ストレッチじゃだめ?
🟡結果:週4回×15分のストレッチで筋力+10%、筋肉の厚み+最大7%
🟢教訓:“正しいストレッチ”を継続すれば、筋肉は静かに育つ
🔵対象:若く健康なドイツ人を対象にした研究ですが、考え方は私たちにも応用可能!

はじめに

皆さん、こんにちは!

私の悩みをきいてください。

継続的に筋トレをしたいと思っても、日々の仕事に追われてなかなか実行できない。

夜勤明けにはもう体力が残っていない。

休日も気づけばゴロゴロして終わってしまう…。

そんな生活の中で以前より夢見ていた

「ラクしてムキムキになる方法はないか?」

その実現に向けて夜も寝ながら考える日々でした(笑)

──そんな都合のいい話、あるわけないって分かっていても、つい願ってしまうんです。

ですが!本日ご紹介するのは、そんな“運動に挫折しがちな人間”に一筋の希望を与えてくれる研究です。

ドイツ発の専門誌「European Journal of Applied Physiology(欧州応用生理学雑誌)」に掲載された論文で、

なんと「ストレッチだけで筋力や筋肉が増えるかもしれない」という驚きの結果が出たのです。

今回はその研究をもとに、「本当にラクしてムキムキ」は可能なのか?という素朴な疑問に迫っていきます。

自己紹介

こんにちは! 某県の大規模病院で外科医として約20年の経験を持つ「医学論文ハンター・Dr.礼次郎」です。

海外の権威ある医学雑誌に掲載された論文を一編ずつ読み解いた、

生の「一次情報」をもとに、医学に詳しくない方にもわかりやすく解説しています。

日々、皆さんに信頼できる医療情報をお届けします!

信頼できる医学情報を発信する外科医・Dr.礼次郎が指を指すイラスト

今回読んだ論文

“Influence of 8-weeks of supervised static stretching or resistance training of pectoral major muscles on maximal strength, muscle thickness and range of motion”

(8週間の静的ストレッチまたはレジスタンストレーニングが大胸筋の最大筋力、筋厚、柔軟性に与える影響)

Eur J Appl Physiol. 2024

PMID: 38240811 DOI: 10.1007/s00421-023-05413-y

掲載雑誌:European Journal of Applied Physiology(欧州応用生理学雑誌)【ドイツ】 2024年1月

研究の目的

ストレッチといえば、「柔らかくなるためのもの」と思われがちですが、最近では「筋力や筋肉量も増えるかもしれない」と言われ始めています。

でも、これまでの研究のほとんどは「ふくらはぎ」や「太もも」など、足まわりの筋肉でしか行われていませんでした。

上半身、特に「大胸筋(胸の筋肉)」での効果は、まだほとんどわかっていなかったのです。

そこでこの研究では、「胸のストレッチを続けたら、筋トレと同じくらい筋肉がつくのか?」「ストレッチだけでも筋力アップできるのか?」を、実際に筋トレと比較して確かめることが目的とされました。

いわばこれは、「ストレッチで胸筋を育てられるのか?」という、これまで見落とされていた疑問に正面から向き合った挑戦的な研究です。

研究の対象者と背景

この研究の対象となったのは、ドイツの大学で運動習慣のある若者たち81名(平均23〜24歳、男女比ほぼ均等)です。

参加者全員が週に2回以上は何らかの運動をしており、体を動かすことには慣れている人たちばかりでした。

ただし、胸や肩のストレッチを日常的に行っている人や、直近でケガや手術歴がある人は除外されました。

彼らは無作為に3つのグループに振り分けられ、それぞれ違う運動を8週間続けてもらいました:


・ストレッチ群(週4回・1回15分の胸ストレッチ)
・筋トレ群(週3回・マシンを使った大胸筋のトレーニング)
・何もしない対照群


今回の対象は「若くて健康で、もともと体を動かす習慣のある人たち」です。

そのため高齢者や普段運動をしていない人とは、筋肉のつきやすさや回復力が違う可能性もあります。

とはいえ、「ストレッチだけでも筋力や筋肉が変化する可能性がある」という基本的なメカニズムは、私たち日本人にも十分応用可能だと考えられます。

研究の手法と分析の概要

この研究は「介入研究」と呼ばれる方法で、3つのグループに異なる運動をしてもらい、その前後で身体の変化を測るものです。期間は8週間。

参加者は以下の3つのグループに分かれました:

ストレッチ群

→専用のストレッチボードを使い、週4回、1回15分間、大胸筋をじっくり伸ばす

筋トレ群

→チェストプレスマシンを使って、大胸筋に効くトレーニングを週3回。

→1回のトレーニングで「10〜12回で限界が来る重さ」で5セット実施(筋肥大を本格的に狙う中〜高強度)

対照群

 → 何も運動をせず、普段通りの生活を続ける


8週間の前後で、次の3つの変化を測定しました

最大筋力(ベンチプレスに似た動きでどれだけ力を出せるか)

筋厚(大胸筋の厚み。超音波で正確に計測)

肩の柔軟性(棒を使って肩をどこまで動かせるか)

測定はすべて専門機器を使って実施され、信頼性の高いデータが得られるように工夫されています。

このように、この研究は単なる体感や自己申告ではなく、「しっかり測って、客観的に判断できる」設計になっています。

ストレッチと筋トレ、それぞれの効果を正確に比較するための、堅実でよく練られた手法です。

論文に記載されたストレッチの具体的方法(要点)

・使用器具特製のストレッチ装置(胸を外側に引っ張るテンション構造のある器具)
体勢座位で腕を胸の高さに保ち、肩と肘を90度に曲げた状態で外側に開くように保持
・ストレッチ時間
1回15分間、連続で静的に保持(途中で動かさずキープ)
頻度週4回 × 8週間
張力個人の柔軟性に合わせてストレッチ感(痛みではなく張り)を調整。かなり高強度

【補足:各種用語】

RM(Repetition Maximum)

「限界までできる回数」のこと。
例:「10RM」なら「10回がギリギリできる重さ」
今回の筋トレは「10〜12RM」=かなりキツめのトレーニング

ICC(信頼性指数)

「同じ方法で何回測っても同じ結果になるか?」を示す数値
0〜1の間で表され、1に近いほど正確でブレがない
今回の柔軟性測定では ICC=0.997〜0.998という驚異的な精度
測定データの信頼性は非常に高いと言えます

研究結果:ストレッチだけで、筋トレとほぼ同じ効果が!

この研究でもっとも驚きだったのは、ストレッチだけで筋力と筋肉量がしっかり増えたという点です。

ストレッチ群と筋トレ群は、どちらも8週間で筋力が約10%アップし、大胸筋の厚みも約5〜7%増加しました。

一方、何もしなかった対照群では、ほぼ変化がありませんでした。

さらに柔軟性(肩の可動域)に関しては、ストレッチ群が圧倒的に改善。

筋トレ群でも少し改善は見られましたが、ストレッチの方がはるかに効果的でした。

数値で見る成果(8週間の変化)

測定項目ストレッチ群(週4回)筋トレ群(週3回)対照群(運動なし)
最大筋力+10.16%+10.30%+0.75%
筋厚(筋肉の太さ)+5.65〜6.46%+5.35〜7.25%−0.68〜−0.31%
柔軟性(肩の可動域)大きく改善わずかに改善変化なし

筋肉の“バランス”にも変化が

この研究では、右側と左側それぞれの大胸筋の厚みを個別に測定していました。

その結果、どちらのグループでも左右差が縮まり、筋肉のバランスが改善する傾向が確認されています。

つまり、ストレッチでも筋トレでも「筋肉が育つ」だけでなく、「姿勢のゆがみや偏りの改善」にもつながる可能性があるということ。

これは見た目だけでなく、肩こりやケガの予防といった実用面でも大きな意味を持つ成果です。

大胸筋の“どこ”が育ったのか?

今回の研究では、大胸筋の上部・中央部など部位ごとに筋厚が測定されていました。

その結果、ストレッチ・筋トレのいずれでも、複数の部位でしっかり筋厚が増加していました。

これにより、「伸ばすだけでも大胸筋全体が反応する可能性がある」ことが示され

ストレッチの“本気度”次第では、かなり広範囲に効果が波及することがわかりました。

変化がなかったことにも意味がある

対照群(運動なし)では筋肉も柔軟性もほぼ変わらず、むしろわずかに筋肉が減った人もいました。

これは、「何もしなければ体は維持できない」ことを示しています。

一方でストレッチ群は、「筋肉を伸ばすだけ」でも筋肉が育ち、力もつくという意外な結果。

これは日常の運動を続けにくい人にとって、非常に魅力的なアプローチです。

この結果は統計的にも「有意差あり(p < 0.05)」とされており、偶然の変化ではなく、実際に効果があったといえるデータです。

研究の結論

この研究の結論は明快です。

✅週4回・15分間の静的ストレッチを8週間続けるだけで、筋トレと同じくらいの筋力アップ・筋肥大が見込める

さらに、柔軟性の改善についてはストレッチが圧倒的に優れていました。

ただし、研究チームも指摘しているように、このストレッチはかなり本格的なもので、道具を使い、高い強度を維持する必要があるため、気軽に真似できるかは一考の余地があります。

それでも、「ストレッチには想像以上のポテンシャルがある」という点は、多くの人にとって新たな発見となるはずです。

【筆者の考察】日本人のわれわれがこの論文から学び活かせる教訓や注意点

この研究が私たちに教えてくれる最大のポイントは、「ストレッチには筋肉を育てる力がある」という事実です。

忙しくてまとまった運動時間が取れない人、激しいトレーニングが体力的に難しい人にとって、この方法は希望になります。

特に、高齢者や運動が苦手な人にとっては、身体への負担が少なく、日常に取り入れやすいトレーニング手段になる可能性があります。

ただし注意したいのは、この研究で効果が出たのは“しっかり強度の高いストレッチ”を毎週4回・15分間継続した場合

「なんとなくストレッチした」くらいでは、同じような効果は期待できません。

また、今回の対象は若くて健康な欧州の大学生たちです。

私たち日本人でも効果はあると考えられますが、年齢や体質によって反応は異なるかもしれません。

自分の体に合わせた負荷調整や、場合によっては専門家のアドバイスを取り入れるのが安心です。

まとめ

ストレッチといえば、「柔軟性を高めるもの」と思っていた方も多いかもしれません。

でも今回の研究は、「ストレッチだけでも筋肉は育つ」「筋力も上がる」という、まさに新しい常識を教えてくれました。

もちろん、ラクしてムキムキになるにはそれなりの工夫と継続が必要です。

けれど、「激しい運動をしなくても、正しく伸ばすことで体を変えられる」というのは、多忙な私たちにとって大きな希望です。

忙しい毎日のなかでも、まずは1日15分だけ、自分の体をじっくり伸ばしてみませんか?

ストレッチは、思っているよりもずっと「強くて優しいトレーニング」かもしれません。

とはいえ、ストレッチするだけといっても本格的なやり方なので、ラクしてムキムキというわけにはいかないですね(笑)

それでも、「ムキムキへの近道」に一歩近づける選択肢として、覚えておきたい一手です。

締めのひとこと

ストレッチ、それは“静かに効かせる筋トレ”


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

もし本記事が参考になったら、他の記事もぜひのぞいてみてください。

これからも皆さまの知的好奇心を満足させられる情報をお届けできるよう努力していきます。

本ブログでは、Pubmed医中誌Clinical Keyヒポクラm3日経メディカルケアネットなどの信頼性ある医療情報サイトを参考に、論文の検索・選定を行っています。
記事の内容は、筆者自身が論文を読み解き、わかりやすく要約・執筆しています。

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